バスケ女子じょし 最終さいしゅう予選よせんでカナダに勝利しょうり 3大会たいかい連続れんぞくの五輪ごりん出場しゅつじょう決定けってい

バスケットボール女子じょしのオリンピック世界せかい最終さいしゅう予選よせんは、4チームが総そう当あたりで対戦たいせんし、上位じょうい3チーム以内いないに入はいるとパリ大会たいかいの出場しゅつじょう権けんを獲得かくとくできます。

日本にっぽんが入はいるグループは、4チームが1勝しょう1敗はいで並ならんでいて勝かてばオリンピック出場しゅつじょうが決きまる世界せかいランキング9位いの日本にっぽんは、世界せかい5位いの強豪きょうごう、カナダと対戦たいせんしました。

試合しあいは第だい1クオーター、日本にっぽんが得意とくいとするスリーポイントシュートを警戒けいかいして徹底てっていして外そとを守まもる相手あいてに対にたいし、日本にっぽんはゴール下かを中心ちゅうしんに攻せめ、宮崎みやざき早織さおり選手せんしゅのドライブなどで得点とくてんを重かさね20対たい20の同点どうてんでこのクオーターを終おえました。

第だい2クオーターは、馬うま瓜うりエブリン選手せんしゅがこの試合しあいチーム最初さいしょのスリーポイントシュートを決きめ、山本やまもと麻衣まい選手せんしゅも2本ほんのスリーポイントを決きめて、50対たい46と前半ぜんはんで4点てんをリードしました。

第だい3クオーターは相手あいての高たかさのある攻撃こうげきに追い上おいあげられ、開始かいしおよそ2分ふんで日本にっぽんは逆転ぎゃくてんを許ゆるします。

そこからは両りょうチーム譲ゆずらない展開てんかいとなりますが、ディフェンスからの速攻そっこうで山本やまもと選手せんしゅがこの日ひ、3本ほん目めのスリーポイントを決きめるなど日本にっぽんがわずかに抜け出ぬけだし3点てんをリードして第だい4クオーターに入はいりました。

最終さいしゅう第だい4クオーターも接戦せっせんが続つづき、残のこりおよそ4分ふん半はんで日本にっぽんは79対たい79の同点どうてんに追おいつかれました。

ここで日本にっぽんは宮崎みやざき選手せんしゅのドライブなど、相手あいてのゴール下かを攻せめて再ふたたびリードを奪うばうと3点てんリードの残のこり41秒びょうには山本やまもと選手せんしゅがルーズボールを拾ひろって苦くるしい体勢たいせいからシュートを決きめて、粘ねばる相手あいてを突き放つきはなしました。

山本やまもと選手せんしゅと馬うま瓜うりエブリン選手せんしゅがともに21得点とくてんを挙あげた日本にっぽんが86対たい82で接戦せっせんを制せいし、通算つうさん成績せいせきを2勝しょう1敗はいとしてグループの3位い以内いないに入はいることが確定かくていして、3大会たいかい連続れんぞくのオリンピック出場しゅつじょうが決きまりました。

《選手せんしゅ・ヘッドコーチ談話だんわ》

キャプテン 林はやし咲希さき「めちゃくちゃうれしいし ほっとした」

キャプテンの林はやし咲希さき選手せんしゅは「めちゃくちゃうれしいし、ほっとした気持きもちだ。この1か月かげつ間かん、練習れんしゅうを頑張がんばってきたし、メンバーに選えらばれなかった選手せんしゅも頑張がんばってきた。オリンピック出場しゅつじょうにつなげることができて、日本にっぽんのためにみんなで頑張がんばってこういう結果けっかになってよかった」と涙なみだを浮うかべながら話はなしていました。

馬うま瓜うりエブリン「みんなを鼓舞こぶし 自分じぶんもやるという使命しめい果はたせた」

3本ほんのスリーポイントシュートを決きめ、チーム最多さいたに並ならぶ21得点とくてんを挙あげた馬うま瓜うりエブリン選手せんしゅは「正直しょうじき、前まえの試合しあいで現実げんじつを見みて、ここからどうしようと思おもったが、シンプルに勝かつだけだと考かんがえて、チームで話し合はなしあって気持きもちを立て直たてなおした。みんなを鼓舞こぶして自分じぶんもやるという使命しめいを果はたすことができてよかった」と話はなしていました。

山本やまもと麻衣まい「全員ぜんいんで戦たたかうことができた」

チーム最多さいたに並ならぶ21得点とくてんをマークし、第だい4クオーターの勝負しょうぶどころで試合しあいを決定けっていづけるシュートを決きめた山本やまもと麻衣まい選手せんしゅは「本当ほんとうに勝かててうれしい。勝かつしかなかったので、全員ぜんいんで戦たたかうことができて、こういう結果けっかになってうれしい」と喜よろこびを語かたりました。

