日本新聞: 人工呼吸器国内メーカーが増産新型コロナ感染拡大で

人工じんこう呼吸こきゅう器き国内こくないメーカーが増産ぞうさん新型しんがたコロナ感染かんせん拡大かくだいで

Apr 4, 2020 16:04 1

Furigana

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで、重症じゅうしょうの患者かんじゃが増ふえるのに備そなえ、国内こくないのメーカーの間まで人工じんこう呼吸こきゅう器きなどを増産ぞうさんする動うごきが出でています。東京とうきょうの医療いりょう機器ききメーカー、コーケンメディカルは、福島ふくしま市しにある工場こうじょうで先月せんげつから人工じんこう呼吸こきゅう器きを増産ぞうさんしています。

ふだんは月つきに30台だいから50台だい、年間ねんかんで350台だい程度ていどの人工じんこう呼吸こきゅう器きを生産せいさんしていますが、現在げんざいは工場こうじょうをフル稼働かどうさせ、生産せいさん量りょうを２に倍ばい程度ていどに増ふやしています。

この会社かいしゃの人工じんこう呼吸こきゅう器きは、主おもに救急きゅうきゅう車しゃの車内しゃないで使つかわれていますが、肺炎はいえんなどで肺はいの働はたらきが弱よわまった人ひとの呼吸こきゅうを整ととのえるためにも使つかえるということです。

新型しんがたコロナウイルスの世界せかい的てきな感染かんせん拡大かくだいで、会社かいしゃには海外かいがいからも輸入ゆにゅうしたいという引き合ひきあいが急激きゅうげきに増ふえていますが、国内こくない向むけで手ていっぱいだということです。

コーケンメディカルの松井まつい英一ひでかず社長しゃちょうは「医療いりょう機器ききに携たずさわる企業きぎょうとしてできるかぎり増産ぞうさんに対応たいおうしたい。さらに生産せいさん量りょうを増ふやすには部品ぶひんの調達ちょうたつが課題かだいになるため、政府せいふの協力きょうりょくも得えられるとありがたい」と話はなしています。

国内こくないのメーカーの間までは、人工じんこう呼吸こきゅう器きのほか、血液けつえき中ちゅうに直接ちょくせつ、酸素さんそを送り込おくりこみ肺はいの機能きのうを一時いちじ的てきに代行だいこうする人工じんこう心肺しんぱい装置そうち「ＥＣＭＯ」を増産ぞうさんする動うごきも出でていて、医療いりょう機器きき大手おおてのテルモは、通常つうじょうの年間ねんかんの生産せいさん台数だいすう、約やく100台だいを数すうか月かげつで生産せいさんできる体制たいせいにしました。

このほか、医療いりょう機器ききメーカーの泉いずみ工こう医科いか工業こうぎょうも「ＥＣＭＯ」の生産せいさん量りょうを通常つうじょうの1.5倍ばいに増ふやしているということで、さらなる感染かんせん拡大かくだいに備そなえ、企業きぎょうが対応たいおうを急いそいでいます。

部品ぶひん調達ちょうたつや人材じんざい確保かくほが課題かだい

日本にっぽん呼吸こきゅう療法りょうほう医い学会がっかいと日本にっぽん臨床りんしょう工学こうがく技士ぎし会かいによりますと、ことし２月にがつ時点じてんで、人工じんこう呼吸こきゅう器きは全国ぜんこくの主おもな医療いりょう機関きかんに２に万まん2000台だい以上いじょうあります。

この時点じてんでは、必要ひつようとする患者かんじゃが少すくないため、全体ぜんたいの60％は使つかわれず待機たいきしている状態じょうたいでしたが、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした重症じゅうしょう患者かんじゃが増加ぞうかすると、人工じんこう呼吸こきゅう器きが足たりなくなるおそれも指摘してきされています。

また、国内こくないで使用しようされる人工じんこう呼吸こきゅう器きは海外かいがいからの輸入ゆにゅうが９きゅう割わり以上いじょうを占しめていて、世界せかい的てきに装置そうちが不足ふそくする中なか、国内こくないで確保かくほすることが大おおきな課題かだいになっているということです。

このため政府せいふは、人工じんこう呼吸こきゅう器きや「ＥＣＭＯ」と呼よばれる人工じんこう心肺しんぱい装置そうちの増産ぞうさんをメーカーに呼よびかけていて、新あらたに設備せつび投資とうしをする際さいには補助ほじょ金きんを出だす方向ほうこうです。

一方いっぽうで、国内こくないメーカーの間まからは、大幅おおはばな増産ぞうさんのためには部品ぶひんの調達ちょうたつとともに、生産せいさんのために必要ひつような専門せんもん的てきな知識ちしきや経験けいけんを持もった人材じんざいの確保かくほが必要ひつようになるとの声こえが出でていて、こうした課題かだいをどう解決かいけつするかが重要じゅうようになりそうです。