アメリカで
最も権威の
ある文学賞「
全米図書賞」の
翻訳文学部門に、
芥川賞作家で
現在ドイツに
住む多和田葉子さんの「
献灯使」が
選ばれました。
日本語で
書かれた
本の
翻訳が
この賞を
受賞するのは1982
年に
樋口一葉の
作品集の
翻訳が
受賞して
以来36
年ぶりです。ニューヨークで14
日、ことしの
全米図書賞の
授賞式が
開かれ、
このうち「
翻訳文学部門」に
多和田葉子さんが
日本語で
書いた
小説「
献灯使」が
選ばれました。
多和田さんは東京生まれの58歳で、早稲田大学を卒業後、昭和57年にドイツに移り住み、平成5年に「犬婿入り」で芥川賞を受賞し、ドイツ語でも数多くの小説やエッセーなどを発表し、2016年にはドイツで最も権威のある文学賞「クライスト賞」も受賞しています。
今回受賞した「献灯使」は、大地震や原発事故といった大災害に見舞われたあと鎖国状態になった日本が舞台の近未来小説で、100歳を超えて健康なまま生き長らえる作家と、歩くことさえままならないひ孫の姿を通じて、時代を覆う閉塞感(へいそくかん)を描写しています。
全米図書賞には、1971年に川端康成の「山の音」、1982年に樋口一葉の作品集を、英語に訳した作品などが選ばれていて、日本語で書かれた本の翻訳がこの賞を受賞するのは、36年ぶりです。