米べい西部せいぶ「史上しじょう最悪さいあく規模きぼ」の山やま火事かじ 歴史れきし的てき天文台てんもんだいにも火の手ひのて迫せまる

一連いちれんの山やま火事かじではこれまでに少すくなくとも36人にんが死亡しぼうし、行方ゆくえが分わからない人ひともいて捜索そうさくが続つづけられています。

カリフォルニア州しゅうでは、ロサンゼルス郊外こうがいの山中さんちゅうに1904年ねんに作つくられた、「ウィルソン山やま天文台てんもんだい」にも火の手ひのてが迫せまっています。この天文台てんもんだいでは1920年代ねんだいに、当時とうじ世界せかい最大さいだいだった100インチの大だい口径こうけいの反射はんしゃ望遠鏡ぼうえんきょうを使つかって、天文学てんもんがく者しゃのエドウィン・ハッブルが「アンドロメダ銀河ぎんが」を観測かんそくし、私わたしたちの銀河ぎんがとは異ことなる銀河ぎんが系けいであることを発見はっけんしたほか、その後そのご、宇宙うちゅうの膨張ぼうちょうを示しめす証明しょうめいにつなげたことで知しられています。

現在げんざい、天文台てんもんだいの関係かんけい者しゃは避難ひなんし、消防しょうぼう隊員たいいん1500人にんが夜よるを徹てっして消火しょうか活動かつどうにあたっています。

大だい規模きぼな山やま火事かじはカリフォルニア州しゅうだけで20か所かしょ以上いじょうで起おきていて、各地かくちで懸命けんめいな消火しょうか活動かつどうが続つづけられています。

火事かじ範囲はんい 先月せんげつ18日にち～19日にちの間まで5倍ばい近ちかくに

この山やま火事かじで、カリフォルニア州しゅうの火事かじの範囲はんいが先月せんげつ18日にちから翌日よくじつの間まに5倍ばい近ちかくに広ひろがったことが衛星えいせいデータなどの解析かいせきで分わかりました。専門せんもん家かは、前線ぜんせんの通過つうかに伴ともなう落雷らくらいや強風きょうふうによって火ひが一気いっきに広ひろがったものと見みて、同おなじような気候きこうが続つづく来月らいげついっぱいまで山やま火事かじが引き起ひきおこされる可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

アメリカ西部せいぶで続つづいている山やま火事かじについて、NASA＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくのデータをもとにNHKが専門せんもん家かとともに解析かいせきしたところ、カリフォルニア州しゅうの火事かじの範囲はんいは先月せんげつ18日にち時点じてんの推計すいけいでおよそ3万まん3000ヘクタールでしたが、翌日よくじつにはおよそ15万まん400ヘクタールと、1日にちで5倍ばい近ちかくに広ひろがったことが分わかりました。

前線ぜんせん通過つうかで火事かじの範囲はんいが一気いっきに拡大かくだいか

さらに、当時とうじの気象きしょうデータと重ね合かさねあわせたところ、火事かじが広ひろがった18日にちの日ひ中ちゅうにカリフォルニア州しゅう上空じょうくうを低てい気圧きあつから伸のびる前線ぜんせんが通過つうかしていたことが分わかりました。

森林しんりんの生態せいたい系けいに詳くわしい国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょ、物質ぶっしつ循環じゅんかんモデリング・解析かいせき研究けんきゅう室しつの伊藤いとう昭彦あきひこ室長しつちょうは、「それまで高気圧こうきあつが広ひろがり、記録きろく的てきな高温こうおんと乾燥かんそうに見舞みまわれていた地域ちいきに低てい気圧きあつによる前線ぜんせんが通過つうかして雷かみなりと強風きょうふうが発生はっせいし、山やま火事かじが各地かくちで同時どうじ多発たはつ的てきに起おきたのではないか」と話はなしています。

そのうえで、一帯いったいでは来月らいげついっぱいまで高温こうおんと乾燥かんそうが続つづくことから、同おなじように前線ぜんせんの通過つうかなどをきっかけに、山やま火事かじが引き起ひきおこされる可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

一連いちれんの山やま火事かじをめぐっては、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうが森林しんりん管理かんりの問題もんだいだという考かんがえを示しめしている一方いっぽう、国連こくれんや気象きしょうの専門せんもん家かなどは地球ちきゅう温暖おんだん化かが背景はいけいにあるとして対策たいさくの緊急きんきゅう性せいを訴うったえています。

現地げんちでは当時とうじ、何なにが…

先月せんげつ19日にちに放送ほうそうされた地元じもとのABCテレビは、カリフォルニア州しゅう北部ほくぶのサクラメント市しから50キロほど離はなれた火災かさいの様子ようすを伝つたえています。

それによりますと、この地域ちいきでは18日にちから19日にちにかけ、複数ふくすうの火災かさいが一気いっきに広ひろがって周辺しゅうへん一帯いったいの住宅じゅうたくを焼やき尽つくし、住民じゅうみんは避難ひなんを余儀よぎなくされたということです。

火災かさいで家いえを失うしなった女性じょせいは、「火ひが壁かべのようになって向むかってきた。とても恐おそろしかった」と話はなしていました。

別べつの女性じょせいは、「わずか30秒びょうで家いえが火ひに包つつまれた。住宅じゅうたく保険ほけんにも入はいっておらず、すべてを失うしなってしまった」とぼう然ぼうぜんとした様子ようすで話はなしていました。

また、報道ほうどうによりますと、周辺しゅうへんでは数すう日にち前まえから落雷らくらいも相次あいついでいたということです。