韓国の市民は
韓国メディアは、バイデン氏が勝利を宣言した演説を生中継で伝え、ソウル駅に設置されたテレビの前では、多くの人がその様子を見守っていました。
このうち、60代の男性は、「演説は、人間性があふれていて、感動的だった。自国のことだけを考えていたトランプ大統領と違って、各国とうまくできると思うし、韓国のことも助けて欲しい」と話していました。
また、70代の男性は、バイデン氏について、「上院議員や副大統領を務めるなど、政治経験も豊富で、大統領になるべき人がなった」と話していました。
そのうえで、韓国に駐留するアメリカ軍の経費をめぐり、トランプ政権が大幅な負担の増加を求めてきたことを踏まえ、「トランプ大統領は、あまりにも要求しすぎていた。今後、アメリカとの関係はよくなると信じている」と期待を示していました。
一方で、50代の女性は、バイデン氏を歓迎しながらも、北朝鮮との関係については「バイデン氏は、トランプ大統領よりは友好的ではないようなので、状況はよくならないでしょう。そうなれば、また北による挑発があるかもしれない」として、不安ものぞかせていました。
台湾の市民 冷静な受け止め
台湾では、中国に強硬な姿勢をとるトランプ政権が台湾とアメリカの関係強化を進めたこともあり、事前の世論調査でトランプ大統領の再選に期待する人の割合が高くなっていましたが、バイデン前副大統領の当選が確実となったことについて、台北の人たちは冷静に受け止めています。
30代の女性は、「バイデン氏がどんな政策をとるのかはっきりとはわからないが、トランプ大統領よりも台湾と中国の関係を安定する方向にもっていくのではないか」と話していました。
40代の男性は、バイデン氏が多国間の枠組みを重視しているとの見方から、「バイデン氏が大統領になったらアメリカとヨーロッパの関係がよくなって、反中勢力がもっと団結できるのではないか。長い目で見れば、それは台湾にとってよいことだろう」と話していました。
30代の男性は、ことし1月の総統選挙で当選した蔡英文総統にバイデン氏がツイッターで祝意を示していたことを挙げ、「バイデン氏のことを中国寄りだと言う人もいるが、蔡総統との関係はよさそうだと感じる。台湾とアメリカの関係がすぐに影響を受けることはないだろう」と話していました。
アフガニスタン市民「歓迎と期待」
アメリカ軍の撤退などで治安が悪化しているアフガニスタンでは、市民から歓迎と期待の声が多く聞かれました。
このうち首都カブールの自営業の30代の男性は、「バイデン氏の勝利が確実になったと聞いて、とてもうれしいです。トランプ大統領になってからアフガニスタンの状況は悪化するばかりで、バイデン氏にはわれわれの政府の治安部隊を支援してもらい、治安の回復に力を尽くしてもらいたい」と話していました。
また、40代の男性は、「アメリカの新しい大統領にはアフガニスタンに真の和平が訪れるまでアメリカ軍の駐留が必要だと伝えたい。現在、国内では反政府武装勢力タリバンや過激派組織IS=イスラミックステートなど武装勢力が攻勢を強めている。トランプ大統領は、アフガニスタンからアメリカ軍を撤退させているが、治安が安定するまでは軍の駐留を望みます」と話していました。
バイデン氏ゆかりの北京の食堂は?
