「パナマ文書ぶんしょ」新しん資料しりょう 個人こじん情報じょうほう悪用あくようの実態じったい明あきらかに

ＮＨＫえぬえいちけいなどが分析ぶんせきしたところ、カリブ海かりぶかいの島国しまぐにアンギラに４よん人にんの日本人にっぽんじん男性だんせいを代表だいひょう者しゃとする実態じったいのない法人ほうじんが複数ふくすう、設立せつりつされ、日本にっぽんの出会であい系けいサイトの運営うんえいに使つかわれていたことがわかりました。

こうした法人ほうじんに関にかんする資料しりょうには本人ほんにんの証明しょうめい書しょとしてパスポートのコピーが含ふくまれていましたが、連絡れんらくが取とれた３さん人にんの男性だんせいは取材しゅざいに対にたいして「身みに覚おぼえがない」と証言しょうげんし、本人ほんにんの知しらぬ間まに法人ほうじんの代表だいひょう者しゃにさせられていたことが明あきらかになりました。

さらにパナマ文書ぶんしょの新あらたな資料しりょうからこうした法人ほうじんをつくるよう海外かいがいの設立せつりつ業者ぎょうしゃに依頼いらいしたのは「仮屋かりや」と名乗なのる人物じんぶつで、他人たにんのパスポートのコピーやサインを偽造ぎぞうした設立せつりつ申し込もうしこみ書しょをメールで送おくっていたことがわかりました。

ＮＨＫえぬえいちけいがこの人物じんぶつのメールアドレスに取材しゅざいを申し入もうしいれたところ、関係かんけい者しゃだという別べつの男おとこが電話でんわでの取材しゅざいに応おうじました。

男おとこは「インターネット上じょうで売うられている個人こじん情報じょうほうを１いち件けん10万まん円えん余あまりで仕入しいれ、５ご年ねん前まえからおよそ20の法人ほうじんを設立せつりつし、出会であい系けいサイトの業者ぎょうしゃに転売てんばいしていた。タックスヘイブンを使つかう一番いちばんの理由りゆうは警察けいさつに調しらべられないことだ」と話はなしています。

３さん人にんの被害ひがい者しゃ パスポート情報じょうほうはタイで流出りゅうしゅつか？

パナマ文書ぶんしょの新あらたな資料しりょうにはカリブ海かりぶかいの島国しまぐにアンギラに設立せつりつされた法人ほうじんの代表だいひょう者しゃとなっていた日本人にっぽんじんの男性だんせい４よん人にんについて、身分みぶん証明しょうめい書しょとしての「パスポートのコピー」や現げん住所じゅうしょの証明しょうめい書しょとして「携帯けいたい電話でんわ会社かいしゃから郵送ゆうそうされた請求せいきゅう書しょのコピー」、それに「法人ほうじんの設立せつりつ申し込もうしこみ書しょ」などが含ふくまれています。

このうちパスポートは本物ほんもののコピーと見みられますが、携帯けいたい電話でんわの請求せいきゅう書しょは宛先あてさきの部分ぶぶんに実際じっさいには存在そんざいしない番地ばんちや市役所しやくしょの住所じゅうしょが書かかれた偽造ぎぞうされたものでした。

また、設立せつりつ申し込もうしこみ書しょには署名しょめい欄らんに直筆じきひつのようなサインがありますが、パスポートのサインと特徴とくちょうが一致いっちしているうえ、文字もじのまわりに不ふ自然しぜんな柄えが映うつっていて、パスポートのコピーから複写ふくしゃした画像がぞうを貼はり付つけたとみられます。

ＮＨＫえぬえいちけいは４よん人にんのうち連絡れんらく先さきが判明はんめいした３さん人にんから話はなしを聞きくことができましたが、アンギラの法人ほうじんについて３さん人にんとも「まったく身みに覚おぼえがない」と証言しょうげんしています。

また、３さん人にんはタイを訪おとずれ、現地げんちの民間みんかん業者ぎょうしゃにパスポートのコピーを提出ていしゅつした経験けいけんがあるという共通きょうつう点てんがありました。

このうち北海道ほっかいどうのニセコでマッサージサロンを経営けいえいする村上むらかみ祐司ゆうじさん（32）は３さん年ねん前まえ、タイ式しきのマッサージの技術ぎじゅつを学まなぶため、タイのチェンマイにある日本人にっぽんじん向むけのスクールに通かよっていたということです。

村上むらかみさんは「タイでパスポートを出だしたのはスクールと両替りょうがえ所しょを訪おとずれたときです。個人こじん情報じょうほうが使つかわれてしまったんだなというあきらめの気持きもちです」と話はなしています。

また、神奈川かながわ県内けんないに住すむ36歳さいのセラピストの男性だんせいも村上むらかみさんと同おなじ時期じきにこのマッサージスクールに通かよっていたということで、「情報じょうほうを流出りゅうしゅつさせた人物じんぶつは許ゆるせません。アンギラという国くに自体じたい知しらなかったが、そんな国くににまで自分じぶんの情報じょうほうが渡わたってしまう時代じだいなのかと思おもう」と話はなしています。

もう１いち人にんの35歳さいの男性だんせいは現在げんざいもタイのチェンマイに住すんでいますが、ほかの２に人にんが通とおったマッサージスクールには行おこなったことがないということです。

男性だんせいは電話でんわでの取材しゅざいに対にたいして「タイでは不動産ふどうさんの売買ばいばいやＷｉ－Ｆｉの契約けいやくなどのたびにパスポートのコピーを提出ていしゅつしているので、流出りゅうしゅつ元もとはわからない」と話はなしています。

入手にゅうしゅした新しん資料しりょう

ＩＣＩＪ＝国際こくさい調査ちょうさ報道ほうどうジャーナリスト連合れんごうが入手にゅうしゅした「パナマ文書ぶんしょ」の新あらたな資料しりょうは従来じゅうらいと同おなじ南米なんべいパナマの法律ほうりつ事務所じむしょ「モサック・フォンセカ」から流出りゅうしゅつした内部ないぶ文書ぶんしょです。

租税そぜい回避かいひ地ち＝タックスヘイブンで法人ほうじんの設立せつりつを手てがけてきたこの法律ほうりつ事務所じむしょが、おととしから去年きょねん12月つきまでに作成さくせいした書類しょるいや社内しゃないメールなど120万まん件けんにのぼります。

ＩＣＩＪの分析ぶんせきによりますと、この中なかにはサッカー界かいのスーパースター、メッシ選手せんしゅについて、パナマの肖像しょうぞう権けん管理かんり会社かいしゃを家族かぞくと利用りようしていると指摘してきする社内しゃないメールが含ふくまれているほか、アルゼンチンのマクリ大統領だいとうりょうの家族かぞくが管理かんりする法人ほうじんやマレーシアのナジブ前ぜん首相しゅしょうの兄弟きょうだいが海外かいがいに保有ほゆうする資産しさんに関にかんする資料しりょうも見みつかっています。

また、新あらたな資料しりょうからは最終さいしゅう的てきに閉鎖へいさに追い込おいこまれることになる法律ほうりつ事務所じむしょ「モサック・フォンセカ」がおととし４月しがつのパナマ文書ぶんしょの報道ほうどうのあと顧客こきゃくの信頼しんらいを失うしない、内部ないぶが混乱こんらんしていった様子ようすがうかがえます。