その結果、がん医療の効果をはかる指標とされる5年後の生存率は全体で64.1%となり、前回、2008年までの3年間について調べた結果に比べて2ポイント向上しました。
がんの種類別でみると、
▽前立腺がんが最も高く99.1%
▽次いで甲状腺がんが94.7%
▽皮膚がんが94.6%
▽女性の乳がんが92.3%
▽喉頭がんが81.8%などとなっています。
一方、
▽すい臓がんが最も低く8.5%
▽次いで胆のうがんや胆管がんが24.5%
▽肺がんが34.9%
▽脳腫瘍などのがんが35.6%などとなっています。
研究グループは、生存率が向上したことについて、前立腺がんなど、治療成績がよいがんの患者が増えていることに加えて、診断や治療の技術が進歩したことなどが背景にあると分析しています。
国立がん研究センターのウェブサイトでは、地域別にがんの部位ごとなどにまとめられた生存率のデータも見ることができます。
国立がん研究センターの松田智大全国がん登録室長は「それぞれの患者さんに当てはまるものではなく、あくまで医療の進歩の程度を見るための統計上の数字だが、医療が着実に進歩し、がんは種類によっては治る病気になってきていると捉えてもらいたい。治療については主治医の先生としっかり相談してほしい」と話しています。
がんの種類・進行度ごとの生存率
国立がん研究センターの研究グループでは、患者数の多いがんについては、がんが1つの臓器や組織の中にとどまる「限局」、周囲の臓器などにも広がっている「領域」、離れた臓器に転移した「遠隔」、これら3つの進行度ごとに5年生存率をまとめています。
▼全部位
▽限局 92.4%、
▽領域 58.1%
▽遠隔 15.7%
▽不明 47.8%
▽全体 64.1%
▼胃がん
▽限局 96.7%
▽領域 51.9%
▽遠隔 6.6%
▽不明 34.7%
▽全体 66.6%
▼大腸がん
▽限局 97.3%
▽領域 75.3%
▽遠隔 17.3%
▽不明 49.0%
▽全体 71.4%
▼肝臓がん・肝内胆管がん
▽限局 51.6%
▽領域 15.4%
▽遠隔 3.1%
▽不明 23.5%
▽全体 35.8%
▼肺がん
▽限局 83.5%
▽領域 31.1%
▽遠隔 6.4%
▽不明 15.4%
▽全体 34.9%
▼乳がん
▽限局 99.3%
▽領域 90.0%
▽遠隔 39.3%
▽不明 81.1%
▽全体 92.3%
▼子宮頚がん
▽限局 95.7%
▽領域 66.8%
▽遠隔 22.5%
▽不明 69.7%
▽全体 76.5%
▼子宮体がん
▽限局 95.7%
▽領域 73.2%
▽遠隔 20.1%
▽不明 60.0%
▽全体 81.3%
▼前立腺がん
▽限局 100.0%
▽領域 99.2%
▽遠隔 53.4%
▽不明 93.4%
▽全体 99.1%
以下のがんについては、進行度別ではなく、全体の5年生存率のみがまとめられています。
▼甲状腺がん 94.7%
▼皮膚がん 94.6%
▼喉頭がん 81.8%
▼ぼうこうがん 73.3%
▼腎臓がん・尿路がん 68.6%
▼悪性リンパ腫 67.5%
▼口腔がん・咽頭がん 63.5%
▼卵巣がん 60.0%
▼白血病 44.0%
▼多発性骨髄腫 42.8%
▼食道がん 41.5%
▼脳腫瘍などのがん 35.6%
▼胆のうがん・胆管がん 24.5%
▼すい臓がん 8.5%
地域別のデータなど、詳しい情報がまとめられた報告書は以下のサイトから見ることができます。
国立がん研究センター「全国がん罹患モニタリング集計」。「https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/monitoring.html」。
また、最新のがんの治療法や、全国各地にある拠点病院、それに相談支援センターなどについての情報がまとめられた「がん情報サービス」のサイトはこちらです。
「ganjoho.jp」。