北海道ほっかいどう地震じしん 停電ていでんで隠かくれた被害ひがい 人工じんこう呼吸こきゅう器き停止ていしなど170人にん超ちょう搬送はんそう

その結果けっか、搬送はんそうされた人ひとは札幌さっぽろ市しや釧路くしろ市し、帯広おびひろ市しなどを中心ちゅうしんに少すくなくとも171人にんに上のぼり、このうち男性だんせい１いち人にんが死亡しぼうしていたことがわかりました。

死亡しぼうしたのは札幌さっぽろ市し北きた区くの84歳さいの男性だんせいで、肺炎はいえんのため自宅じたくで酸素さんそを吸入きゅうにゅうする機器ききを使つかっていましたが停電ていでんで使つかえなくなり、携帯けいたい用ようのボンベに取り替とりかえようとしていたところ、意識いしきを失うしない搬送はんそう先さきの病院びょういんで死亡しぼうしました。

搬送はんそうの主おもな原因げんいん別べつは

▽人工じんこう呼吸こきゅう器きやたんの吸引きゅういん器きなどが使つかえなくなった人ひとが141人にん、

▽室内しつないでの発電はつでん機き使用しようによる一いち酸化さんか炭素たんそ中毒ちゅうどくが10人にん、

▽信号しんごう機きがつかなくなった交差点こうさてんでの事故じこが10人にん、

▽暗くらい部屋へやなどでの転倒てんとうが９きゅう人にんでした。

このほか、家族かぞくの車くるまなどで病院びょういんに来きた人ひとが少すくなくとも130人にんいました。

北海道ほっかいどうは今回こんかいの地震じしんの人的じんてき被害ひがいについて、41人にんが死亡しぼうし691人にんがけがをしたと発表はっぴょうしていますが、停電ていでんによる二に次じ的てきな被害ひがいは原則げんそく含ふくめておらず、隠かくれた被害ひがいの実態じったいが浮き彫うきぼりになりました。

重病じゅうびょうの７なな歳さい男児だんじ 両親りょうしんの必死ひっしの搬送はんそうで助たすかる

間一髪かんいっぱつで命いのちを取とりとめた子こどももいました。

札幌さっぽろ市し豊平とよひら区くに住すむ清水しみず公こう介かい君くん（７なな）は重度じゅうどの脳性のうせいまひで、自力じりきで呼吸こきゅうしたり手足てあしを動うごかしたりすることができません。

このため母親ははおやの寛子ひろこさんが24時間じかん、つきっきりでたんの吸引きゅういんなどにあたっています。

先月せんげつ６ろく日にちの地震じしんで公おおやけ介かい君くんにけがはありませんでしたが、使つかっている医療いりょう機器ききの電源でんげんが停電ていでんで確保かくほできなくなりました。

特とくに深刻しんこくだったのは、吸すった空気くうきを体温たいおんまで温あたため、湿度しつども調節ちょうせつする「加か温ゆたか加湿かしつ器き」と呼よばれる機器ききです。

公おおやけ介かい君くんにとって鼻はなの役割やくわりを果はたす大事だいじなもので、これがないとたんが固かたまってしまい、窒息ちっそくするおそれがあります。

寛子ひろこさんは、この機器ききに自宅じたくにあった充電じゅうでん式しきの蓄電池ちくでんちを取り付とりつけましたが、わずか30分ふんで切きれてしまったといいます。

このため、加湿かしつの効果こうかを持続じぞくさせる「人工じんこう鼻はな」と呼よばれる器具きぐを公おおやけ介かい君くんにつけ、停電ていでんの復旧ふっきゅうを待まちましたが、それから２に時間じかんがたっても状況じょうきょうは変かわりませんでした。

電源でんげんを確保かくほしないとまずいと考かんがえた寛子ひろこさんは午前ごぜん６ろく時じすぎにかかりつけの病院びょういんに電話でんわをしましたが、何なん度どかけてもつながらなかったといいます。

そこで夫おっとが直接ちょくせつ病院びょういんへ出向でむいて受け入うけいれができることを確認かくにんし、自宅じたくマンションの７なな階かいから階段かいだんで、公おおやけ介かい君くんと重おもさが60キロ以上いじょうある医療いりょう機器ききを運び出はこびだしたということです。

結局けっきょく、車くるまで病院びょういんに到着とうちゃくしたのは地震じしんから６ろく時間じかん余あまりがたった午前ごぜん９きゅう時半じはんごろで、すでにたんが固かたまってのどに貼はりついていたということですが、医療いりょう機器ききをすぐに電源でんげんにつなぎ、一命いちめいを取とりとめました。

寛子ひろこさんは「停電ていでんがこんなに長引ながびくとは思おもっておらず、病院びょういんに受け入うけいれてもらった時ときはほっとしました。これからは自分じぶんたちで対処たいしょする方法ほうほうを身みにつけ、ほかの病院びょういんへの受け入うけいれも含ふくめたバックアップの態勢たいせいを作つくらなければならないと強つよく感かんじました」と話はなしていました。