米べい 中国ちゅうごく輸入ゆにゅう品ひんに追加ついか関税かんぜい拡大かくだい 中国ちゅうごくも対抗たいこう措置そち 影響えいきょうは世界せかいに

これによって、追加ついか関税かんぜいの対象たいしょうは、中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう額がくの７なな割わり近ちかくに上のぼることになります。対象たいしょうには、中国ちゅうごくから輸入ゆにゅうされる、液晶えきしょうテレビや時計とけい、家具かぐや食器しょっきといった日にち用品ようひんが多おおく含ふくまれ、アメリカの消費しょうひ者しゃにも悪影響あくえいきょうが及およぶことが懸念けねんされます。

これに対にたいして、中国ちゅうごく側がわも同時どうじにアメリカからの原油げんゆや大豆だいずなどの輸入ゆにゅう品ひん、1700品目ひんもく余あまりを対象たいしょうに、最大さいだいで10％の関税かんぜいを上乗うわのせする対抗たいこう措置そちを発動はつどうします。

米べい中ちゅう両国りょうこくはことし12月つきにもさらなる関税かんぜいの上乗うわのせ措置そちを発動はつどうする構かまえで、発動はつどうされれば米べい中ちゅうともに互たがいの輸入ゆにゅう額がくの大半たいはんが関税かんぜい上乗うわのせの対象たいしょうになる見通みとおしです。

いっそう激はげしくなる米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつによって、すでにドイツがマイナス成長せいちょうに陥おちいるなど、その悪影響あくえいきょうは、米べい中ちゅう両国りょうこくにとどまらず、世界せかい経済けいざい全体ぜんたいに広ひろがっています。

追加ついか関税かんぜい日び用品ようひんにも拡大かくだい ８はち倍ばいに

今回こんかい、９月くがつ１いち日にちに発動はつどうされる追加ついかの関税かんぜい措置そちの特徴とくちょうは、対象たいしょうに生活せいかつに身近みぢかな日ひ用品ようひんが多おおく含ふくまれていることです。

対象たいしょうになるのは、液晶えきしょうテレビ、時計とけい、眼鏡めがね、枕まくら、カーテン、子こども用ようの机つくえやいす、ピアノやドラムといった楽器がっき類るい、それに野球やきゅうのボールやテニスラケットといったスポーツ用品ようひんなど3240品目ひんもくです。

アメリカのシンクタンク、ピーターソン国際こくさい経済けいざい研究所けんきゅうじょの試算しさんによりますと中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう品ひんのうち、金額きんがくにして1120億おくドル分ぶんになるということです。

また、クリスマス商戦しょうせんがピークを過すぎることし12月つき15日にちからは、スマートフォン、ノートパソコン、おもちゃなど中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅうの依存いぞん度どがより高たかい550品目ひんもく、金額きんがくで1600億おくドル分ぶんにも15％の関税かんぜいを上乗うわのせすると発表はっぴょうしています。

これによって、中国ちゅうごくからのほぼすべての輸入ゆにゅう品ひんに高たかい関税かんぜいがかけられることになります。

これとは別べつに、トランプ大統領だいとうりょうはすでに25％の関税かんぜいを上乗うわのせしている2500億おくドル分ぶんについても10月つき１いち日にちから関税かんぜいの上乗うわのせを30％に引き上ひきあげるとしています。

中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう品ひんに対にたいする平均へいきんの関税かんぜい率りつは、12月つきまでにすべての関税かんぜいが実施じっしされた場合ばあい、一連いちれんの措置そちが始はじまる前まえの2017年ねんの時点じてんのおよそ３さん％から24％まで、８はち倍ばいに引き上ひきあげられるということです。

米べい中ちゅう貿易ぼうえき摩擦まさつの経緯けいい

アメリカと中国ちゅうごくは去年きょねん７月しちがつ以降いこう、互たがいの輸入ゆにゅう品ひんに高たかい関税かんぜいを上乗うわのせする応酬おうしゅうを繰り返くりかえし、すでに金額きんがくベースでアメリカが中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう品ひんのほぼ半分はんぶん、中国ちゅうごくがアメリカからの輸入ゆにゅう品ひんの７なな割わりに関税かんぜいを上乗うわのせする事態じたいとなっています。（※９月くがつ１いち日にちの上乗うわのせ分ぶんは含ふくまず）

両国りょうこくは去年きょねん７月しちがつから９月くがつにかけて３さん回かいに分わけて、アメリカ側がわは中国ちゅうごくからの輸入ゆにゅう品ひん2500億おくドル分ぶん、中国ちゅうごく側がわはアメリカからの輸入ゆにゅう品ひん1100億おくドル分ぶんに関税かんぜいを上乗うわのせしました。

