留学生りゅうがくせい1600人にん行方ゆくえ不明ふめい 大学だいがくに改善かいぜん指導しどう 一部いちぶに在留ざいりゅう資格しかく認みとめず

国くには受け入うけいれ態勢たいせいなどに問題もんだいがあるとして、当面とうめん、新あらたな留学生りゅうがくせいの一部いちぶに在留ざいりゅう資格しかくを認みとめないことを明あきらかにしました。東京とうきょう福祉ふくし大学だいがくは全国ぜんこくに４よんか所かしょあるキャンパスのうち、東京とうきょう北きた区くのキャンパスに在籍ざいせきしていたベトナム人じんやネパール人じんなど多おおくの外国がいこく人じん留学生りゅうがくせいが行方ゆくえ不明ふめいとなっていました。

文部もんぶ科学かがく省しょうと法務省ほうむしょうが詳くわしく調査ちょうさした結果けっか、その人数にんずうは昨年度さくねんどまでの３さん年間ねんかんで合あわせて1610人にんに上のぼることが分わかりました。

このうち最もっとも多おおかったのは、正規せいきの学生がくせいではない「学部がくぶ研究けんきゅう生せい」で、1113人にんでした。

東京とうきょう福祉ふくし大学だいがくは、正規せいきの学部がくぶへの入学にゅうがくを目指めざす準備じゅんび期間きかんとして、この学部がくぶ研究けんきゅう生せいの制度せいどを設もうけていますが、本来ほんらい、入学にゅうがくの基準きじゅんとしていた語学ごがく力りょくに達たっしていない研究けんきゅう生せいも多数たすう、在籍ざいせきしていたということです。

国くには「受け入うけいれ態勢たいせいが不十分ふじゅうぶんな中なか、多数たすうの留学生りゅうがくせいを安易あんいに受け入うけいれ大量たいりょうの所在しょざい不明ふめい者しゃや、不法ふほう残留ざんりゅう者しゃを出だした責任せきにんは重大じゅうだいだ」として、大学だいがくに対にたいして、当面とうめん、学部がくぶ研究けんきゅう生せいには在留ざいりゅう資格しかくを認みとめないことや、大学だいがくに対にたいして、来月らいげつ末まつまでに改善かいぜん計画けいかくの提出ていしゅつを求もとめるなど、指導しどうすることを決きめました。

文科ぶんか相しょう「的確てきかくな把握はあく遅おくれ 反省はんせい」

柴山しばやま文部もんぶ科学かがく大臣だいじんは記者きしゃ会見かいけんで「東京とうきょう福祉ふくし大学だいがくからの報告ほうこく内容ないようが不ふ正確せいかくだったことについて、的確てきかくな把握はあくが遅おくれ早期そうきに必要ひつような対応たいおうをすることを逸いっしたことは、率直そっちょくに言いって問題もんだいがあった。

所在しょざい不明ふめい者しゃや不法ふほう残留ざんりゅう者しゃをしっかりと把握はあくするすべがなかったことを真摯しんし（しんし）に反省はんせいしている」と述のべました。

そのうえで「大学だいがくでの在籍ざいせき管理かんりの徹底てっていを通をつうじて、国くにが進すすめている留学生りゅうがくせい30万まん人にん計画けいかくの趣旨しゅしに沿そった留学生りゅうがくせいの受け入うけいれが図はかられるように努つとめていきたい」と述のべました。

法相ほうしょう「新規しんき受け入うけいれ 在留ざいりゅう資格しかくの付与ふよ認みとめない」

山下やました法務ほうむ大臣だいじんは記者きしゃ会見かいけんで「こうした事態じたいとなったことは大変たいへん遺憾いかんだ。大学だいがくレベルとは到底とうてい評価ひょうかできない授業じゅぎょうを行おこなっているなど、重大じゅうだいな問題もんだいが確認かくにんされたことから、当面とうめん、東京とうきょう福祉ふくし大学だいがくに対にたいして、新規しんき受け入うけいれに対にたいする留学りゅうがくの在留ざいりゅう資格しかくの付与ふよを認みとめないことにした」と述のべました。

そのうえで「今後こんごは文部もんぶ科学かがく省しょうと連携れんけいして、新あらたな対応たいおう方針ほうしんを着実ちゃくじつに実施じっしすることで、外国がいこく人材じんざいの受け入うけいれ制度せいどについての信頼しんらいを高たかめていきたい」と述のべました。

東京とうきょう福祉ふくし大だい「改善かいぜんにつとめる」

東京とうきょう福祉ふくし大学だいがくは「指導しどうを真摯しんしに受け止うけとめて、改善かいぜんにつとめてまいります」とコメントしています。

学生がくせい「教育きょういくが受うけられる環境かんきょうを」

大学だいがく３さん年ねんの日本人にっぽんじんの女子じょし学生がくせいは「研究けんきゅう生せいという資格しかくがなくなるのは留学生りゅうがくせいにとってチャンスがなくなるのでかわいそうだと思おもいます。ただ、それだけ行方ゆくえ不明ふめい者しゃがいたというのは留学生りゅうがくせいも在留ざいりゅう資格しかくを得えるためにこの学校がっこうを使つかっていたのかなと思おもうし、大学だいがく側がわも金かねもうけのためだったのかと思おもってしまいます。大学だいがくにはまっとうに教育きょういくが受うけられるような環境かんきょうにしてほしいと思おもいます」と話はなしていました。

また、大学だいがくに３月さんがつまで学部がくぶ研究けんきゅう生せいとして通かよっていたというネパール人じんの28歳さいの男性だんせいは「学部がくぶ研究けんきゅう生せいという立場たちばでちゃんと勉強べんきょうしている学生がくせいもいるので、その資格しかくがなくなることはとても残念ざんねんです。学校がっこうはいい先生せんせいもいましたが、もっとちゃんとするべきだと思おもいます」と話はなしていました。

問題もんだいの背景はいけい 規模きぼに見合みあう体制たいせいなし

国くには今回こんかいの問題もんだいの背景はいけいに、大学だいがく側がわが留学生りゅうがくせいの受け入うけいれ規模きぼに見合みあうだけの組織そしき体制たいせいを整備せいびしていなかったことがあると指摘してきしています。

大学だいがくには昨年度さくねんど、合あわせて5000人にん余あまりの留学生りゅうがくせいが在籍ざいせきしていましたが、対応たいおうする職員しょくいんの数かずが不足ふそくしていました。

2015年度ねんどは職員しょくいん１いち人にん当あたりの学生がくせいの数かずが43.8人にんだったのが、昨年度さくねんどは、１いち人にん当あたり100.6人にんにまで急増きゅうぞうしていました。

また、学部がくぶ研究けんきゅう生せいの中なかには学期がっきの始はじめから欠席けっせきが続つづき、出席しゅっせき率りつの低ひくい学生がくせいが多おおかったということです。

結果けっかとして、昨年度さくねんど、入学にゅうがくした学部がくぶ研究けんきゅう生せいの24％、ほぼ４よん人にんに１いち人にんが行方ゆくえ不明ふめいとなっていました。

さらに、施設しせつの不備ふびも指摘してきされ、北きた区くのキャンパスではトイレが設置せっちされている教室きょうしつに、講義こうぎの最中さいちゅうに受講じゅこう者しゃ以外いがいのトイレの利用りよう者しゃが出入でいりしていたということです。