首相しゅしょうが施政しせい方針ほうしん演説えんぜつ 消費しょうひ増税ぞうぜいに理解りかい求もとめる 統計とうけい調査ちょうさ問題もんだいを陳謝ちんしゃ

そのうえで、「大おおきな自然しぜん災害さいがいが相次あいついだ平成へいせいの時代じだい。被災ひさい地ちの現場げんばには必かならず、天皇てんのう・皇后こうごう両りょう陛下へいかのお姿すがたがあった」と述のべ、大おおきな災害さいがいの被災ひさい地ちを両りょう陛下へいかがそのつど訪問ほうもんされたことを振り返ふりかえりました。

そして日本人にっぽんじんが、過去かこ、直面ちょくめんしたさまざまな困難こんなんを乗り越のりこえてきた強つよさを表現ひょうげんした明治めいじ天皇てんのうの和歌わかを引用いんようしながら、「急速きゅうそくに進すすむ少子しょうし高齢こうれい化か、激動げきどうする国際こくさい情勢じょうせい。今いまを生いきる私わたしたちもまた立ち向たちむかわなければならない。平成へいせいのその先さきの時代じだいに向むかって日本にっぽんの明日あしたを共ともに切きりひらいていこうではないか」と呼よびかけました。

幼児ようじ・高等こうとう教育きょういくの無償むしょう化か

続つづいて安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、この６ろく年間ねんかんで経済けいざいは10％以上いじょう成長せいちょうし、国くにと地方ちほうを合あわせた税収ぜいしゅうは28兆ちょう円えん増加ぞうかしたとしたうえで、ひとり親おや世帯せたいの大学だいがく進学しんがく率りつや日本にっぽんの17才さい以下いかの子こどもの「貧困ひんこん率りつ」は改善かいぜんしたと成果せいかを強調きょうちょうしました。

そして「成長せいちょうの果実かじつをしっかりと分配ぶんぱいに回まわすことで、次つぎなる成長せいちょうにつながっていく。『成長せいちょうと分配ぶんぱいの好こう循環じゅんかん』によってアベノミクスは今いまなお、進化しんかを続つづけている」と述のべ、政策せいさく継続けいぞくの重要じゅうよう性せいを訴うったえました。

そのうえで「わが国わがくにの持続じぞく的てきな成長せいちょうにとって最大さいだいの課題かだいは少子しょうし高齢こうれい化かだ。もはやこれまでの政策せいさくの延長えんちょう線せん上じょうでは対応たいおうできない」と述のべ、幼児ようじ教育きょういくと高等こうとう教育きょういくの無償むしょう化かを進すすめる方針ほうしんを示しめし、「子こどもたちの誰だれもがみずからの意欲いよくと努力どりょくによって明あかるい未来みらいをつかみ取とることができる社会しゃかいを創つくり上あげてこそアベノミクスは完成かんせいする」と強調きょうちょうしました。

全ぜん世代せだい型がた社会しゃかい保障ほしょう　消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげ

また安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、「少子しょうし高齢こうれい化か、そして人生じんせい100年ねんの時代じだいにあって、わが国わがくにが誇ほこる社会しゃかい保障ほしょうの在り方ありかたも大おおきく変かわらなければならない。お年寄としよりだけでなく、子こどもたち、子育こそだて世代せだい、さらには現役げんえき世代せだいまで広ひろく安心あんしんを支ささえていく。全ぜん世代せだい型がた社会しゃかい保障ほしょうへの転換てんかんを成し遂なしとげなければならない」と述のべました。

そのうえで、社会しゃかい保障ほしょう改革かいかくと同時どうじに、その負担ふたんを次つぎの世代せだいに先送さきおくりすることがないよう、2025年度ねんどの基礎きそ的てき財政ざいせい収支しゅうし＝プライマリーバランス黒字くろじ化か目標もくひょうの実現じつげんに向むけて財政ざいせい健全けんぜん化かを進すすめる考かんがえを示しめしました。

そして「少子しょうし高齢こうれい化かを克服こくふくし、全ぜん世代せだい型がた社会しゃかい保障ほしょう制度せいどを築き上きずきあげるために消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげによる安定あんてい的てきな財源ざいげんがどうしても必要ひつようだ。10月つきからの10％への引き上ひきあげについて、国民こくみんの皆様みなさまのご理解りかいとご協力きょうりょくをお願おねがいする」と述のべ、ことし10月つきの消費しょうひ税率ぜいりつの10％への引き上ひきあげに理解りかいを求もとめました。

そのうえで、増税ぞうぜい分ぶんを、幼児ようじ教育きょういくの無償むしょう化かなどで子育こそだて世代せだいに還元かんげんするとともに、軽減けいげん税率ぜいりつの導入どうにゅうなどで、低てい所得しょとく者しゃの負担ふたんを軽減けいげんするほか、自動車じどうしゃや住宅じゅうたくを取得しゅとくする際さいの減税げんぜいを行おこない、消費しょうひを下支したざさえする考かんがえを強調きょうちょうしました。