その後そのご、去年きょねん12月つきにアルゼンチンで行おこなわれた首脳しゅのう会談かいだんでは関税かんぜいの引き上ひきあげを一時いちじ、見送みおくって閣僚かくりょう級きゅうの交渉こうしょうを行おこなうことで合意ごういし、ことしに入はいってからアメリカ側がわはライトハイザー通商つうしょう代表だいひょうとムニューシン財務ざいむ長官ちょうかん、中国ちゅうごく側がわは劉りゅう鶴つる副ふく首相しゅしょうがワシントンと北京ぺきんを相互そうごに訪たずねる形かたちで交渉こうしょうを重かさねてきました。しかし、交渉こうしょうはことし５月ごがつにとん挫とんざし、トランプ大統領だいとうりょうは中国ちゅうごくからの2000億おくドル分ぶんの輸入ゆにゅう品ひんに上乗うわのせしていた関税かんぜいを10％から25％に引き上ひきあげました。

これに対にたいして中国ちゅうごくも６月ろくがつ、アメリカからの600億おくドル分ぶんの輸入ゆにゅう品ひんに上乗うわのせする関税かんぜいを最大さいだい25％まで引き上ひきあげる対抗たいこう措置そちに踏み切ふみきりました。

こうした中なか、米べい中ちゅうの両りょう首脳しゅのうは６月ろくがつ下旬げじゅんにＧじ-20大阪おおさかサミットに合あわせて首脳しゅのう会談かいだんを開催かいさいし次じの関税かんぜいの引き上ひきあげを見送みおくり、こう着こうちゃく状態じょうたいに陥おちいっていた閣僚かくりょう級きゅうの交渉こうしょうを再開さいかいさせることで一致いっちしました。

両国りょうこくは７月しちがつ末まつに中国ちゅうごく・上海しゃんはいで直接ちょくせつ対面たいめんする形かたちでの交渉こうしょうをおよそ２にか月かげつ半はんぶりに再開さいかいしましたが、直後ちょくごにトランプ大統領だいとうりょうは新あらたに中国ちゅうごくからの3000億おくドル分ぶんの輸入ゆにゅう品ひんに追加ついか関税かんぜいをかけることを表明ひょうめいしました。

さらに、アメリカは先月せんげつ５ご日にち、中国ちゅうごくが自国じこくの輸出ゆしゅつに有利ゆうりになるよう人民元じんみんげを意図いと的てきに安やすく誘導ゆうどうしているとして「為替かわせ操作そうさ国こく」に認定にんていしたと発表はっぴょうし、両国りょうこくの対立たいりつは関税かんぜいだけでなく為替かわせもからんだ新あらたな局面きょくめんに入はいったという見方みかたも広ひろがりました。

一方いっぽう、中国ちゅうごくは先月せんげつ23日にち、アメリカの追加ついか関税かんぜいに対にたいし、対抗たいこう措置そちとしてアメリカ側がわの関税かんぜい引き上ひきあげに合あわせて同おなじ日ひに合あわせて750億おくドル分ぶんの輸入ゆにゅう品ひんに最大さいだい10％の関税かんぜいを上乗うわのせするとしました。

これに対にたいしてトランプ大統領だいとうりょうは即座そくざに次つぎの措置そちを打ち出うちだし、今月こんげつと12月つきに発動はつどうを予定よていしていた合あわせて3000億おくドル分ぶんの関税かんぜい上乗うわのせの税率ぜいりつを10％から15％に拡大かくだいし、すでに発動はつどう済ずみの2500億おくドル分ぶんについても来月らいげつ１いち日にちに上乗うわのせの関税かんぜいを25％から30％に引き上ひきあげると発表はっぴょうしました。

トランプ大統領だいとうりょうは「アメリカは中国ちゅうごくを必要ひつようとしていない」としてアメリカ企業きぎょうに中国ちゅうごくにある生産せいさん拠点きょてんなどを国外こくがいに移うつすよう促うながし、貿易ぼうえきをめぐる米べい中ちゅうの溝みぞは両国りょうこく経済けいざいを分断ぶんだんしかねない状況じょうきょうにまで深ふかまっています。

中国ちゅうごくの対抗たいこう措置そち 米べい農業のうぎょうを狙い撃ねらいうちか

中国ちゅうごくの今回こんかいの対抗たいこう措置そちはトランプ大統領だいとうりょうが来年らいねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでの再選さいせんを目指めざして重視じゅうしするアメリカの農業のうぎょう分野ぶんやを狙い撃ねらいうちしたという見方みかたも出でています。

中国ちゅうごくのアメリカからの輸入ゆにゅうは、去年きょねんの実績じっせきで1500億おくドル余あまりですが、これまでにこのうち７なな割わり余あまりにあたる1100億おくドル分ぶんにはすでに関税かんぜいを上乗うわのせしています。

