Actualités japonaises: 屋外のマスクつける？つけない？

外出がいしゅつする際さい、マスクをつけますか、つけませんか。政府せいふは屋外おくがいではマスクは原則げんそく不要ふようとしていて、そのメッセージを伝つたえようと、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんみずからPRするような動うごきも出で始はじめています。しかし、街まちをみれば、多おおくの人ひとはマスクをつけたまま。みなさんはなぜ屋外おくがいでマスクをつけているのでしょうか？

（和歌山わかやま放送ほうそう局きょく記者きしゃ伊藤いとう敬たかし一郎いちろう　大阪おおさか放送ほうそう局きょく記者きしゃ北きた森もりひかり）

岸田きしだ首相しゅしょうもマスクを外はずす

10月つき9日にち、三重みえ県けん鈴鹿すずか市しの鈴鹿すずかサーキットで開催かいさいされたF1日本にっぽんグランプリを訪おとずれた岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、一時いちじマスクを外はずして視察しさつを行おこないました。

マスクの着用ちゃくようについて、政府せいふは、

▽屋外おくがいでは原則げんそく不要ふよう

▽屋内おくないでも2メートルを目安めやすに周まわりとの距離きょりがとれ、会話かいわをほとんど行おこなわない場合ばあいには必要ひつようない

などとする方針ほうしんを示しめしています。

ことし5月つきに示しめされたものですが、いまだに十分じゅうぶんな理解りかいが得えられていないとして、国くにとしてもPRしています。

この方針ほうしんについて、和歌山わかやま市しの尾花おばな市長しちょうも記者きしゃ会見かいけんで、「マスクの着用ちゃくようで混乱こんらんしているというか、非常ひじょうに紛まぎらわしい状況じょうきょうで、ルールに基もとづいて着用ちゃくようしていない場合ばあいも、白しろい目めで見みられる感かんじもある」と述のべ、感染かんせんリスクが低ひくい場所ばしょではマスクを外はずしてもいい場合ばあいがあることを、改あらためて呼よびかけていく考かんがえを示しめしました。

あなたはなぜマスクを？

政府せいふや自治体じちたいの呼よびかけは、市民しみんに届とどいているのでしょうか。

屋外おくがいでのマスクの着用ちゃくようについて、和歌山わかやま市内しないで聞きいてみました。

10代だい女性じょせい

「感染かんせんが怖こわいので、外はずすことができない」

60代だい男性だんせい

「屋外おくがいだととっています。息苦いきぐるしいし、せっかくこんなにいい季節きせつなので」

30人にんに尋たずねたところ、

▼「着用ちゃくようする」が18人にん

▼「人ひとが多おおい場合ばあいはするなど使い分つかいわけている」が4人にん

▼「着用ちゃくようしない」が8人にん

という結果けっかでした。

理由りゆうもさまざまでしたが、感染かんせん対策たいさく以外いがいにも「周まわりの目めが気きになって外はずせない」という声こえが複数ふくすうありました。

40代だい男性だんせい

「みんなの目めが気きになるところもあるので。みんなつけている中なか、自分じぶんだけつけなかったら、違和感いわかんがあるというか。たぶん今いま外はずしてたら、みんなに見みられると思おもうので、ちょっと気きになる」

30代だい女性じょせい

「周まわりに人ひといたらするって感かんじ。何なにか申し訳もうしわけないんで」

20代だい女性じょせい

「してる人ひとが多おおい中なかでしないのは、逆ぎゃくに気きになる。コロナだからするのではなくて、みんなしているから」

よくわかります。つけなくてもいい場面ばめんだとわかっていても外はずせない。

周まわりがみんなマスクをしていると、外はずしてもいいのか不安ふあんになることもありますよね…。

公共こうきょう施設しせつ“呼よびかけられない”

取材しゅざいを進すすめると、和歌山わかやま市内しないの公共こうきょう施設しせつでは、屋外おくがいでのマスクの対応たいおうについて、あえて呼よびかけをしないところもあることがわかりました。

和歌山わかやま市しにある道みちの駅えき「四季しきの郷さと公園こうえん」には、遊具ゆうぐのある広場ひろばや、地元じもとの野菜やさいなどを販売はんばいする市場しじょう、それに食堂しょくどうがあり、家族かぞく連づれなどでにぎわう人気にんきの観光かんこうスポットです。

公園こうえんでは、屋内おくないの施設しせつについては、マスクの着用ちゃくようを県けんが作つくったポスターなどで呼よびかけています。

一方いっぽう、屋外おくがいでの対応たいおうについては、あえて呼よびかけはしていないといいます。

道みちの駅えき四季しきの郷さと公園こうえん李り野の高だか康やすし副ふく駅長えきちょう

「屋外おくがいについてはお客様おきゃくさまに判断はんだんをお任まかせしている状況じょうきょうです。これから第だい8波はも来くる可能かのう性せいがありますし、こちらから安全あんぜんなので皆みなさん外はずしてくださいと呼よびかけるのは、ちょっと難むずかしいと感かんじます。呼よびかけるために看板かんばんを立たてたとして、感染かんせん者しゃが出でたとなると、やはりわれわれの責任せきにんも問とわれかねないですし…」

