日本新聞: ＣＯＰ25開幕パリ協定に向け温暖化対策機運高められるか焦点

地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくを話し合はなしあう国連こくれんの会議かいぎ「ＣＯＰ25」が、スペインで開幕かいまくしました。温暖おんだん化か対策たいさくの国際こくさい的てきな枠組わくぐみ「パリ協定きょうてい」が来年らいねんから始はじまるのを前まえに、対策たいさくの強化きょうかに向むけて機運きうんを高たかめていけるかが焦点しょうてんとなります。「ＣＯＰ25」は国連こくれんが主導しゅどうする地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくを話し合はなしあう会議かいぎで、当初とうしょはチリのサンティアゴで開催かいさいされる予定よていでしたが、チリ政府せいふがことし10月つき、デモや暴動ぼうどうなどの影響えいきょうで開催かいさいを断念だんねんしたため、急きゅうきょ開催かいさい場所ばしょが変更へんこうされ、日本にっぽん時間じかんの２に日にち午後ごご４よん時じすぎ、スペインの首都しゅとマドリードで開幕かいまくしました。

初日しょにちは国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうやＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうのフォンデアライエン委員いいん長ちょうらが出席しゅっせきして首脳しゅのう級きゅうの会合かいごうも開ひらかれます。

会議かいぎではすべての国くにが温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんに取り組とりくむよう定さだめた「パリ協定きょうてい」が来年らいねんから始はじまるのを前まえに、削減さくげんの対策たいさく強化きょうかに向むけた機運きうんを高たかめていけるかが焦点しょうてんとなります。

またパリ協定きょうていの実施じっしに必要ひつようなルールの多おおくは去年きょねん採択さいたくされましたが、他国たこくへの技術ぎじゅつ支援しえんなどで削減さくげんできた温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを自国じこくの削減さくげん分ぶんとして計算けいさんする仕組しくみなど、協議きょうぎが続つづく一部いちぶのルールでも各国かっこくが合意ごういできるかが注目ちゅうもくされます。

「ＣＯＰ25」は今月こんげつ13日にちまで開ひらかれ、日本にっぽんからは小泉こいずみ環境かんきょう大臣だいじんが出席しゅっせきする予定よていのほか、温暖おんだん化か対策たいさくを求もとめる若者わかものの運動うんどうを世界せかい的てきに広ひろげたスウェーデンの16歳さい、グレタ・トゥーンベリさんも参加さんかすることになっています。

外務省がいむしょう高杉たかすぎ審議しんぎ官かん「日本にっぽんの取り組とりくみも問とわれる」

日本にっぽんの交渉こうしょう担当たんとう代表だいひょうの外務省がいむしょう国際こくさい協力きょうりょく局きょくの高杉たかすぎ優ゆう弘ひろ審議しんぎ官かんは会場かいじょうに入はいる前まえ、「日本にっぽんとしては、先進せんしん国こくと途上とじょう国こくとの立場たちばの違ちがいについて対立たいりつを促うながすのではなく、協力きょうりょくを促うながすような形かたちに持もっていきたい」と抱負ほうふを述のべたうえで、「日本にっぽんが各国かっこくをリードしていくうえでは日本にっぽん自身じしんの取り組とりくみも問とわれていると思おもうので、しっかりと示しめしていきたい」と述のべました。

協定きょうていから離脱りだつ通告つうこくのアメリカは

温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうで中国ちゅうごくに続つづいて世界せかい第だい２に位いのアメリカは民主党みんしゅとうのオバマ政権せいけんのもとで、中国ちゅうごくとも協力きょうりょくし、率先そっせんしてパリ協定きょうていの発効はっこうに尽力じんりょくしてきました。

しかし温暖おんだん化か対策たいさくに後ろ向うしろむきなトランプ大統領だいとうりょうのもとで先月せんげつ４よん日にち、パリ協定きょうていからの離脱りだつを国連こくれんに正式せいしきに通告つうこくしたため、来年らいねんの11月つき４よん日にちに協定きょうていから離脱りだつすることになっています。