バイデン氏は2011年8月に、オバマ政権の副大統領として中国の北京を訪れ、北京駐在のアメリカ大使らとともに、北京中心部にある庶民的な食堂を訪れました。
当時、バイデン氏らを迎えた店主の姚燕(よう・えん)さんによりますと、バイデン氏は、中国の庶民と交流したいとして、個室ではなく一般客と同じホールで食事をとり、北京名物のジャージャー麺などを味わったということです。また、写真撮影にも気軽に応じていたということです。
姚さんは、「店内は、顔なじみの友人らが集まって楽しんでいるような雰囲気だった。バイデンさんは、友好的な人だと思うので大統領になったら、中国とアメリカとの関係や、世界平和を促進できると思う」と話していました。
また、店を訪れた客からも、バイデン氏への期待の声が聞かれ、このうち、30代の男性は、「バイデン氏が大統領になると、 アメリカとの関係はいくぶん良くなるのではないか。両国はともに発展していくべきで、それが世界にも幸せをもたらすと思う」と話していました。
また、70代の男性は、「アメリカは、新型コロナウイルスの感染状況がひどい。バイデン氏には、感染対策を重視して、アメリカでの感染を抑えてほしい」と話していました。
ロシア市民 政策変更を求める声
アメリカとの関係が冷え込んでいる、ロシアの首都モスクワの市民の間では、バイデン氏に対して、経済制裁の解除などロシア政策の変更を求める声が上がっています。
20代の男性は、「トランプ大統領の印象は4年前と今でずいぶん異なる。バイデン新政権になってアメリカとの関係がどう変わるのか、じっくり見ていきたい」と話していました。
20代の女性は、「悪化した米ロ関係を正常化する必要があります。そして両国の国民が互いへの関心を持つようになって欲しい」と話していました。
30代の男性は、「経済制裁を解除し、ロシアとの関係をもっと友好的なものにするべきだ。物価が上がりっぱなしで困る」と話していました。
50代の女性は、「まずは経済制裁を解除するべきだ。それから平和の構築に取り組み戦争のない世の中にしてほしい」と話していました。
イラン市民 制裁解除に期待の声
トランプ政権から厳しい経済制裁を科されてきたイランの国民からは、バイデン氏のもとで制裁が解除され、国内経済が上向くことに期待する声が聞かれました。
39歳の男性は、「トランプ大統領が負けてうれしい。バイデン氏の勝利は重要だ。イランがバイデン氏との間で制裁解除の合意をとりつけ、経済状況が改善されることを期待している」と話していました。
また、74歳の男性は、「民主党と共和党で考え方も違うので、制裁が解除されると思う。楽観している」と話していました。
一方で、IT企業で働く33歳の男性は、「アメリカのイラン政策に何ら変化は起きないと思う」と話していたほか、23歳の看護師の男性も、「それほど期待していない。制裁が緩和され、経済状況が改善することはないだろう」と話し、両国間の対話は進まず、アメリカによる厳しい制裁が続くことに警戒する声も上がっています。
ハリス氏ゆかりのインドでは
副大統領候補、カマラ・ハリス上院議員の母親の出身地であるインドでも、地元の人たちが喜びの声を上げています。
ハリス氏の母方の祖父の出身地、南部タミルナド州の村では8日住民たちが集まり、お祝い事で使われる爆竹をならしていました。
そして、伝統的な手法で、色のついた粉を使って地面に文字を描き、「おめでとうございます。私たちの村の誇りです」と祝福していました。
また、ハリス氏が現地に住む叔母を通して寄付をするなどゆかりのあるヒンドゥー教の寺院でも、住民たちが参加してハリス氏を祝福する儀式が行われました。
住民の男性は、「次期副大統領を心から祝福します。ハリス氏の勝利にはかりしれない誇りを感じています」と話していました。
さらに首都ニューデリーに住むハリス氏の叔父は、「すばらしい勝利で今後4年間はよくなるでしょう。ハリス氏はこれまで正しいことをしてきたし、これからもよい仕事をしてほしいです」と話していました。
ドイツのメディア 大きく伝える
ドイツのメディアもバイデン氏の当選確実について大きく伝えています。
このうち、ドイツの有力紙、「南ドイツ新聞」は「アメリカがWHO=世界保健機関や、パリ協定に戻ってくることが期待され、喜びは大きい」とドイツの受け止めを伝える一方で「バイデン氏のもとでも、防衛費の問題や、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン、ノルドストリーム2をめぐって不愉快なこともあるだろう」などと伝えています。
また、有力誌「シュピーゲル」は「再びアメリカを偉大にする」というタイトルのもと、バイデン氏が自由の女神像の首をもとに戻そうとするようなイラストを掲載してバイデン氏の勝利を伝えています。
フランスメディア 「安堵」
フランスのメディアはバイデン氏の当選確実について大きく伝えています。
このうちフランスの公共ラジオ「フランスアンフォ」の電子版は7日、「トランプ氏が敗北を認めていないなか、世界中の首脳が、バイデン氏の勝利をたたえている。トランプ氏との、ときには騒動が絶えない関係を経て祝福の言葉は安堵に満ちている」と伝えています。
また、公共放送「フランス2」もフランスの大統領府の前から記者が中継を行い、「マクロン大統領がバイデン氏を個人的には知らなくてもパリ協定に署名するという発表を喜べるし、バイデン氏との関係がより丁寧で予測可能になることも知っている」と指摘しました。
その上で「トランプ氏のアメリカよりもバイデン氏のアメリカと一緒に仕事をする方が簡単なのは間違いないだろう」という外交官の話を引用してフランス政府が前向きに受け止めているという見方を示しています。