統計とうけい調査ちょうさ問題もんだいでおわび

また厚生こうせい労働ろうどう省しょうなどの統計とうけい調査ちょうさの問題もんだいについて、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「長年ながねんにわたり、不適切ふてきせつな調査ちょうさが行おこなわれてきたことはセーフティネットへの信頼しんらいを損そこなうものであり、国民こくみんの皆様みなさまにおわび申し上もうしあげる」と述のべ、陳謝ちんしゃしました。

そして「雇用こよう保険ほけん、労災ろうさい保険ほけんなどの過少かしょう給付きゅうふについて、できるかぎり速すみやかに簡便かんべんな手続てつづきで不足ふそく分ぶんをお支払しはらいする。引き続ひきつづき再発さいはつ防止ぼうしに全力ぜんりょくを尽つくすとともに、統計とうけいの信頼しんらい回復かいふくに向むけ徹底てっていした検証けんしょうを行おこなっていく」と述のべました。

外交がいこう 安全あんぜん保障ほしょう

一方いっぽう、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくについて、安倍あべ総理そうり大臣だいじんはまず、「自由じゆう貿易ぼうえきが今いま、大おおきな岐路きろに立たっている」と指摘してきしたうえで、自由じゆう貿易ぼうえきを推進すいしんする考かんがえを強調きょうちょうし、アメリカとのＴＡＧ＝物品ぶっぴん貿易ぼうえき協定きょうていの交渉こうしょうや、補助ほじょ金きんやデータ流通りゅうつうなどの分野ぶんやでの公正こうせいなルール作づくりに向むけて、ＷＴＯだぶりゅ-てぃ-お-＝世界せかい貿易ぼうえき機関きかんの改革かいかくにも取り組とりくむ考かんがえを示しめしました。

さらに安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「わが国わがくにの外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょうの基軸きじくは日にち米べい同盟どうめいだ」としたうえで、抑止よくし力りょくを維持いじしながら沖縄おきなわの基地きち負担ふたんの軽減けいげんに取り組とりくむとして、普天間ふてんま基地きちの名護なご市し辺野古へのこへの移設いせつを進すすめる考かんがえを示しめしました。

そして「新あたらしい防衛ぼうえい大綱たいこうの下した、体制たいせいを抜本ばっぽん的てきに強化きょうかし、みずからが果はたしうる役割やくわりを拡大かくだいする。サイバーや宇宙うちゅうといった領域りょういきでわが国わがくにの優位ゆうい性せいを保たもつことができるよう、新あらたな防衛ぼうえい力りょくの構築こうちくに向むけ、従来じゅうらいとは根本こんぽん的てきに異ことなる速度そくどで変革へんかくを推し進おしすすめる」と述のべました。

各国かっこくとの関係かんけい　憲法けんぽう改正かいせい

各国かっこくとの関係かんけいでは、アメリカに次ついで、中国ちゅうごくを取り上とりあげ、関係かんけい強化きょうかに取り組とりくむ考かんがえを示しめしたほか、ロシアとの間までは、北方ほっぽう領土りょうど問題もんだいを含ふくむ平和へいわ条約じょうやくの締結ていけつに意欲いよくを示しめしました。

また北朝鮮きたちょうせんの核かく・ミサイル・拉致らち問題もんだいの解決かいけつに向むけて、日にち朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんを目指めざす考かんがえを示しめしました。

一方いっぽう、関係かんけいが悪化あっかする韓国かんこくとの関係かんけいをめぐっては、北朝鮮きたちょうせんへの対応たいおうで緊密きんみつに連携れんけいしていく考かんがえを示しめすのにとどめ、それ以上いじょうの言及げんきゅうはありませんでした。

演説えんぜつの最後さいごに安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、憲法けんぽう改正かいせいについて、「憲法けんぽうは、国くにの理想りそうを語かたるもの、次つぎの時代じだいへの道みちしるべだ。大おおきな歴史れきしの転換てんかん点てんにあって、この国くにの未来みらいをしっかりと示しめしていく。国会こっかいの憲法けんぽう審査しんさ会かいの場ばにおいて各党かくとうの議論ぎろんが深ふかめられることを期待きたいする」と述のべました。

そして「平成へいせいの、その先さきの時代じだいに向むかって、日本にっぽんの明日あしたを切きりひらく。皆みなさん、共ともに、その責任せきにんを果はたしていこうではありませんか」と冒頭ぼうとうと同様どうようの文言もんごんを繰り返くりかえし、演説えんぜつを締しめくくりました。

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、これまでの施政しせい方針ほうしん演説えんぜつでは、歴史れきし上じょうの人物じんぶつやその功績こうせきを具体ぐたい的てきに挙あげてきましたが、今回こんかいは具体ぐたい名めいに触ふれることを避さけました。

一方いっぽうで、天皇てんのう・皇后こうごう両りょう陛下へいかの被災ひさい地ち訪問ほうもんなどには言及げんきゅうしていて、ことし春はるの退位たいいを前まえに、これまでの両りょう陛下へいかの活動かつどうに感謝かんしゃの意いを示しめす意図いともあったものと見みられます。