県けんに問い合といあわせると、ホームページやTwitterなどのSNSに政府せいふの方針ほうしんを掲載けいさいしているものの、各かく施設しせつでどう呼よびかけるかは任まかせているということです。

県けんとして、マスクを外はずしてもよい場面ばめんがあることについての積極せっきょく的てきな呼よびかけはしないということでした。

なぜ海外かいがいと違ちがうのか？

新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいが始はじまって3年ねんがたとうとしています。

海外かいがいでは、ノーマスクで観光かんこうやスポーツ観戦かんせんを楽たのしむ人ひとたちの様子ようすがメディアで伝つたえられることも増ふえてきました。

私わたしたちは、この先さきマスクとどうつきあっていけばよいのでしょうか。

コロナ禍かにおける人々ひとびとの行動こうどうについて研究けんきゅうしている専門せんもん家かは、マスクの着用ちゃくようをどう進すすめてきたか、それぞれの国くにの方針ほうしんの違ちがいが影響えいきょうしている可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

九州きゅうしゅう工業こうぎょう大学だいがく佐藤さとう直樹なおき名誉めいよ教授きょうじゅ

「海外かいがいにはマスクの着用ちゃくようを法律ほうりつやルールで義務ぎむ化かするなどして進すすめてきた国くにがある一方いっぽう、日本にっぽんでは要請ようせいが中心ちゅうしんで、強制きょうせい力りょくのあるルールを使つかいませんでした。そうした中なかでも、多おおくの人ひとがマスクを着用ちゃくようしたのは、同調どうちょう圧力あつりょくによるところが大おおきいと感かんじます。マスクをしないのは人ひとに迷惑めいわくかける行為こういとされ、世間せけんの目めが圧力あつりょくをかけました。それが法律ほうりつと同おなじくらいの強制きょうせい力りょくを持もち、マスクの着用ちゃくようを浸透しんとうさせたのです。そのため、海外かいがいでは定さだめた義務ぎむを撤廃てっぱいすればマスクは外はずせるというメッセージが伝つたわりますが、日本にっぽんでは世間せけんの目めが変かわらなければ外はずせない。今いまは、こういう状態じょうたいにあると思おもいます」

こう分析ぶんせきしたうえで、佐藤さとう名誉めいよ教授きょうじゅは、政府せいふや自治体じちたいの情報じょうほう発信はっしんが不十分ふじゅうぶんだと指摘してきします。

「国くにのトップからは、屋外おくがいでマスクを外はずしてもよいということについて、はっきりとしたメッセージが伝つたわってきません。岸田きしだ総理そうり自身じしんが記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、科学かがく的てき根拠こんきょを用もちいて強つよいメッセージを出だすなどしないと、なかなか事態じたいは変かわらないのではないでしょうか」

外はずすとき注意ちゅういすること感染かんせん対策たいさくは緩ゆるめずに

マスクを外はずしたい人ひとが外はずしやすい環境かんきょうを整ととのえる一方いっぽう、感染かんせん対策たいさくの手ては緩ゆるめないようにしなければいけません。

マスクを外はずすときにはどんなことに注意ちゅういが必要ひつようか、感染かんせん症しょうが専門せんもんの和歌山わかやま県立けんりつ医科いか大学だいがくの小泉こいずみ祐介ゆうすけ教授きょうじゅに聞ききました。

小泉こいずみ教授きょうじゅ

「政府せいふが示しめした方針ほうしんのとおり、屋外おくがいで、人ひととの距離きょりがある状態じょうたいであれば、感染かんせんのリスクはほぼなく、着用ちゃくようしなくても問題もんだいありません。気きをつけなければならないのは　マスクを外はずしたまま行動こうどうしていると、着用ちゃくようしなければならない場面ばめんでつい忘わすれてしまうことです。会話かいわするときはつけるなど、うまく切り替きりかえる必要ひつようがあります。新型しんがたコロナの第だい8波はが来くることはおそらく間違まちがいありません。感染かんせんする可能かのう性せいのある行動こうどうをするときにはしっかりとマスクしておかないと、感染かんせんしたり、ほかの人ひとにうつしたりしてしまいます。そして、メッセージの出だし方かたも注意ちゅういが必要ひつようです。マスクをしなくていいということだけが伝つたわると、コロナの感染かんせん拡大かくだいはもう終おわったと誤解ごかいを与あたえるかもしれない。コロナはまだ終おわっていないので、必要ひつようなときには必かならず着用ちゃくようしてほしいと思おもいます」