トランプ大統領だいとうりょうはパリ協定きょうていについて、これまで「アメリカの雇用こようを奪うばう」とか、「金きんがかかり一方いっぽう的てきだ」などと批判ひはんしてきました。

アメリカでは石油せきゆや石炭せきたんの産業さんぎょうに関かかわる共和党きょうわとうの支持しじ者しゃを中心ちゅうしんに温暖おんだん化か対策たいさくに否定ひてい的てきな人ひとは少すくなくないため、トランプ大統領だいとうりょうとしては来年らいねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけて支持しじを固かためるねらいがあるとみられています。

アメリカ政府せいふの関係かんけい者しゃはＣＯＰでの議論ぎろんには「国益こくえきを守まもるため」などとして引き続ひきつづき参加さんかしていますが、世界せかい第だい２に位いの排出はいしゅつ国こくがパリ協定きょうていを離脱りだつすることが正式せいしきに決きまったことで、発展はってん途上とじょう国こくを含ふくむすべての国くにが削減さくげん目標もくひょうを設定せっていして対策たいさくを進すすめるというパリ協定きょうていの意義いぎが損そこなわれ、排出はいしゅつ削減さくげんに向むけての機運きうんがそがれることが懸念けねんされます。

また協定きょうていでは先進せんしん国こくが途上とじょう国こくの取り組とりくみを資金しきん面めんで支援しえんすることになっていますが、アメリカの離脱りだつによって必要ひつような資金しきんを十分じゅうぶんに確保かくほできるかどうかが課題かだいとなりそうです。

一方いっぽうで野党やとう・民主党みんしゅとうはトランプ政権せいけんに強つよく反発はんぱつし、有力ゆうりょく候補こうほらはパリ協定きょうていへの復帰ふっきを訴うったえているほか、カリフォルニア州しゅうやニューヨーク州しゅうをはじめ離脱りだつに反発はんぱつする全米ぜんべいの多おおくの州しゅうと自治領じちりょうは独自どくじの温暖おんだん化か対策たいさくを進すすめる方針ほうしんを示しめしています。

中国ちゅうごく温室おんしつ効果こうかガス 2030年ねんまでに2005年ねん比ひ60～65％削減さくげんへ

温室おんしつ効果こうかガスの世界せかい最大さいだいの排出はいしゅつ国こくである中国ちゅうごくはパリ協定きょうていに署名しょめいし、国際こくさい的てきな公約こうやくとして2030年ねんごろをピークに、二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうを減少げんしょうに転てんじさせ、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさん当あたりの二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうでは2030年ねんまでに2005年ねんと比くらべて60％から65％削減さくげんするとしています。

中国ちゅうごくでは石炭せきたんを使つかった発電はつでんが発電はつでん量りょうの半分はんぶん以上いじょうを占しめていますが、風力ふうりょくや太陽光たいようこうなど再生さいせい可能かのうエネルギーを積極せっきょく的てきに導入どうにゅうするなどしてこの割合わりあいを減へらし、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ抑制よくせいを進すすめています。

中国ちゅうごく政府せいふは対応たいおうは着実ちゃくじつに進すすんでいるとアピールしていて、先月せんげつ28日にちに記者きしゃ会見かいけんした中国ちゅうごく政府せいふの幹部かんぶは去年きょねんの二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうは政府せいふの目標もくひょうを前倒まえだおしで達成たっせいしているなどと強調きょうちょうしています。

また習近平ちから国家こっか主席しゅせきは先月せんげつ、フランスのマクロン大統領だいとうりょうと会談かいだんした際さいにも温暖おんだん化か対策たいさくを強化きょうかする姿勢しせいを示しめし、両国りょうこくでパリ協定きょうていを着実ちゃくじつに履行りこうすることを約束やくそくする共同きょうどう文書ぶんしょを発表はっぴょうしました。

