稀勢の里は左の胸や腕のけがの影響で、途中休場を含め、ことし7月の名古屋場所まで8場所連続で休場していましたが、9月の秋場所では、けがから復帰して10勝5敗の成績を挙げ、完全復活への期待がかかっていました。
今場所は初日から白鵬と鶴竜の2人の横綱が休場し、稀勢の里が一人横綱となり、土俵を締める役割を担っていましたが、横綱として87年ぶりに不戦敗を除いて初日から4連敗を喫して、5日目の15日から休場することになりました。
稀勢の里は報道陣の取材に「今場所は一人横綱で迎えた場所でしたが、休場することになりました。場所前は調子がよかったのですが、初日の相撲で右ひざを痛めてしまいました。初日から4連敗は悔しいです。最後まで務めるのが横綱としての責任だと思っていましたが、期待に応えられず、応援してくれたファンに本当に申し訳ない気持ちです」と謝罪したうえで「今は、しっかりとけがを治して、またいい相撲を取っていきたいという気持ちもありますし、しっかり、また土俵に戻れるようにしていきたい」と話していました。
また「長期間の休場から先場所10勝で、さらに今場所が途中休場となるといろいろ周囲から厳しい声が上がると思うが」という質問に対しては「またしっかりと考えていきたい」と答えていました。
稀勢の里の休場はことしの名古屋場所以来10回目で、今場所は横綱不在の場所となります。
田子ノ浦親方「『このままでは終われない』と言われた」
稀勢の里の師匠 田子ノ浦親方は15日、福岡県大野城市の部屋の宿舎で取材に応じ稀勢の里の休場について「きのう本人と話した。『ひざも痛めているので休場させてもらいたい。このままでは終われないのでチャンスをください』と言われた」と話しました。
そのうえで今後について「本人はいろんな意味で覚悟はしていると思う。次の場所に向けてベストを尽くせるように後押ししていく」と話していました。
阿武松審判部長「もう1回再起かけて」
日本相撲協会の阿武松審判部長は、5日目から休場することになった稀勢の里について「本当にいいところまで攻めている相撲でも最後は白星につながらなかった」と振り返り、右ひざを痛めたことを聞くと「だからあと一歩で腰が下りなかったのかな」と話しました。
そして「休場は残念だが、立て直してもう1回再起をかけてほしい」と望んでいました。