政策活動費をめぐり、自民党がいまの国会に提出した法案では、禁止の対象となる団体は「政党」と「国会議員に関係する政治団体」に限定されていて、そのほかの政治団体は対象となっていません。
これについて、日本維新の会の青柳仁士氏は「自民党案では、自民党の政治資金団体『国民政治協会』は禁止の対象にならず、そこから渡しきりの支出をすることが可能となる。圧倒的な抜け穴以外のなにものでもない」と指摘しました。
これに対し、自民党の法案提出者の長谷川淳二氏は「自民党の問題に端を発したことから、5万団体を超える一般の政治団体まで規制をかけるのは適切ではないと考えた」と説明しました。
同じく提出者の小泉進次郎氏は「皆さんの考えも受けとめながら成案を得るべく一致点を見いだせるように努力したい」と述べ、対象となる政治団体の範囲について野党側と協議する考えを示しました。
また、自民党案に盛り込まれた、外交上の秘密に関わる支出などを対象とした「公開方法工夫支出」について、立憲民主党は「第2の政策活動費になりかねず、例外は認められない。100%完全に廃止するべきだ」と指摘したほか、日本維新の会も「ブラックボックスを容認する仕組みだ」として例外なく廃止すべきだと主張しました。
一方、国民民主党は「原則公開すべきだが、プライバシーに配慮するという趣旨は一定程度理解できるので、第三者機関の『政治資金監視委員会』で検討すべきだ」という考えを示しました。
こうした野党側からの指摘をふまえ、自民党の小泉氏は「プライバシーや人権など配慮すべきものがあるという理解は一部の会派とは共有する認識だと思う。公開方法工夫支出に理解が得られない中でも、修正協議の呼びかけに真摯に応じなければならない」と述べ、野党側との修正協議に応じる考えを示しました。
このほか外国人によるパーティー券購入については、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、共産党はいずれも「禁止すべき」という認識を示しました。
立憲 野田代表「自民党がどこまで下りてくるか ポイント」
立憲民主党の野田代表は記者会見で「改革の大玉で、一番一致点を見いだしやすいのが政策活動費だ。公明党やほかの野党は廃止の方向なので、自民党がどこまで下りてくるかがポイントだ」と述べました。
その上で「企業・団体献金は、自民党との間で立場の開きが大きい。年内に結論を出すことが無理ならば、議論のめどをどこまでにするか確約をとる必要がある」と述べました。
一方、収支報告書に不記載があった議員の政治倫理審査会での対応をめぐり「実現する運びとなったことは前進だが、参議院では『公開ではダメだ』と言っている人たちがいっぱいいて、これでは説明責任を果たしたことにならない。公開での実現を引き続き要求していきたい」と述べました。
公明 西田幹事長「法案一本化する努力を」
公明党の西田幹事長は記者会見で「政策活動費の廃止については、自民党の法案と、野党が共同で提出した法案があり、提出していない公明党はフリーハンドだ。修正協議という形で法案を一本化する努力をし、政策活動費の廃止はいまの国会で法律上明確にしていきたい」と述べました。
その上で「自民党が主張する『公開方法工夫支出』は、どの程度、必要性が認められるのかを特別委員会の審議で見極めていきたい」と述べました。
国民 榛葉幹事長「与野党が議論して成案を」
国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「政策活動費」を廃止するための法案について「無理やり数を合わせて自分たちの思いを通してしまえばいいという性質のものではない。与野党がしっかり議論して成案を得なければ国民から見放される」と述べました。
その上で、自民党が主張する「公開方法工夫支出」について「外交上の問題があるなら、国益のために出しづらい理由をはっきり説明すべきだ。あたかもそれを理由に抜け穴やブラックボックスを作ろうとしている懸念がある。透明性を高め、説明責任を果たすことに尽きる」と述べました。
企業・団体献金の禁止と憲法の関係 政府見解は
13日昼に開かれた政治改革に関する衆議院の特別委員会の理事会で、政府は、企業・団体献金の禁止と表現の自由などを保障した憲法21条との関係についての見解を文書で示しました。
この中では「いわゆる企業・団体献金を禁止することについて、政府としては、具体的に検討していないため、憲法21条に違反するかどうかを一概に申し上げることはできないが、企業・団体献金の禁止の必要性等について慎重に検討されるべきものと考える」としています。
政治改革法案 16日審議で与野党合意
政治改革を議論する衆議院の特別委員会は13日朝の理事会で、来週の12月16日午後に委員会を開き、法案の審議を行うことで与野党が合意しました。
また、自民党が「16日には一定の結論を出したい」と述べ、16日に法案の採決を行うよう重ねて求めたのに対し、野党側は「状況を見て検討する」として引き続き、協議することになりました。