宮城県富谷市に本社があり、仙台市を中心に14店舗を展開する牛タン専門のチェーン店では、この大型連休中、観光客などで利用客が平日の3倍に増えると見込んでいます。
しかし、従業員やアルバイトの休暇の希望が多く人手が不足していて、仙台市青葉区の店では、日頃は店頭に立たない本社の管理職や事務職、それにグループ会社の工場の従業員も出勤し、接客の業務に当たっています。
このうち、営業本部長の小野博康さんは、ふだんは本社で牛タンの仕入れなどを行っていますが、29日は11年ぶりに店頭に立ちました。
開店前から大勢の客が並ぶ中、小野さんは丁寧に声をかけながらテーブルに案内していました。
柴田あゆみ副店長は「人が足りないので、小野本部長にシフトに入ってもらえて助かりました」などと話していました。
小野営業本部長は「10連休といえども接客に手を抜くわけにはいかないので、総動員で対応しています。連休もなんとか乗り切りたいです」と話していました。
人材派遣会社に問い合わせ相次ぐ
10連休で観光地がにぎわう中、東京の人材派遣会社には、人手が不足する全国のホテルや旅館などから、問い合わせが相次いでいます。
ことしの大型連休は長い休みを利用して多くの人が観光地を訪れている一方で、ホテルや旅館では、働き方改革で従業員を休ませる必要があり、例年以上に働き手の確保が難しくなっています。
こうした中、全国のリゾート地を対象に人材派遣を手がける東京 新宿区の会社には、連休に入ってからも問い合わせが相次ぎ、社員が交代で出勤し対応にあたっています。
会社によりますと、10連休の期間中にはこれまでに450の施設から合わせて1700人の派遣依頼があり、去年の同じ時期より1.7倍に増えているということです。
中には、「時給を引き上げるので何とか人を派遣してほしい」といった切実な声も寄せられているということです。
一方で、連休期間中に働きたいという人も増えていて、応募者は去年の3倍に上っているということです。
これについて人材派遣会社では、副業を解禁する企業が増えていて、10連休で本業が休みになった人たちからの応募が増えていると見ています。
それでも一部の地域では人繰りが追いついていないケースも出ているということです。
人材派遣会社「ヒューマニック」の田中栄志次長は、「ことしは年明けの早い段階から連休中の派遣依頼が相次ぎ、例年以上に需要が高まっている。特にリゾート地は地方に多く、若い人材の確保が難しく、都市部から人を派遣してもらおうという動きが相次いでいる」と話しています。
ネット上には人手不足を嘆く声
インターネット上では、職場の人手が足りなくて10連休でも休みが取れないことを嘆く声や、忙しさを訴える声が相次いで投稿されています。
ツイッターでは、介護の仕事に携わる人などから、「どこか遠い国では10連休だそうだが在宅介護に休みは無い。連休中はショートステイは満杯デイサービスも人手が足りない」という声や、「人手不足なのに、例年の2倍の10連休だからみんな休めない。頼みのパートさんも保育所休みなどで例年の2倍休むから社員は休めない」といった休みが取れないことを嘆く声が相次いでいます。
また、「10連休のおかげで物流多すぎて2時間残業したぞ。人手不足だしお客さん多いし、接客業の10連休なんぞ地獄」とか、「無理に休みを取る人がいて人手不足で忙しい事が確定してる。色んな部署たらい回しにされてるわ」など忙しさが深刻になっている現状を訴える声も目立ちました。