新型しんがたコロナ疑うたがい患者かんじゃ 救急きゅうきゅう搬送はんそうで110か所かしょから受け入うけいれ拒否きょひ 東京とうきょう

東京とうきょう消防庁しょうぼうちょうや都とによりますと、救急きゅうきゅう搬送はんそうの受け入うけいれ先さきを探さがす際さい、5か所かしょ以上いじょうの病院びょういんに断ことわられたり、20分ふん以上いじょう、搬送はんそう先さきが決きまらなかったりしたケースが先月せんげつは931件けんに上のぼり、去年きょねんの同おなじ時期じきより231件けん、率りつにして33％増加ぞうかしています。

さらに、今月こんげつに入はいってからは1日にちから11日にちまでに830件けんに上のぼっていることが分わかりました。

平常へいじょう時じは1日にちに20件けん程度ていどのため、それと比くらべるとおよそ4倍ばいになっています。

こうした中なか、都内とないでは今月こんげつ、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしている疑うたがいがある患者かんじゃを搬送はんそうしようとした際さい、およそ110か所かしょの医療いりょう機関きかんから受け入うけいれを断ことわられたケースもあったことが、関係かんけい者しゃへの取材しゅざいで分わかりました。

東京とうきょう都と医師いし会かいの猪口いのぐち正ただし孝こう副ふく会長かいちょうは「感染かんせんの疑うたがいがある患者かんじゃを受け入うけいれられない病院びょういんが多おおくなっている。院内いんない感染かんせんを防ふせぐための対応たいおうが難むずかしいなどの事情じじょうがあるとみられ、受け入うけいれ態勢たいせいの確保かくほが急務きゅうむだ」としています。

受け入うけいれ先さき10時間じかん見みつからず

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした疑うたがいのある東京とうきょう 台東たいとう区くの高齢こうれい男性だんせいが、およそ10時間じかん、入院にゅういん先さきが見みつからずに待またされた末すえに、自宅じたくから遠とおく離はなれた八王子はちおうじ市しの病院びょういんに、ようやく搬送はんそうされる事態じたいになっていたことが分わかりました。

東京とうきょう 台東たいとう区くの診療しんりょう所しょの原田はらだ文ぶん植うえ医師いしによりますと、今月こんげつ10日にちの午前ごぜん10時半じはんごろ、台東たいとう区くの80代だいの男性だんせいを在宅ざいたく診療しんりょうした際さい、体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえ、食欲しょくよく不振ふしんや脱水だっすいの症状しょうじょうもあったことから救急きゅうきゅう隊たいを呼よび、以前いぜん手術しゅじゅつを受うけたことがある、都内とないの病院びょういんで治療ちりょうを受うけさせたいと要請ようせいしたということです。

このとき、男性だんせいの体温たいおんは高熱こうねつではありませんでしたが、病院びょういんでは新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしているか確たしかめるため、ＣＴ検査けんさを行おこなった結果けっか、肺はいに影かげがみられ、新型しんがたコロナウイルスの疑うたがいがあると診断しんだんされました。

その後そのご、すぐに隔離かくりする対応たいおうが取とられ、病院びょういん側がわが入院にゅういんに対応たいおうできる別べつの病院びょういんを探さがしましたが、なかなか見みつからず、最終さいしゅう的てきに午後ごご８はち時半じはんごろに、自宅じたくから40キロ以上いじょう離はなれた八王子はちおうじ市しの病院びょういんにようやく搬送はんそうされたということです。

最初さいしょの診察しんさつから搬送はんそう先さきに入はいるまでに、およそ10時間じかんかかったことになります。

男性だんせいは現在げんざい、ＰＣＲ検査けんさの結果けっか待まちだということです。

診療しんりょう所しょで記録きろくしたメモには「いまだに病院びょういんが決きまらない。急激きゅうげきに状態じょうたいが悪化あっかしている」などと、受け入うけいれ先さきが決きまらない緊迫きんぱくした状況じょうきょうが書き残かきのこされています。

さらに、男性だんせいには認知にんち症しょうの妻つまがいるため、メモには「ＰＣＲ検査けんさができずに男性だんせいが亡なくなってしまったら、認知にんち症しょうの妻つまの介護かいごはどうしたらいいのか」などという記載きさいもありました。

原田はらだ医師いしは「院内いんない感染かんせんをおそれ、患者かんじゃが新型しんがたコロナウイルスにかかっていないか、敏感びんかんになっている風潮ふうちょうがある。こうした傾向けいこうが続つづけば通常つうじょうの医療いりょう体制たいせいが崩壊ほうかいしてしまうおそれもあり、対策たいさくが必要ひつようだ」と話はなしています。

疑うたがいがある患者かんじゃは帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらい外来がいらい

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした疑うたがいがある患者かんじゃの受け入うけいれが断ことわられるケースが相次あいついでいるため、疑うたがいがある患者かんじゃはいったん帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらいがある病院びょういんにに搬送はんそうし、そこでＰＣＲ検査けんさを行おこなったうえで、陽性ようせいと陰性いんせいとで搬送はんそうする病院びょういんを仕分しわけることで、混乱こんらんしている現状げんじょうを改善かいぜんできないか、都とと医師いし会かいが検討けんとうを進すすめていることが分わかりました。

