オリンピックの聖火せいか 東京とうきょうに引き継ひきつがれる ギリシャ

東京とうきょうオリンピックの聖火せいかの引継ひきつぎ式しきは、日本にっぽん時間じかんの午後ごご６ろく時半じはんから、ギリシャの首都しゅとアテネにあるパナシナイコスタジアムで、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで観客かんきゃくを入いれず出席しゅっせき者しゃも減へらすなど大幅おおはばに縮小しゅくしょうして行おこなわれました。

式しきでは聖火せいかランナーとして出席しゅっせきする予定よていだった柔道じゅうどうの野村のむら忠宏ただひろさんやレスリングの吉田よしだ沙いさご保里ほりさんのメッセージが映像えいぞうで流ながされました。

野村のむらさんは「出席しゅっせきできなかったのは非常ひじょうに残念ざんねんだが、今いままさに、聖火せいかが日本にっぽんに向むかうことを大変たいへん誇ほこりに思おもう。聖火せいかを掲かかげることにより、平和へいわ・団結だんけつ・友愛ゆうあいといったオリンピックの理想りそうを体現たいげんし、日本にっぽん、そして世界せかいをつないでいきたい」と話はなしました。

吉田よしださんは「今いままさに東京とうきょうオリンピックに向むけてがんばっている世界中せかいじゅうのアスリートたちがいる。そんなアスリートの想おもいをのせて聖火せいかが日本にっぽん中ちゅうをかけめぐると思おもうととても楽たのしみだ」と話はなしました。

このあとギリシャの聖火せいかランナーが聖火せいかをスタジアムに運はこび入いれたのに続つづき、東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいん会かいの森もり会長かいちょうが映像えいぞうでスピーチし、「７月しちがつ24日にち、東京とうきょうの新あたらしい国立こくりつ競技きょうぎ場じょうに必かならず聖火せいかがともされることをお誓ちかい申し上もうしあげる」と述のべて、予定よていどおりの大会たいかい開催かいさいに向むけて準備じゅんびを進すすめる考かんがえを強調きょうちょうしました。

そして、森もり会長かいちょうに代かわって起用きようされたアテネ在住ざいじゅうで1996年ねんのアトランタ大会たいかいに競泳きょうえいで出場しゅつじょうしたオリンピアン、井本いもと直歩子なおこさんがギリシャオリンピック委員いいん会かいから聖火せいかのともったトーチを受け取うけとり、東京とうきょうに聖火せいかが引き継ひきつがれました。

聖火せいかはランタンに移うつされてスタジアムをあとにし、日本にっぽん時間じかんの19日にち夜よる、特別とくべつ輸送ゆそう機きで日本にっぽんに向むけて出発しゅっぱつする予定よていです。

そして、20日にち午前ごぜんに宮城みやぎ県けんの航空こうくう自衛隊じえいたい松島まつしま基地きちに到着とうちゃくし、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちの東北とうほく３さん県けんで展示てんじされたあと、今月こんげつ26日にちから国内こくないでの聖火せいかリレーがスタートします。

聖火せいかは井本いもと直歩子なおこさんへ

トーリを受け取うけとった井本いもとさんは、愛知あいち県けん出身しゅっしんの43歳さいです。

３さん歳さいから水泳すいえいを始はじめ、中学ちゅうがく２に年生ねんせいから競泳きょうえいの日本にっぽん代表だいひょうとして国際こくさい大会たいかいに出場しゅつじょうし、1996年ねんのアトランタオリンピックには800メートルリレーで４よん位いの成績せいせきを残のこしました。

そして、2000年ねんのシドニー大会たいかいの選考せんこう会かい後ごに引退いんたいし、イギリスに渡わたって紛争ふんそうや復興ふっこう支援しえんについて学まなんだあと、ＪＩＣＡじゃいか＝国際こくさい協力きょうりょく機構きこうの企画きかく調査ちょうさ員いんとしてシエラレオネやルワンダの平和へいわ構築こうちく分野ぶんやで活動かつどうしました。

そして、2007年ねんからユニセフ＝国連こくれん児童じどう基金ききんの教育きょういく専門せんもん官かんになり、現在げんざいはアテネに住すみながら、シリアやアフガニスタンからの難民なんみんの教育きょういく支援しえんにあたっています。

引継ひきつぎ式しきのあと、井本いもとさんは聖火せいかのともったランタンを持もちながら報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに応おうじ「本当ほんとうにたくさんの方ほうが準備じゅんびしてきた中なかで、残念ざんねんながら来こられなくなってしまい、自分じぶんが託たくされた気持きもちで、感無量かんむりょうでした」と振り返ふりかえりました。

そのうえで「選手せんしゅはいちばん集中しゅうちゅうしなければならない時ときに、このような状態じょうたいになり、すごく動揺どうようや心配しんぱいをしていると思おもう。とにかく今いまできることをしっかりやってほしいという気持きもちでここに光ひかりがともったと思おもう」と、ランタンを見みながら話はなしました。

引継ひきつぎ式しき 会場かいじょうはパナシナイコスタジアム

聖火せいかの引継ひきつぎ式しきが行おこなわれたパナシナイコスタジアムは、ギリシャの首都しゅとアテネにある競技きょうぎ場じょうで、紀元前きげんぜん４よん世紀せいきに建設けんせつされ、その後そのご、幾多いくたの修復しゅうふくと改修かいしゅうが行おこなわれました。

1896年ねんの最初さいしょの近代きんだいオリンピックが開ひらかれた時ときのメイン会場かいじょうとして知しられ、2004年ねんのアテネオリンピックでは男女だんじょのマラソンのフィニッシュ地点ちてんと、アーチェリーの会場かいじょうとなりました。

大理石だいりせきで造つくられたスタンドは４よん万まん5000人にんを収容しゅうようでき、トラックは古代こだいオリンピックにならって直線ちょくせんが極端きょくたんに長ながい１いち周しゅう330メートルの馬うまのひづめの形がたをしているのが特徴とくちょうです。

1964年ねん東京とうきょう五輪ごりんで聖火せいかは？

1964年ねんの東京とうきょうオリンピックでは、聖火せいかは８月はちがつ21日にちにギリシャのオリンピアで採火さいかされたあと、東京とうきょう大会たいかいの組織そしき委員いいん会かいに引き継ひきつがれ、翌よく22日にちにはアテネの空港くうこうを出発しゅっぱつしました。

また、聖火せいかが日本にっぽんに運はこばれる道みちのりは、今回こんかいはギリシャから直接ちょくせつ向むかうのに対にたいし、前回ぜんかいはトルコやインド、それに香港ほんこんなど11の国くにと地域ちいきに立ち寄たちより、現地げんちで聖火せいかリレーを行おこなったあと沖縄おきなわに到着とうちゃくしました。

聖火せいかを運はこぶ特別とくべつ輸送ゆそう機きは、前回ぜんかいは「シティ・オブ・トウキョウ号ごう」と名付なづけられ、今回こんかいは「ＴＯＫＹＯとうきょう2020号ごう」となっています。

大会たいかい組織そしき委員いいん会かいなどによりますと、特別とくべつ輸送ゆそう機きの中なかで、聖火せいかは、万が一まんがいちにも火ひを絶たやさないよう３みっつのランタンにともされ、座席ざせきに設置せっちされた台だいに固定こていされて厳重げんじゅうに運はこばれます。

1964年ねんの東京とうきょう大会たいかいの際さいは、３みっつのランタンに入いれられて運はこばれたということです。