WHO=
世界保健機関は、
中国で
新型のコロナウイルスによるとみられる
肺炎の
患者が
増えていることについて
対応を
協議するため、
このあと
日本時間の22
日午後8時から
緊急の
委員会を
開く予定です。
委員会では
最新の
感染状況などを
踏まえて「
国際的に
懸念される
公衆衛生上の
緊急事態」にあたるか
どうか
判断する
見通しです。
新型のコロナウイルスによるとみられる
肺炎は、
中国の
湖北省武漢を
中心に
感染が
広がり、
中国の
ほかに
日本や
アメリカなどでも
患者が
確認されています。こうした
事態を
受けて、
WHOはスイスのジュネーブに
ある本部で
日本時間の22
日午後8時から、
中国や
日本、
アメリカなど各国の
専門家や
保健当局の
担当者など
合わせて20
人以上が
参加する
緊急の
委員会を
開き、
対応を
協議する
予定です。
緊急の委員会では、電話で各地を結んで最新の状況についての報告が行われ、専門家が国を超えて感染が広がるおそれのある「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」かどうか判断する見通しです。
WHOはこれまでに2009年の豚インフルエンザや、去年のエボラ出血熱などで「緊急事態」を宣言しています。
今回、緊急委員会が「緊急事態」と判断した場合、WHOは空港や港での検疫の強化といった対策を各国に勧告するとみられ、感染の拡大を防ぐ国際的な対応が求められることになります。
WHOによる過去の「緊急事態宣言」
WHO=世界保健機関の「緊急事態」は、2003年に中国やアジア各地を中心に広がった新型肺炎「SARS」での対応を踏まえて、2005年に改正された「国際保健規則」に基づいて宣言されます。
「緊急事態」は、▼病気が国際的に拡大し、ほかの国に公衆衛生上の危険をもたらすとみられ、▼緊急に国際的な対策の調整が求められるときに、WHOのトップ、事務局長が、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」として宣言することになっています。
これまでに「緊急事態」が宣言されたのは、
▼2009年4月に、当時、新型とされたインフルエンザが世界的に拡大したとき、
▼2014年5月に、手足のまひなどを引き起こす、ポリオへの感染者がパキスタンやシリアなどアジアやアフリカ諸国で増えたとき、
▼2014年8月に、致死率が高いエボラ出血熱が西アフリカのリベリアなどで広がったとき、
▼2016年2月に、妊娠中の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんに小頭症などの障害が出るジカ熱がブラジルなど中南米で拡大したとき、
それに、▼去年(2019)7月に、エボラ出血熱がアフリカ中部のコンゴ民主共和国やウガンダで広がったときの5回あります。
緊急事態宣言が出されると、WHOは加盟国に対し、事務局長が勧告を出すことになっています。
勧告は、感染の拡大を防ぐことや、人やモノの移動について不必要な制限をしないという観点も考慮して出されます。
これに基づいて、各国は対応を取ることになっていて、たとえば去年、エボラ出血熱に関して緊急事態宣言が出されたとき、厚生労働省は、病気が発生している国に行く際には発生地域には近づかず、患者への接触を避けるなどといった行動を呼びかけるとともに、帰国時の検疫への協力を呼びかけました。