このため、１いち日にちの関税かんぜい上乗うわのせの対象たいしょうにはすでに一いち度ど、対象たいしょうとなっている品目ひんもくも含ふくまれ、それらは二に重じゅうに上乗うわのせされることになります。

こうした品目ひんもくにはアメリカからの主要しゅような輸入ゆにゅう品ひんである大豆だいずや肉類にくるいなど農産のうさん品ひんが多おおく含ふくまれ、このうち一部いちぶの大豆だいずは上乗うわのせされる税率ぜいりつが合あわせて30％となります。

トランプ大統領だいとうりょうはこれまでの交渉こうしょうで中国ちゅうごくに農産のうさん品ひんの輸入ゆにゅう拡大かくだいを強つよく迫せまってきましたが中国ちゅうごくは逆ぎゃくに課税かぜいを強化きょうかした形かたちで、アメリカ側がわのさらなる反発はんぱつを招まねくことも予想よそうされます。

世界せかい経済けいざいの先行さきゆきに懸念けねん広ひろがる

トランプ大統領だいとうりょうが仕掛しかけるアメリカと中国ちゅうごくの貿易ぼうえき摩擦まさつによって世界せかい経済けいざいの先行さきゆきには懸念けねんが広ひろがっています。

高たかい関税かんぜい措置そちが直撃ちょくげきする中国ちゅうごくは、ことし４月しがつから６月ろくがつまでのＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんの伸のび率りつが去年きょねんの同おなじ時期じきに比くらべて6.2％にとどまり、四半期しはんきごとのデータが公表こうひょうされている1992年ねん以来いらい、最もっとも低ひくくなりました。

また工作こうさく機械きかいなどの輸出ゆしゅつで中国ちゅうごくとの取り引とりひきが多おおいドイツも４月しがつから６月ろくがつまでのＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんの伸のび率りつが３さん四半期しはんきぶりのマイナス成長せいちょうとなったほか、東南アジアとうなんあじあでもタイやシンガポールで輸出ゆしゅつが低迷ていめいするなど、米べい中ちゅう貿易ぼうえき摩擦まさつの影響えいきょうは世界せかいに波及はきゅうしています。

さらに中国ちゅうごくに高たかい関税かんぜいをかけて自国じこくの企業きぎょうに生産せいさん回帰かいきを促うながして雇用こようを増ふやそうとするアメリカでも設備せつび投資とうしや輸出ゆしゅつがマイナスに転てんじていて、景気けいきが後退こうたいするのではないかという懸念けねんも出でています。

ＩＭＦあいえむえふ＝国際こくさい通貨つうか基金ききんは、３さんか月かげつごとに発表はっぴょうしている世界せかい全体ぜんたいの経済けいざい成長せいちょう率りつの見通みとおしを７月しちがつまでに４よん回かい連続れんぞくで下方かほう修正しゅうせいしていて、米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつが予想よそう以上いじょうに世界せかい経済けいざいにダメージを与あたえていると警鐘けいしょうを鳴ならしています。

米べい農家のうかは大おおきな打撃だげきもトランプ政権せいけん支持しじ

アメリカと中国ちゅうごくの貿易ぼうえき摩擦まさつが激はげしさを増ます中なか、アメリカの農家のうかはたび重かさなる追加ついか関税かんぜいの影響えいきょうで出荷しゅっかの大おおきな割合わりあいを占しめていた中国ちゅうごくへの輸出ゆしゅつが減少げんしょうし大おおきな打撃だげきを受うけていますが、トランプ政権せいけんには根強ねづよい支持しじがあります。

アメリカ最大さいだいの農業のうぎょう団体だんたい「米国べいこく農業のうぎょう連合れんごう会かい」によりますと、アメリカから中国ちゅうごくへの農産物のうさんぶつの輸出ゆしゅつは2017年ねんに年間ねんかん195億おくドル、日本にっぽん円えんにしておよそ２に兆ちょう700億おく円えんに上のぼっていました。しかし、米べい中ちゅうの関税かんぜい上乗うわのせの応酬おうしゅうが激はげしくなった去年きょねん、2018年ねんには91億おくドル、およそ9700億おく円えんと半分はんぶん以下いかに減少げんしょうしています。

それでも多おおくの農家のうかが短期たんき的てきに経営けいえいへの影響えいきょうがあっても不ふ公正こうせいな中国ちゅうごくの姿勢しせいを正ただすためには耐たえるべきだなどとして、依然いぜんとしてトランプ政権せいけんを支持しじしています。

アメリカ最大さいだいのトウモロコシの生産せいさん地ち、中西部ちゅうせいぶアイオワ州しゅうでトウモロコシや大豆だいず、豚ぶたなどを生産せいさんする農家のうかのブラッド・モークリーさん（59）も引き続ひきつづきトランプ政権せいけんを支持しじしている１いち人にんです。

