ダンパー問題もんだい 改かいざん指摘してき後ごも１いちか月かげつ不正ふせい検査けんさと出荷しゅっか続つづける

会社かいしゃによりますと、この問題もんだいは、工場こうじょうの従業じゅうぎょう員いんが改かいざんの疑うたがいを指摘してきしたことで発覚はっかくしましたが、指摘してき後ごもおよそ１いちか月かげつにわたって不正ふせいな検査けんさを続つづけ製品せいひんを出荷しゅっかしていたことがわかりました。

疑うたがいを指摘してきしたのは、データの書き換かきかえを行おこなっていた検査けんさ員いんとは別べつのダンパーの組み立くみたてを担当たんとうしていた従業じゅうぎょう員いんで、検査けんさ員いんとの雑談ざつだんの中なかで問題もんだいを知しり、ことし８月はちがつ上旬じょうじゅんに上司じょうしに報告ほうこくしていたということです。

しかし、会社かいしゃがデータの改かいざんをやめたのは、社内しゃない調査ちょうさを始はじめるなどしたあとの先月せんげつ８はち日にちになってからでした。

これについてＫＹＢは「指摘してきされた情報じょうほうの信しんぴょう性せいが確認かくにんできず、検査けんさを改あらためる判断はんだんが遅おそくなった。指摘してき後ごも不適切ふてきせつな製品せいひんを生産せいさんしていたことは間違まちがいない」と説明せつめいしています。

基準きじゅん値ちから40％以上いじょうずれも

油圧ゆあつ機器きき大手おおてのＫＹＢグループによる免めん震しん・制せい振ふ用ようのダンパーの検査けんさデータの改かいざん問題もんだいでは、ダンパーのクッションの硬かたさ・柔やわらかさを示しめす値ねが、基準きじゅんより40％以上いじょうずれた製品せいひんが出荷しゅっかされていたことも社内しゃないの調査ちょうさで明あきらかになっています。

クッションが硬かたすぎると地震じしんの揺ゆれを吸収きゅうしゅうできなかったり、取り付とりつけ部分ぶぶんが損傷そんしょうしたりするおそれがあり、逆ぎゃくに柔やわらかすぎると建物たてものの揺ゆれが大おおきくなってしまうおそれなどがあります。

国土こくど交通こうつう省しょうが認定にんていする免めん震しんダンパーは、クッションの性能せいのうを示しめす値ねが基準きじゅんからプラスとマイナスいずれも15％のずれまでを許容きょよう範囲はんいとしています。

ＫＹＢが、残のこされていた検査けんさデータを調しらべたところ、免めん震しんダンパーではずれの大おおきいもので、許容きょよう範囲はんいより硬かたいプラス42.3％の製品せいひんが出荷しゅっかされていたということです。

国土こくど交通こうつう省しょうは、こうしたずれがあった場合ばあいでも建物たてものの耐震たいしん基準きじゅんは満みたしていて、震度しんど６ろく強きょうから７なな程度ていどの揺ゆれで倒壊とうかいするおそれはないとしています。

一方いっぽう、制せい振ふダンパーについては、国土こくど交通こうつう省しょうが定さだめた許容きょよう範囲はんいはありませんが、顧客こきゃくと契約けいやくした範囲はんいを超こえていて、基準きじゅんからのずれが大おおきいものではマイナス17.9％とプラス20.5％の製品せいひんが確認かくにんされたということです。

ＫＹＢによりますと、ダンパーの性能せいのうを示しめす値ねが定さだめられた範囲はんいを超こえると、製品せいひんを分解ぶんかいして調整ちょうせいし、改あらためて検査けんさする必要ひつようがあります。しかし、作業さぎょうには平均へいきんで５ご時間じかんほどかかり、検査けんさの現場げんばからは作業さぎょうを省はぶくためにデータを改かいざんしたという証言しょうげんが出でていて、こうした手口てぐちは口頭こうとうで引き継ひきつがれていた可能かのう性せいがあるということです。

交換こうかん用ようの製造せいぞうに２に年ねん

ＫＹＢが交換こうかんの対象たいしょうにしているダンパーは1万まん900本ほん余あまりに上のぼり、すべての交換こうかん用ようのダンパーを製造せいぞうするのに、２に年ねん後ごの2020年ねんの９月くがつごろまでかかるということです。

ＫＹＢグループでは、現在げんざい、免めん震しん用ようと制せい振ふ用ようを合あわせ１いちか月かげつにおよそ120本ほんのダンパーを製造せいぞうしています。今後こんご、設備せつびや人員じんいんを増ふやし、来年らいねんの春はるごろまでに月つきにおよそ500本ほんを製造せいぞうするとしていて、新あらたな受注じゅちゅうは取とりやめます。

一方いっぽう、交換こうかんの工事こうじにも手間てまと時間じかんがかかるおそれがあります。国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、とりわけ柱はしらやはりに取り付とりつける制せい振ふダンパーは、壁かべの中なかに設置せっちされているケースがあり、その場合ばあい、いったん壁かべを壊こわす必要ひつようもあることから、建物たてものの利用りように影響えいきょうが及およぶことが考かんがえられるということです。