全国ぜんこく学力がくりょくテスト結果けっか公表こうひょう 初はじめての英語えいごに課題かだい

各かく教科きょうか別べつの平均へいきん正答せいとう率りつをみると、小学校しょうがっこうは国語こくごが64％、算数さんすうが66.7％、中学校ちゅうがっこうは国語こくごが73.2％、数学すうがくが60.3％、今回こんかい初はじめて行おこなわれた英語えいごは「読よむ、聞きく、書かく」の問題もんだいが56.5％、「話はなす力ちから」の問題もんだいが30.8％（参考さんこう値ち）でした。

小学校しょうがっこう

都道とどう府県ふけん別べつに最もっとも正答せいとう率りつが高たかかったのは、小学校しょうがっこうの▼国語こくごが秋田あきた県けんで74％、次ついで、石川いしかわ県けんと福井ふくい県けんが72％、▼算数さんすうが石川いしかわ県けんで72％、次ついで、秋田あきた県けんと東京とうきょう都とで70％でした。

中学校ちゅうがっこう

中学校ちゅうがっこうは▼国語こくごが秋田あきた県けんで78％、次ついで石川いしかわ県けんと福井ふくい県けんで77％、▼数学すうがくが福井ふくい県けんで66％、次ついで石川いしかわ県けんと富山とやま県けん、それに秋田あきた県けんで65％、▼英語えいごは福井ふくい県けんと神奈川かながわ県けん、それに東京とうきょう都とがいずれも59％でした。

現在げんざい、英語えいごは、小学校しょうがっこう高だか学年がくねんで必修ひっしゅうとなっていますが、来年度らいねんどからは、通知つうち表ひょうで評価ひょうかもされる教科きょうかに格上かくあげされます。

専門せんもん家か「これまでの英語えいご教育きょういく 分析ぶんせきを」

今回こんかいの英語えいごの結果けっかについて英語えいご教育きょういくに詳くわしい立教りっきょう大学だいがくの鳥飼とりかい玖美子くみこ名誉めいよ教授きょうじゅは「今回こんかいテストを受うけた子こどもたちは、小学生しょうがくせいの時ときに英語えいごが導入どうにゅうされた最初さいしょの世代せだいで、この期間きかんの英語えいご教育きょういくの成果せいかが問とわれたと言いえるが、結果けっかから見みれば十分じゅうぶんな成果せいかがあがったとは言いえない。国くにはこの結果けっかを分析ぶんせきして、あらためて本当ほんとうの英語えいごを身みにつけるにはどうしたらいいのか、これまでの英語えいご教育きょういくが正ただしかったのか、今いま一いち度ど立ち止たちどまって考え直かんがえなおすべきだ」と指摘してきしています。

また、再さい来年らいねんから始はじまる大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテストに英語えいごの民間みんかん試験しけんが導入どうにゅうされたり、来年度らいねんどから小学校しょうがっこう高だか学年がくねんで英語えいごが教科きょうかとされたりすることについては「子こどもたちも先生せんせいも英語えいごがプレッシャーになると、みんなが不幸ふこうになってしまう。本当ほんとうのコミュニケーションとは何なになのか冷静れいせいに考かんがえて英語えいご教育きょういくを再考さいこうした方ほうがいいのではないか」と話はなしていました。

夏期かき講習こうしゅうで英語えいごの特訓とっくん

大おおきく変かわる英語えいご教育きょういく。学校がっこう現場げんばでは夏休なつやすみも対応たいおうに追おわれています。

東京とうきょう 狛江こまえ市しの狛江こまえ第だい三さん中学校ちゅうがっこうで、先週せんしゅう、夏期かき講習こうしゅうが開ひらかれました。

生徒せいとたちは、それぞれパソコンに向むかいインターネットを通をつうじてフィリピン人じんの英語えいご講師こうしから１いち対たい１いちで指導しどうを受うけて、英会話えいかいわに取り組とりくみました。

