日本新聞: 鶏卵大手から働きかけ “政策影響ないが透明性を” 第三者委

鶏卵けいらん大手おおてから働はたらきかけ “政策せいさく影響えいきょうないが透明とうめい性せいを” 第三者だいさんしゃ委い

Jun 3, 2021 12:06

Furigana

吉川よしかわ貴たか盛もり元もと農林のうりん水産すいさん大臣だいじんが在任ざいにん中ちゅうに大手おおて鶏卵けいらん生産せいさん会社かいしゃの元もと代表だいひょうから賄賂わいろを受け取うけとったとして在宅ざいたく起訴きそされた事件じけんを受うけて、当時とうじの政策せいさくを検証けんしょうしてきた第三者だいさんしゃ委員いいん会かいが3日にち、報告ほうこく書しょをまとめました。元もと代表だいひょうからの「働はたらきかけ」で政策せいさくがゆがめられた事実じじつは認みとめられなかったものの行政ぎょうせいの意思いし決定けってい過程かていの透明とうめい性せいを高たかめることが重要じゅうようだと指摘してきしました。

農林水産省のうりんすいさんしょうでは、大手おおて鶏卵けいらん生産せいさん会社かいしゃの元もと代表だいひょうから現金げんきんを受け取うけとったとして吉川よしかわ元もと大臣だいじんが収賄しゅうわいの罪つみで在宅ざいたく起訴きそされたほか、今いまの事務じむ次官じかんら6人にんの幹部かんぶも飲食いんしょくの接待せったいを受うけていたことが明あきらかになり、弁護士べんごしや大学だいがくの教授きょうじゅなどでつくる第三者だいさんしゃ委員いいん会かいが当時とうじの政策せいさくへの影響えいきょうを検証けんしょうし、3日にち、その報告ほうこく書しょを野上のがみ大臣だいじんに提出ていしゅつしました。

それによりますと、元もと代表だいひょうから農林水産省のうりんすいさんしょう側がわに▽「アニマルウェルフェア」と呼よばれる動物どうぶつ福祉ふくしの観点かんてんで国際こくさい機関きかんが策定さくていした家畜かちくの飼育しいく環境かんきょうの基準きじゅん案あんに農林水産省のうりんすいさんしょうとして反対はんたいすることや▽政府せいふ系けい金融きんゆう機関きかんの日本にっぽん政策せいさく金融きんゆう公庫こうこが養鶏ようけい業者ぎょうしゃへの融資ゆうしを拡大かくだいするよう指導しどうしてほしいといった要望ようぼうはあったものの、こうした「働はたらきかけ」によって政策せいさくがゆがめられた事実じじつは認みとめられなかったとしました。

一方いっぽう、幹部かんぶらが受うけた接待せったいの場ばでは元もと代表だいひょうから政策せいさくへの働はたらきかけは認みとめられなかったとしました。

ただ、農林水産省のうりんすいさんしょうの担当たんとう者しゃが元もと代表だいひょうと公庫こうこの役員やくいんとの面会めんかいの場ばを設もうけるなど元もと代表だいひょうへの「手厚てあつい対応たいおう」が取とられ、行政ぎょうせいの不透明ふとうめいさが認みとめられると指摘してきしています。

そのうえで報告ほうこく書しょは、養鶏ようけい・鶏卵けいらん行政ぎょうせいが政治せいじや業者ぎょうしゃからの「働はたらきかけ」を受うけやすい構造こうぞうにあるとして国民こくみんからの信頼しんらいを得えるためには職員しょくいんの対応たいおうを記録きろく・保管ほかんし、問題もんだいが起おきた場合ばあいに速すみやかに検証けんしょうできるシステムを取り入とりいれるなどして行政ぎょうせいの透明とうめい性せいを高たかめていくことが重要じゅうようだと指摘してきしました。

第だい三さん者しゃ委員いいん会かい「意識いしきして気きをつけるべき」

報告ほうこく書しょを提出ていしゅつしたあと、第三者だいさんしゃ委員いいん会かいの座長ざちょうを務つとめた井上いのうえ宏ひろし弁護士べんごしが記者きしゃ会見かいけんを開ひらき「農林水産省のうりんすいさんしょうには多額たがくの補助ほじょ金きんがあり、受け取うけとる事業じぎょう者しゃと政治せいじ家かと農林水産省のうりんすいさんしょうがまとまると悪わるいトライアングルになるので、そのあたりは意識いしきして気きをつけるべきだ。あとから見みて、国民こくみんからおかしいと思おもわれた時ときに経緯けいいがわかれば疑念ぎねんは解消かいしょうされるので、記録きろくを残のこしておくことが大切たいせつだ。農林水産省のうりんすいさんしょう全体ぜんたいで点検てんけんして対策たいさくを実行じっこうしてほしい」と述のべました。

農相のうしょう「直ただちに改善かいぜん策さくを検討けんとうし実行じっこうを」

第だい三さん者しゃ委員いいん会かいからの報告ほうこく書しょが提出ていしゅつされたことを受うけて、野上のがみ農林のうりん水産すいさん大臣だいじんも記者きしゃ会見かいけんを開ひらき「国民こくみんからの信頼しんらいを得えていくためには課題かだいがあるという指摘してきと提言ていげんをいただいた。これらを真摯しんし（しんし）に受け止うけとめ、直ただちに改善かいぜん策さくを検討けんとうし、実行じっこうしてきたい」と述のべました。

また、農林水産省のうりんすいさんしょうが行おこなった追加ついかの調査ちょうさ結果けっかについて、野上のがみ大臣だいじんは「利害りがい関係かんけい者しゃの負担ふたんで飲食いんしょくしたことが疑うたがわれる会食かいしょくは確認かくにんされなかったが、二度にどと国民こくみんに疑念ぎねんを持もたれることがないよう私わたしが先頭せんとうに立たち、農林水産省のうりんすいさんしょう一丸いちがんとなって公正こうせいな行政ぎょうせいを遂行すいこうしたい」と述のべました。

会食かいしょくについての調査ちょうさ結果けっかも公表こうひょう

農林水産省のうりんすいさんしょうは、吉川よしかわ元もと大臣だいじんの在任ざいにん期間きかんに限かぎらず、歴代れきだいの畜産ちくさん部ぶの室長しつちょう級きゅう以上いじょうの職員しょくいんや第三者だいさんしゃ委員いいん会かいの調査ちょうさの対象たいしょうとなっていた事業じぎょうに関係かんけいする課長かちょう補佐ほさ級きゅう以上いじょうの職員しょくいん、合あわせて150人にんを対象たいしょうに畜産ちくさん関係かんけい者しゃとの会食かいしょくについて追加ついかの調査ちょうさ結果けっかを公表こうひょうしました。

それによりますと、合あわせて265回かいの会食かいしょくが行おこなわれましたが、利害りがい関係かんけい者しゃが負担ふたんしたと疑うたがわれる飲食いんしょくや、出席しゅっせきした政治せいじ家かや利害りがい関係かんけい者しゃから政策せいさくについての働はたらきかけは確認かくにんされなかったとしています。

一方いっぽう、同席どうせきした政治せいじ家かが負担ふたんしたと見みられる会食かいしょくが5件けんあり、1件けんは、必要ひつような届け出とどけでが出だされていなかったいうことで農林水産省のうりんすいさんしょうは、国家こっか公務員こうむいん倫理りんり審査しんさ会かいと相談そうだんしながらしかるべき対応たいおうを取とるとしています。