そのうえでパリオリンピックに向むけては「ここからが始はじまりだと思おもうので、もっとレベルアップしてパリで金メダルきんめだるを取とりたい」と話はなしていました。

恩おん塚つかヘッドコーチ「パリでは恩返おんがえしを」

3大会たいかい連続れんぞくのオリンピック出場しゅつじょうを決きめたバスケットボール女子じょし日本にっぽん代表だいひょうの恩おん塚つか亨とおるヘッドコーチは「チーム一丸いちがんでつかみ取とった勝利しょうりでうれしい。プレッシャーのかかる難むずかしいゲームだと予想よそうしていたが、チームを信しんじて戦たたかい抜ぬこうという気持きもちで試合しあいに入はいることができた」と話はなしていました。

そのうえでパリオリンピックに向むけては「たくさんの方ほうに応援おうえんしてもらいエネルギーをもらったので、パリでは恩返おんがえしをできるように頑張がんばりたい」と決意けついを話はなしていました。

《バスケ女子じょし 見みえた成果せいかと課題かだい》

トム・ホーバスヘッドコーチのもと東京とうきょうオリンピックで銀メダルぎんめだるを獲得かくとくして世界せかいを驚おどろかせたバスケットボール女子じょしの日本にっぽん代表だいひょう。

指揮しき官かんが恩おん塚つか亨とおるヘッドコーチに変かわり、その1年ねん後ごのワールドカップではグループリーグ敗退はいたい。6連覇れんぱをねらった去年きょねんのアジアカップでは決勝けっしょうで中国ちゅうごくに敗やぶれるなど、国際こくさい大会たいかいで思おもうような結果けっかを出だすことができませんでした。

東京とうきょう五輪ごりんのあとの苦戦くせん

背景はいけいには東京とうきょうオリンピックで見みせたスリーポイントシュート中心ちゅうしんの日本にっぽんの戦術せんじゅつが研究けんきゅうされ、世界せかいの強豪きょうごうチームに対策たいさくを取とられたことがあります。

それでも日本にっぽんが戦術せんじゅつを変かえることはありませんでした。しつこいディフェンスから速はやい攻撃こうげきにつなげて、外そとからのシュートを決きめる。「走はしり勝かつシューター軍団ぐんだん」をチームコンセプトに掲かかげた恩おん塚つかヘッドコーチは「速はやさ」と「しつこさ」「チームワーク」の3つをポイントに挙あげていました。

今回こんかいの世界せかい最終さいしゅう予選よせんのメンバーに選えらばれた日本にっぽん代表だいひょうの平均へいきん身長しんちょうは1メートル74センチあまり。対戦たいせんするスペインと、カナダ、ハンガリーの3か国かこくは、いずれも平均へいきんで日本にっぽんより8センチから9センチ高たかく、日本にっぽんは高たかさで劣おとる分ぶん、スピードで対抗たいこうするバスケットボールを貫つらぬこうと大会たいかいに臨のぞみました。

“走はしり勝かつバスケ”を体現たいげん

快勝かいしょうした初戦しょせんのスペイン戦せんで光ひかったのはオールコートで厳きびしいプレッシャーをかけ続つづけたディフェンスです。終始しゅうし相手あいてのポイントガードにプレッシャーをかけ、相手あいてのパス回まわしを自由じゆうにさせませんでした。

そして不利ふりな体勢たいせいでシュートを打うたせると、リバウンドでも粘り強ねばりづよく体からだを張はって、体格たいかくで勝まさる相手あいてにリバウンドの数かずで負まけませんでした。

大会たいかい前まえの強化きょうか合宿がっしゅくでは、フィジカルで勝まさる相手あいてを想定そうていし男子だんし大学生だいがくせいを招まねいた練習れんしゅうも行おこなってきました。

ディフェンスの要ようの赤穂あこうひまわり選手せんしゅは「ゴール下かでは高たかさのある選手せんしゅに負まけてしまうので、その前まえの段階だんかいで体からだを張はって止とめたい」と話はなし、高たかい位置いちで相手あいてを止とめることを意識いしきした練習れんしゅうが、効果こうかを発揮はっきしました。

ディフェンスでリズムを作つくったチームは、得意とくいとするスリーポイントも好調こうちょうでした。8本ほん中ちゅう6本ほんのスリーポイントを決きめたキャプテンの林はやし咲希さき選手せんしゅが「苦くるしいシュートやタフなシュートを打うたないように、最後さいごまで合あわせ続つづけることを練習れんしゅうしている」と話はなしていたとおり、フリーでシュートを打うつ場面ばめんも目立めだちました。