この中なか学校がっこうでは、こうしたオンラインの英語えいご教育きょういくに３さん年ねん前まえから取り組とりくんでいるということです。

小島こじま弘ひろし靖やすし教諭きょうゆは「日本人にっぽんじんの教員きょういんだけでは、英語えいごのコミュニケーションを教おしえることは難むずかしい。オンラインでの学習がくしゅうは英語えいごを学まなぶいいきっかけになっています」と話はなしていました。

参加さんかした男子だんし生徒せいとは「ふだんは話はなす機会きかいが少すくない外国がいこくの人ひとから教おしえてもらえて勉強べんきょうになります」と話はなしていました。文部もんぶ科学かがく省しょうは、今いまの学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうで、英語えいご教育きょういくを充実じゅうじつさせるため、こうした情報じょうほう通信つうしん機器ききを活用かつようした取り組とりくみを進すすめるよう求もとめていますが、公立こうりつ学校がっこうではなかなか普及ふきゅうしていないのが実情じつじょうです。

教員きょういんも

一方いっぽう、子こどもを教おしえる教員きょういんの英語えいご力りょくも課題かだいとなっています。７月しちがつ26日にち、東京とうきょう 新宿しんじゅく区くで大手おおて英会話えいかいわ教室きょうしつが開ひらいた英語えいご研修けんしゅう会かいです。

小学校しょうがっこうの教員きょういん60人にん余あまりが参加さんかして、授業じゅぎょうで使つかいやすい英語えいごのフレーズを練習れんしゅうしたり、英文えいぶんを音読おんどくしたりして、意味いみを理解りかいするポイントを学まなんでいました。

小学校しょうがっこうでは、来年度らいねんどから高学年こうがくねんで英語えいごが教科きょうかとなりますが、国くにの調査ちょうさでは英語えいごの免許めんきょを持もつ教員きょういんは６ろく％にとどまるなど、指導しどう力りょくの向上こうじょうは大おおきな課題かだいです。

教師きょうし歴れき15年ねんという男性だんせい教員きょういんは「教師きょうしになった頃ころは英語えいごを教おしえると思おもっていませんでしたが頑張がんばります」と話はなしていました。

講師こうしを担当たんとうした菅井すがい幸子さちこさんは「苦手にがて意識いしきを持もつ教員きょういんは多おおいですが、子こどもとともに学まなんでいくことが大事だいじだと思おもいます」と話はなしていました。

英語えいご教育きょういく 「これまで」と「これから」

日本にっぽんの英語えいご教育きょういくは戦後せんご長ながく、中学校ちゅうがっこう以上いじょうで行おこなわれてきましたが、受験じゅけんで出題しゅつだいされる文法ぶんぽうや読解どっかいが中心ちゅうしんで、実際じっさいに使つかえる英語えいご力りょくが身みにつかないとされてきました。

このため、国くにはこの10年ねんほどで英語えいご教育きょういくのあり方ありかたを大おおきく見直みなおしました。

まずは、小学校しょうがっこうで英語えいごを学まなぶ「外国がいこく語ご活動かつどう」を2011年ねんから小学しょうがく５ご年生ねんせいと６ろく年生ねんせいで必修ひっしゅう化か。来年度らいねんど（2020年度ねんど）からは、それを小学しょうがく３さん年生ねんせいに前まえ倒たおします。

さらに、小学校しょうがっこうの高学年こうがくねんは教科きょうかに格上かくあげし聞きく、話はなす力ちからだけでなく、教科書きょうかしょを使つかって、読よんだり書かいたりする力ちからも養やしない、通知つうち表ひょうで評価ひょうかもされます。

また、大学だいがく入試にゅうしでも再さい来年らいねん１月いちがつから始はじまる「大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテスト」に英語えいごの民間みんかん検定けんてい試験しけんを導入どうにゅうし、「読よむ力ちから」「聞きく力ちから」「話はなす力ちから」「書かく力ちから」のいわゆる４よん技能ぎのうを測定そくていすることにしています。

こうしたさまざまな改革かいかくに対にたいしてはグローバル社会しゃかいで生いきる子こどもたちにとって必要ひつようだとする意見いけんがある一方いっぽう、早はやくからの英語えいご教育きょういくの実効じっこう性せいや、増加ぞうかする教員きょういんの負担ふたんを懸念けねんする意見いけんもあります。