安倍総理大臣は、縦割り行政の弊害をなくすため、政治主導の必要性を強調する一方、「新たな任期に挑戦する機会に、さまざまな批判を真摯(しんし)に受け止め、みずからを省みて、改めるべき点はしっかり改め、謙虚に、丁寧に、政権運営を行っていきたい」と述べました。
石破元幹事長は、森友学園や加計学園の問題を念頭に「信頼回復をしなければ、政府が行う大改革に国民が共感しない。政治の過度の介入で、官僚が萎縮することがあってはならず、100日プランを実行し、信頼回復を急がなくてはならない」と述べました。
政権運営
10日の立ち会い演説会と共同記者会見の論点です。まずは、政権運営の在り方について、意見が交わされました。
安倍総理大臣は、縦割り行政の弊害をなくすため、政治主導の必要性を強調する一方、「新たな任期に挑戦する機会に、さまざまな批判を真摯(しんし)に受け止め、みずからを省みて、改めるべき点はしっかり改め、謙虚に、丁寧に、政権運営を行っていきたい」と述べました。
石破元幹事長は、森友学園や加計学園の問題を念頭に「信頼回復をしなければ、政府が行う大改革に国民が共感しない。政治の過度の介入で、官僚が萎縮することがあってはならず、100日プランを実行し、信頼回復を急がなくてはならない」と述べました。
憲法改正
次に、憲法改正の進め方について、2人の違いが明らかになりました。安倍総理大臣は「自衛隊員が誇りを持って任務を全うできる環境を作るのは、今を生きる政治家の使命ではないか。憲法にしっかりと『日本の平和と独立を守ること』、『自衛隊』と書き込んで、私たちの使命を果たしていこうではないか」と述べ、自衛隊の存在の明記に重ねて強い意欲を示しました。
そのうえで、「秋の臨時国会を目指して議論を進めてもらいたい」としたうえで、「私は、今回しか総裁選挙に立候補できないので、あと3年でチャレンジしたい」と述べ、次の3年間の任期で憲法改正を実現したいという考えを示しました。
これに対し、石破氏は、自衛隊は、すでに国民に定着していると指摘したうえで、「必要なもの、急ぐものから取り組む。参議院選挙の合区の解消や、緊急事態条項が喫緊の課題だ」と述べ、自衛隊の明記より、合区の解消などを優先すべきだという考えを示しました。
また、「丁寧に説明していくことが必要で、理解がないまま国民投票にかけてはならない」と述べ、議論を尽くすよう求めました。
消費増税・少子高齢化
また、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げや少子高齢化が進む中での社会保障改革についても、議論になりました。
安倍総理大臣は「消費税は、予定どおり引き上げていきたい。自動車や住宅の消費を喚起し、商店街などの売り上げに悪い影響がないよう、きめこまやかな対応をしていきたい」と述べました。
そのうえで、「国難とも呼ぶべき少子高齢化にしっかりと向き合い、すべての世代が安心できる社会保障制度を作るため、3年で改革を断行していく」と述べました。
石破氏は「社会保障の改革と消費税率の引き上げは、あくまでセットで、10%まで上げるが、そこから先はわからないということではだめだ。いかにして負担を最小にして、幸せを最大にするか、極めて困難な課題だが、答えを出すのが政治の仕事だ」と述べました。
そして、「医療、介護、年金、子育て、働き方改革、女性活躍についての会議体を作る。タブーは一切排し、不都合なデータもすべて開示し、会議はすべて公開する」と述べました。
経済政策
さらに、経済政策についても、2人の方向性に違いが見られました。
安倍総理大臣は、雇用情勢が改善したことなどを挙げながら、「まっとうな経済を取り戻すことができた」、「景気回復の暖かい風が地方に届き始めた」と成果を強調し、アベノミクスの継続を訴えました。
これに対し、石破氏は「私がやりたいのは経済の再生で、その核は地方創生だ。地方に雇用と所得を取り戻していかなければならない。企業が収益を上げることと、一人ひとりの所得が上がるのは別の問題だ」と述べ、地方創生に重点を置いた政策に転換すべきだと主張しました。
防災対策
防災対策をめぐっても、意見が交わされました。
安倍総理大臣は、北海道での地震などを受けて、「さまざまな災害に対し、ライフラインを維持できるよう全国で緊急に総点検を行い、強じん化に取り組んでいく。近年の気象の変化に対応し、防災、減災、そして、国土強靭化のため、緊急対策を3年集中で講じ、安心できる、強じんな日本を作り上げていく」と述べました。
一方、石破氏は「実際に災害が起きて、どう対応するかではなく、平素から、どうするか考えておく必要がある。専任の大臣、スタッフで、能力の高い防災省を作っていく」と述べ、災害対応や防災対策に一元的にあたる「防災省」を新設すべきだと主張しました。