合わせてルノーのスナール会長の取締役就任が決まり、日産は新たな体制への移行を加速させることにしています。日産の臨時株主総会は、東京都内のホテルで午前10時から始まり、およそ4100人の株主が出席しました。
総会では冒頭、西川廣人社長が社内調査などで明らかになったとするゴーン前会長の重大な不正について「ガバナンス体制に大きな問題があったのは事実だ。不正の手口がいかに巧妙だったとはいえ、過去の経営陣、私をはじめとする経営陣の責任を大変重く受け止めている」と述べ、陳謝しました。
このあと総会では、取締役についてカルロス・ゴーン前会長とグレッグ・ケリー前代表取締役をそれぞれ解任する議案と、ルノーのスナール会長を選任する議案が諮られました。
これに対して、出席した株主の間からは不正を防げなかったとして、ゴーン前会長ら以外の経営陣の退任も求める意見が出されました。
また、ゴーン前会長の退職金などの支払いについて質問が出されたのに対して、西川社長は「当然、われわれとしては払いたくないと思っている」と述べました。
総会はおよそ3時間にわたりましたが、大きな混乱はなく、すべての議案が賛成多数で承認されました。
これによって、ゴーン前会長は日産のすべての役職を外れることになりました。
また、日産の取締役に選任されたルノーのスナール会長は総会のあと「株主の皆さんの信任に心から感謝し、献身的に日産自動車の将来をよりよくすべく頑張っていきたい。日産、三菱自動車、ルノーの3社のアライアンスの枠組みの中で最適な進化を求めていく」と述べました。
日産は、先月、第三者の専門家らでつくる委員会がまとめた会長職の廃止や社外取締役の役割の強化などを盛り込んだ提言を踏まえ、ことし6月に開く予定の定時の株主総会に向け経営体制の見直しを加速させていくことにしています。
日産の株主は
日産自動車の株主総会に出席した男性は「経営陣の甘さを感じた。責任の取り方を含めて将来どうするのかが見えにくかった。ゴーン前会長の解任はしかたないが、日産はグローバルの大きな会社なのでトヨタに匹敵するような会社になってほしい」と話していました。
別の男性は「ゴーン氏だけの責任ではなく、それを看過していた取締役の責任については、納得のいく説明がありませんでした。ガバナンスをしっかりしていくと言っていますが、あまり期待できません」と話していました。
60代の女性は「経営陣は、すべてはゴーン前会長の責任だというような感じだが、ゴーン前会長が一人でできるわけではなく、把握していた経営陣はいるはず。それに触れずにいる経営陣の姿勢には疑問を感じます。 ゴーン前会長に日産が救われたというのは事実なので、こういう終わり方は残念です」と話していました。
53歳の女性は「ゴーン前会長の取締役解任は当然だと思う。会社がガタガタになってしまっては元も子もないので、西川社長はじめ経営陣には、しばらく頑張ってもらうとともに、今後、不正が起きないよう厳しく見張るようにしてもらいたい」と話していました。
元従業員の71歳の男性は「ゴーン前会長は会社の業績をV字回復させたところまではよかったが、その後、私服を肥やしていたのは信じられない思いだ。会社には、今後、一丸となって、日産に対する顧客や社会の信頼をスピード感を持って取り戻してもらいたい」と話していました。