それによりますと、不採算事業を見直す一環として、今年度中にエネルギー事業やITサービス事業で、合わせて1000人規模の早期退職を募集します。
さらに300人から400人の早期退職の募集も検討し、自然減と合わせた人員削減はグループ全体で5年間で7000人規模になるということです。
また、国内外の拠点を統廃合したうえで、成長が期待される再生可能エネルギー関連やリチウムイオン電池などの事業に対し、今後5年間に、設備投資と研究開発で合わせて1兆7000億円余りを投資するとしています。
一方、イギリスの原発関連の子会社を清算するとともに、アメリカのLNG=液化天然ガス事業から撤退するということです。
こうした新しい経営計画を進めることで、5年後の2023年度に4兆円以上の売り上げと、10%の営業利益率を目指すとしています。
東芝はアメリカの原子力事業の巨額損失で経営危機に陥り、稼ぎ頭の記憶用半導体、フラッシュメモリー事業も売却していて、新しい経営計画のもとで収益の柱をいかに育てるかが課題となります。
東芝の原発事業の経緯
東芝は世界的に原子力発電の需要が増していた平成18年、アメリカの原子力会社、ウェスチングハウスを買収しました。
これをきっかけに原発事業の拡大を進めようと、4年前の平成26年にイギリスで計画中の原子力発電事業の受注を目指して、イギリスの原発事業会社「ニュージェネレーション」を買収し、子会社化しました。
しかし去年、ウェスチングハウスが経営破綻したことなどから、東芝は海外での原子力発電事業から撤退する方針を決定。
このため、イギリスの原発事業会社「ニュージェネレーション」についても、「韓国電力公社」などと売却に向けた交渉を続けてきましたが、折り合いがつかず、会社の清算を決めました。
東芝は来年1月までに手続きを開始することにしていて、清算に伴って、今年度の決算ではおよそ150億円の損失を計上する見込みです。
米LNG事業から撤退
東芝は、エネルギー事業を強化しようと5年前にLNG=液化天然ガス事業に参入しました。
アメリカのエネルギー会社「フリーポート」の子会社との間で、2019年から20年間にわたって、自前で調達した天然ガスをLNGに加工してもらう契約を結びました。
LNGを電力会社などに販売して、収益につなげる計画でした。
しかし、シェールガスの供給が増え、一時、市況が悪化するなどLNGの販売価格は変動が大きく、将来、巨額の損失が発生するおそれがあることなどから撤退を決めたということです。
東芝は、LNGを加工してもらう権利などを、今年度中に、海外の企業に譲渡する方針を発表し、これに伴って今年度の決算でおよそ930億円の損失を計上する見込みだとしています。