そのうえで習主席しゅせきは共同きょうどうの記者きしゃ会見かいけんで「ともに地球ちきゅうを守まもり、人類じんるい共同きょうどうの利益りえきよりも一いち国こくの利益りえきを優先ゆうせんさせることに反対はんたいする」などと強調きょうちょうしました。

中国ちゅうごくとしては、アメリカのトランプ政権せいけんがパリ協定きょうていからの離脱りだつを国連こくれんに正式せいしきに通告つうこくするなか、アメリカとの立場たちばの違ちがいを鮮明せんめいに示しめすことで国際こくさい的てきな議論ぎろんを主導しゅどうしたい考かんがえです。

インド先進せんしん国こくが重おもい責任せきにんで取り組とりくむべき

中国ちゅうごく、アメリカに次つぎ、世界せかい第だい３さん位いの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ国こくであるインドは2030年ねんまでにＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさん当あたりの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを2005年ねん時点じてんに比くらべて33％から35％削減さくげんする目標もくひょうを掲かかげています。

目標もくひょう達成たっせいのため2030年ねんに新車しんしゃ販売はんばい台数だいすうの３さん割わりを電気でんき自動車じどうしゃにする方針ほうしんを示しめしているほか、日射にっしゃ量りょうの多おおいことを利用りようして国内こくないでの太陽光たいようこう発電はつでんの普及ふきゅうを進すすめ、発展はってん途上とじょう国こくなど120か国かこく余あまりが参加さんかする太陽光たいようこう発電はつでん普及ふきゅうのためのグループも主導しゅどうするなど、温暖おんだん化か対策たいさくに積極せっきょく的てきに取り組とりくむ姿勢しせいを見みせています。

一方いっぽうでインド政府せいふは先進せんしん国こくが発展はってん途上とじょう国こくに比くらべてより重おもい責任せきにんを持もって温暖おんだん化か対策たいさくに取り組とりくむべきだとする立場たちばをとっています。

ＣＯＰの開幕かいまくに先立さきだってインド政府せいふは声明せいめいを発表はっぴょうし「先進せんしん国こくが発展はってん途上とじょう国こくの温暖おんだん化か対策たいさくを支援しえんするために、2020年ねんまで年間ねんかん1000億おくドルの資金しきんを拠出きょしゅつする目標もくひょうを果はたすべきだ。来年らいねん以降いこうも発展はってん途上とじょう国こくに追加ついかの負担ふたんをさせるべきではない」として先進せんしん国こくが温暖おんだん化か対策たいさくをリードするべきだという考かんがえを強調きょうちょうしています。

ロシア温室おんしつ効果こうかガス 2030年ねんまでに1990年ねん比ひ20～25％削減さくげんへ

中国ちゅうごく、アメリカ、インドに次つぎ、世界せかい第だい４よん位いの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ国こくであるロシアは2016年ねんにパリ協定きょうていに署名しょめいしていましたが、批准ひじゅんのための国内こくないの手続てつづきが遅おくれて、ことし９月くがつに行おこなわれた国連こくれんの温暖おんだん化か対策たいさくサミットでパリ協定きょうていを批准ひじゅんしたと発表はっぴょうしました。

アメリカは協定きょうていを離脱りだつするとしていますが、これで世界せかいの主要しゅような排出はいしゅつ国こくはすべて批准ひじゅんした形かたちとなりました。

ロシアは2030年ねんまでに温室おんしつ効果こうかガスを1990年ねんの水準すいじゅんと比くらべて、森林しんりんの吸収きゅうしゅう量りょうも加味かみした値ねで20％から25％まで削減さくげんすることにしています。

一方いっぽうで主要しゅようなエネルギー源げんは世界せかい１いち位いの埋蔵まいぞう量りょうを誇ほこる天然てんねんガスを利用りようしたガス火力かりょく発電はつでんで、水力すいりょく発電はつでんも一部いちぶで行おこなわれているものの、再生さいせい可能かのうエネルギーへの移行いこうは遅おくれていると指摘してきされています。