持ち味もちあじ出だせず高たかさに屈くっする

続つづくハンガリー戦せんの第だい1クオーターはスペイン戦せんと同様どうように厳きびしいディフェンスからリズムを作つくった日本にっぽんでしたが、初戦しょせんで40分間ふんかん走はしり続つづけたチームは連戦れんせんの疲労ひろうからかその後そのご、失速しっそくします。

試合しあいのあと、馬うま瓜うりエブリン選手せんしゅや山本やまもと麻衣まい選手せんしゅが「足あしが止とまってしまった」と敗因はいいんを口くちにしたように、足あしが止とまった日本にっぽんはリバウンドで粘ねばることができず、相手あいての攻撃こうげきを止とめられなくなりました。

オフェンスでも相手あいてのマークを振り切ふりきれず、持ち味もちあじのスリーポイントを打うたせてもらえませんでした。

この試合しあいで日本にっぽんがスリーポイントを打うった数かずは28本ほんで、初戦しょせんのスペイン戦せんの40本ほんから大おおきく減へる結果けっかとなり、勝かてばパリオリンピック出場しゅつじょうが決きまる大事だいじな一いち戦せんを落おとしました。

勝かてば五輪ごりんへ勝負しょうぶの最終さいしゅう戦せん

カナダとの最終さいしゅう戦せんも相手あいては日本にっぽんのスリーポイントに徹底てっていした対策たいさくを取とってきました。

スクリーンをかけてフリーになろうとする日本にっぽんのシューターに対にたいし、マークをスイッチして背せの高たかい選手せんしゅがつき、スリーポイントを打うたせないディフェンスを仕掛しかけてきました。

ハンガリー戦せんで日本にっぽんはこのスイッチディフェンスに苦くるしめられて、外そとからのシュートが決きまらずリズムを失うしなっていました。

ただこの試合しあいではガードの宮崎みやざき早織さおり選手せんしゅや山本やまもと麻衣まい選手せんしゅがスイッチしてマークについた相手あいてとのスピードのミスマッチを突ついて果敢かかんにゴール下かにドライブを仕掛しかけました。

日本にっぽんのスリーポイントの試投とう数すうは20本ほんと、ハンガリー戦せんよりさらに少すくなくなったもののゴール下かへのドライブや、ファウルをもらってからのフリースローで着実ちゃくじつに得点とくてんを重かさねました。

チームの大黒柱だいこくばしらの高田たかだ真希まき選手せんしゅは「相手あいてがスイッチしてきた時ときに、徹底てってい的てきに中なかを突ついてファウルもらうプレーをずっとやっていくとミーティングで言いわれていたので、それを最後さいごまで出だせたのがよかった」と胸むねを張はりました。

五輪ごりんに向むけた成果せいかと課題かだいは

苦くるしんだ世界せかい最終さいしゅう予選よせんの3試合しあいで見みえたのは、堅かたいディフェンスからの速はやい攻撃こうげきが世界せかいで通用つうようするという手応てごたえと、スリーポイントを中心ちゅうしんとする戦術せんじゅつのもろさ、そして世界せかいの高たかさにどう対抗たいこうするかという課題かだいです。

スペイン戦せんやカナダ戦せんではスピードで身長しんちょう差さによる不利ふりを覆くつがえし、世界せかいの強豪きょうごうとも十分じゅうぶんに渡り合わたりあえることを証明しょうめいしました。一方いっぽうで今こん大会たいかい、ただ1人にんセンターとして登録とうろくされた高田たかだ選手せんしゅは、カナダ戦せんで5ファール退場たいじょうとなり、大事だいじな試合しあいの終盤しゅうばんでコートに立たつことができませんでした。

常つねに自分じぶんより身長しんちょうの高たかい相手あいてと競せり続つづけるインサイドをどうするかは、オリンピック本番ほんばんでも問とわれることになります。攻撃こうげき面めんでは対策たいさくを取とられた時ときに、スリーポイント一辺倒いっぺんとうにならない引き出ひきだしを増ふやす必要ひつようが改あらためて浮き彫うきぼりになりましたが、それは今こん大会たいかいのカナダ戦せんで日本にっぽんが目指めざすべき形かたちの可能かのう性せいを感かんじさせました。

「走はしり勝かつシューター軍団ぐんだん」がどう進化しんかしてパリオリンピック本番ほんばんの舞台ぶたいに立たつのか。目標もくひょうとして掲かかげる金メダルきんめだる獲得かくとくに向むけて再ふたたび世界せかいを驚おどろかせるための挑戦ちょうせんが始はじまります。