ASEAN=
東南アジア諸国連合の
加盟国と、
日本や
アメリカ、
中国などが
参加する
東アジアサミットが
4日開かれ、
南シナ海の
領有権をめぐる
問題など
地域の
安全保障について
意見を
交わします。タイで
行われている
ASEANの
一連の
首脳会議で、
最終日の
4日は、
ASEAN加盟国と
日本や
アメリカ、
中国など合わせて18
か国が
参加する
東アジアサミットが
開かれます。
サミットでは、アメリカと中国が対立を深める南シナ海の領有権をめぐる問題が話し合われる見通しです。
これを前に中国の李克強首相は2日から現地入りして、ASEAN各国の首脳と個別に会談し、3日は中国とASEAN10か国の首脳会議に出席して、南シナ海をめぐるみずからの主張への支持の取り付けをはかっています。
一方、アメリカは大統領補佐官の派遣にとどまり、ASEAN各国の首脳との接触も限られるなかで、4日の東アジアサミットでどこまで存在感を示せるか注目されます。
また、サミットでは、北朝鮮の非核化についても議論される予定で、停滞する米朝協議の早期の再開を呼びかけるものとみられます。
ASEAN議長声明 南シナ海問題を「懸念」
2日、タイで開かれたASEAN=東南アジア諸国連合の10か国の首脳会議の議長声明が発表され、中国が海洋進出を強める南シナ海の問題をめぐり、「懸念」という中国をけん制する表現を盛り込んだ一方で、紛争を防ぐための協力が進展していることを歓迎するなど、配慮もみせる内容となりました。
南シナ海をめぐっては領有権問題を抱えるベトナムがタイとの首脳会談で、中国の動きを強く警戒する立場への支持を呼びかけたほか、3日の中国とASEANの首脳会議では、フィリピンも南シナ海の問題に言及し、すべての国が国際法を順守するべきだと発言し、今回の議長声明で、中国に対してどこまで強い姿勢が示されるか注目されていました。
3日発表された議長声明では、中国が海洋進出を強める南シナ海の問題をめぐり、「埋め立てなどの活動についていくつかの懸念に留意した」としたうえで「相互の信頼醸成や事態をさらに複雑化させる行動を避けることなどの必要性を改めて確認した」という表現が盛り込まれました。
声明では、問題への「懸念」という中国をけん制する表現を盛り込んだ一方で、南シナ海での紛争を防ぐため中国と策定を目指しているルールづくりの交渉が進み、協力が進展していると歓迎するなど配慮もみせる内容となりました。
ロヒンギャ問題支援チーム設置
ASEAN首脳会議の議長声明には、ミャンマーのイスラム教徒の少数派、ロヒンギャの人たち70万人余りが隣国バングラデシュに避難を余儀なくされている問題の解決に向けて、臨時の支援チームを発足させることも盛り込まれました。
支援チームはASEAN事務局に設置され、難民の帰還に向けたミャンマー政府の取り組みを支援するとしています。
3日、ASEAN各国の首脳との会議に臨んだ国連のグテーレス事務総長は会議のあとに開いた会見で、「ASEANとミャンマーの取り組みを国連としても全力で支援する」と述べて、問題解決に向けたASEANとしての新たな取り組みを歓迎する考えを示しました。
ロヒンギャ難民の問題を巡ってASEANは、これまで内政不干渉の原則からミャンマー政府の考えや行動を尊重する立場を取ってきましたが、問題の発生から2年をすぎて、なお難民の帰還が進まないなか、今後、関与をどの程度強めていくのか注目されます。