日本新聞: イラク米軍撤退に向け協議求める

イラク米べい軍ぐん撤退てったいに向むけ協議きょうぎ求もとめる

Jan 11, 2020 08:01 3

Furigana

アメリカとイランの対立たいりつの舞台ぶたいとなっているイラクでは、議会ぎかいがアメリカ軍ぐんなど外国がいこく部隊ぶたいの駐留ちゅうりゅうに反対はんたいする決議けつぎを行おこなったことを受うけ、アブドルマハディ暫定ざんてい首相しゅしょうは、アメリカに軍ぐんの撤退てったいに向むけて協議きょうぎするよう求もとめました。ただ、アメリカ政府せいふは現時点げんじてんで撤退てったいの考かんがえはないことを明あきらかにしていて、協議きょうぎに応おうじるかどうかは不透明ふとうめいです。イラクでは首都しゅとバグダッドでアメリカ軍ぐんがイランの司令しれい官かんを殺害さつがいしたことを受うけ、議会ぎかいが今月こんげつ５ご日にち、アメリカ軍ぐんなど外国がいこく部隊ぶたいの駐留ちゅうりゅうに反対はんたいする決議けつぎを行おこなうなど反はん米べい感情かんじょうが高たかまっています。

イラク首相しゅしょう府ふによりますと、アブドルマハディ暫定ざんてい首相しゅしょうは９きゅう日にち夜よる、アメリカのポンペイオ国務こくむ長官ちょうかんと電話でんわ会談かいだんし、イラン側がわの報復ほうふく攻撃こうげきも含ふくめ、「イラクの主権しゅけんを侵害しんがいするいかなる行為こういも拒否きょひする」と強調きょうちょうしました。

そのうえでイラク議会ぎかいの決議けつぎに基もとづいてアメリカ軍ぐんの撤退てったいに向むけた枠組わくぐみを話し合はなしあうための代表だいひょう団だんをイラクに送おくるようポンペイオ長官ちょうかんに求もとめました。

ただ、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは７なな日にち、「われわれが撤退てったいすればイランがさらに足場あしばを拡大かくだいすることになる」と述のべ、現時点げんじてんでアメリカ軍ぐんを撤退てったいさせる考かんがえはないことを明あきらかにしていることから、アメリカが協議きょうぎに応おうじるかどうかは不透明ふとうめいです。

イラクにはおよそ5200人にんのアメリカ軍ぐんの部隊ぶたいが駐留ちゅうりゅうする一方いっぽう、イランとつながりのあるイスラム教いすらむきょうシーア派はの民兵みんぺい組織そしきが強つよい影響えいきょう力りょくを持もっていて、アメリカとイランの対立たいりつの最前線さいぜんせんとなっています。

米べい国務省こくむしょうイラクからの撤退てったい協議きょうぎ否定ひていの声明せいめい

アメリカ国務省こくむしょうは10日にち、声明せいめいを出だし、「アメリカがイラクに代表だいひょう団だんを送おくるのはアメリカ軍ぐんの撤退てったいを話し合はなしあうためではなく、中東ちゅうとうにおけるアメリカ軍ぐんの適切てきせつな配備はいびを話し合はなしあうためだ」として、今いまのところ撤退てったいの協議きょうぎに応おうじるつもりはないという考かんがえを示しめしました。

その理由りゆうとして国務省こくむしょうは、イラクにアメリカ軍ぐんが駐留ちゅうりゅうしているのはＩＳ＝イスラミックステートに対にたいする戦たたかいを続つづけるためだとし、「アメリカはアメリカとイラクの国民こくみん、それに有志ゆうし連合れんごうの各国かっこくを守まもっていく」としています。

声明せいめいではイラクの防衛ぼうえいについてはアメリカだけでなく、ＮＡＴＯなと-＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうが負担ふたんを増ふやすよう協議きょうぎしているとする一方いっぽうで、アメリカとしては今後こんごもイラクと友好ゆうこう的てきな関係かんけいを維持いじしたいと強調きょうちょうしています。

イラクで反はん政府せいふデモアメリカとイランの双方そうほうを非難ひなん

イラクでは去年きょねん10月つきから続つづく大だい規模きぼな反はん政府せいふデモが10日にち、首都しゅとバグダッドなどで行おこなわれ、政府せいふへの批判ひはんにとどまらずイラクを舞台ぶたいに対立たいりつを深ふかめるアメリカとイランの双方そうほうを非難ひなんし、イラクへの介入かいにゅうをやめるよう訴うったえました。

このうち南部なんぶナジャフでは、デモの参加さんか者しゃはアメリカの国旗こっきを踏ふみつけたり、「アメリカもイランもいらない」と声こえをあげてデモ行進こうしんしたりしていました。

また、中部ちゅうぶカルバラでは、イスラム教いすらむきょうの金曜きんよう礼拝れいはいでシーア派はの最高さいこう権威けんいシスターニ師しの声明せいめいが読み上よみあげられ、イラク国内こくないでのアメリカやイランの攻撃こうげきは「主権しゅけんの侵害しんがいだ」と強つよく非難ひなんしたうえで、「外国がいこく勢力せいりょくはイラクの意思いし決定けっていに干渉かんしょうすべきではなく、イラク国民こくみんの意思いしに従したがうべきだ」として、アメリカやイランの介入かいにゅうを拒否きょひする考かんがえを強調きょうちょうしました。