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしている疑うたがいのある患者かんじゃが救急きゅうきゅう搬送はんそうされる場合ばあい、現状げんじょうでは、ほかの入院にゅういん患者かんじゃへの影響えいきょうを避さけるため、通常つうじょうの病床びょうしょうに入いれることができず、病棟びょうとうの中なかで個室こしつを用意よういしたり、複数ふくすうのベッドがある部屋へやを１いち人にんで使用しようしたりして対応たいおうしています。

そしてＰＣＲ検査けんさの結果けっかを待まつ必要ひつようがありますが、結果けっかが出でるまでに時間じかんがかかってしまい、一般いっぱんの病院びょういんで受け入うけいれるのが難むずかしくなっているのが現状げんじょうです。

このため、感染かんせんの疑うたがいがあるケースでは、都内とないにおよそ70か所かしょある帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらいを持もつ病院びょういんにいったん搬送はんそうし、速すみやかにＰＣＲ検査けんさを行おこなって、陽性ようせいの場合ばあいは感染かんせん病棟びょうとうがある病院びょういんに、陰性いんせいの場合ばあいは一般いっぱんの病院びょういんへと、搬送はんそう先さきを仕分しわけることで混乱こんらんしている現状げんじょうを改善かいぜんできないか、都とと医師いし会かいが検討けんとうを進すすめていることが分わかりました。

東京とうきょう都と医師いし会かいの猪口いのぐち正ただし孝こう副ふく会長かいちょうは「現在げんざいは通常つうじょうの救急きゅうきゅう医療いりょう体制たいせいの考え方かんがえかたで行おこなっていて、無理むりが生しょうじている。新型しんがたコロナウイルスの疑うたがいがある段階だんかいで、患者かんじゃをどう受け入うけいれていくのか別べつの枠組わくぐみで考かんがえていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

救急きゅうきゅう搬送はんそう拒否きょひ「態勢たいせい整備せいびを」

都内とないの一般いっぱん病院びょういんでは今月こんげつに入はいってから、救急きゅうきゅう搬送はんそうの受け入うけいれ依頼いらいが370件けん余あまりと、すでに毎月まいつきの平均へいきんのおよそ1.5倍ばい近ちかくに上のぼっています。

中なかでも、ほかの複数ふくすうの病院びょういんで受け入うけいれを断ことわられた患者かんじゃが目立めだっているといいます。

50代だいの男性だんせいは発熱はつねつと下痢げりの症状しょうじょうを訴うったえ119番ばん通報つうほうしたものの、救急きゅうきゅう隊員たいいんが10件けん以上いじょうの病院びょういんに受け入うけいれを断ことわられ、区く外がいにあるこの病院びょういんに運び込はこびこまれました。

また、発熱はつねつと息苦いきぐるしさを訴うったえた60代だいの男性だんせいは救急きゅうきゅう隊員たいいんが80件けん余あまりの病院びょういんに受け入うけいれ要請ようせいを行おこなったものの断ことわられ、およそ半日はんにちたって、ようやくこの病院びょういんにたどりついたということです。

男性だんせいの症状しょうじょうは落ち着おちついていて、ＰＣＲ検査けんさを受うけ結果けっかを待まっている状態じょうたいです。

病院びょういんでは、男性だんせいのように発熱はつねつやせきなど呼吸こきゅう器き障害しょうがいがみられる患者かんじゃを受け入うけいれる際さいは、必かならず防護ぼうご服ふくや顔かおを覆おおうシールドマスクなどを着用ちゃくようし、唾液だえきやせきの飛ひまつを避さけながら対応たいおうに当あたっています。

できるかぎり多おおくの救急きゅうきゅう患者かんじゃを受け入うけいれたいとは考かんがえていますが、それにも限界げんかいがあると考かんがえています。

金井かない信しん恭きょう救急きゅうきゅう科か長ちょうは「病院びょういんの中なかには感染かんせん対策たいさくが十分じゅうぶんでないため疑うたがいのある患者かんじゃを受うけいられないという所ところも多おおく、その分ぶん、私わたしたちの病院びょういんへの依頼いらいが増ふえている。複数ふくすうの医療いりょう機関きかんが受け入うけいれを断ことわると、それだけ処置しょちが遅おくれ患者かんじゃに影響えいきょうを与あたえてしまう。また、行き先ゆきさきが見みつからずに最終さいしゅう的てきに高度こうど救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンターで受け入うけいれざるをえなかったという話はなしも出でている。地域ちいきの病院びょういんがそれぞれ感染かんせん対策たいさくを徹底てっていし体制たいせいを整備せいびしたうえで、患者かんじゃの受け入うけいれを行おこなっていかなければならない時期じきにきている」と話はなしています。

医師いし会かい「医療いりょう機関きかんの区分くぶんを」

日本にっぽん医師いし会かいの横倉よこくら会長かいちょうは記者きしゃ会見かいけんで「院内いんない感染かんせんが起おきたことや、救急きゅうきゅう対応たいおうの病床びょうしょうが患者かんじゃで埋うまっていることに問題もんだいがある。一般いっぱんの患者かんじゃも新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした患者かんじゃもしっかりと対応たいおうするため、感染かんせんした患者かんじゃを主おもに診みる医療いりょう機関きかんと、一般いっぱん患者かんじゃを診みる医療いりょう機関きかんにしっかり区分くぶんしていく必要ひつようがある」と述のべました。