485ヘクタール、東京ドームとうきょうど-むおよそ100個こ分ぶんの広大こうだいな土地とちで祖父そふの代だいから農業のうぎょうを続つづけているモークリーさんは貿易ぼうえき摩擦まさつによる影響えいきょうについて「短期たんき的てきな影響えいきょうはとても大おおきい。貿易ぼうえき摩擦まさつの影響えいきょうで農産物のうさんぶつの価格かかくが下落げらくし、収入しゅうにゅうも減へっている」と述のべ、影響えいきょうは深刻しんこくだと言いいます。

一方いっぽうで「よい貿易ぼうえき協定きょうていがまとまってほしい。これは農家のうかにとってとても重要じゅうようなことだ。私わたしたちは今いまの政権せいけんが中国ちゅうごくとの関係かんけいを改善かいぜんしようとしていることを支持しじしている」と述のべ、中国ちゅうごくの不ふ公正こうせいな貿易ぼうえきを正ただすというトランプ政権せいけんが目指めざす方向ほうこうは間違まちがっていないと言いいます。

アメリカの農業のうぎょう専門せんもん誌し「ファーム・ジャーナル」が８月はちがつ、全米ぜんべいの農家のうか1153人にんを対象たいしょうに行いった世論せろん調査ちょうさでは、トランプ大統領だいとうりょうを支持しじするが71％、支持しじしないが26％で支持しじが大おおきく上回うわまわっています。こうした農家のうかによる根強ねづよい支持しじもトランプ大統領だいとうりょうが中国ちゅうごくとの貿易ぼうえき交渉こうしょうで強気つよきな姿勢しせいを貫つらぬく背景はいけいにあると見みられます。

反発はんぱつの企業きぎょうも

ニューヨークにある創業そうぎょう50年ねんのベビー用品ようひんメーカーはトランプ政権せいけんによる新あらたな追加ついか関税かんぜいに反発はんぱつを強つよめています。

この会社かいしゃがアメリカで販売はんばいしている幼児ようじ用ようのいすと机つくえには９月くがつ１いち日にちから15％の関税かんぜいが上乗うわのせされることになりました。

この会社かいしゃは生産せいさんコストを削減さくげんするため中国ちゅうごくの委託いたく先さきの工場こうじょうで完成かんせい品ひんの生産せいさんを行おこなう体制たいせいをとっているため、ほとんどの商品しょうひんを中国ちゅうごくから輸入ゆにゅうしています。

会社かいしゃでは部材ぶざいの調達ちょうたつの見直みなおしなどコストを削減さくげんする工夫くふうをしていますが、上乗うわのせされた関税かんぜい分ぶんのコストを吸収きゅうしゅうするのは限界げんかいがあるとして今月こんげつから商品しょうひんを１いち割わり程度ていど値上ねあげすることを決きめました。

また、主力しゅりょく商品しょうひんのベビーカーについても12月つき15日にちから15％の関税かんぜいが上乗うわのせされる予定よていで、同おなじように１いち割わり程度ていど、値上ねあげせざるをえないとしています。トランプ大統領だいとうりょうは先月せんげつ、ツイッターに「アメリカの企業きぎょうは中国ちゅうごくから撤退てったいしてアメリカで生産せいさんする選択せんたくを探さがすべきだ」と投稿とうこうし、関税かんぜいを負担ふたんしたくなければ生産せいさんをアメリカ国内こくないに戻もどして雇用こようの創出そうしゅつに貢献こうけんするよう呼よびかけています。

ベビー用品ようひんメーカーのジョセフ・シャミー社長しゃちょうは「生産せいさんを移転いてんする場合ばあい、中国ちゅうごくに設もうけた製品せいひんの安全あんぜんテストの施設しせつも移転いてんしなければならず、大おおきな投資とうしが必要ひつようになる。商品しょうひんを値上ねあげする以外いがいに選択肢せんたくしがない。貿易ぼうえき戦争せんそうは中国ちゅうごくだけでなくアメリカにとってもよいことだと思おもえない」と訴うったえています。

アメリカの調査ちょうさ会社かいしゃ「トレード・パートナーシップ」の推計すいけいでは、中国ちゅうごくからのほぼすべての輸入ゆにゅう品ひんに高たかい関税かんぜい（25％）が上乗うわのせされた場合ばあい、アメリカの平均へいきん的てきな家庭かていでは日本にっぽん円えんにして年間ねんかん25万まん円えんの負担ふたん増ぞうになるということです。

アメリカの消費しょうひ者しゃからは「私わたしには子こどもがいるので値上ねあげは望のぞみません。トランプ大統領だいとうりょうは非常ひじょうに悪わるい決断けつだんをしている」とか「給料きゅうりょうが上あがらないのに出費しゅっぴが増ふえるなんて、関税かんぜいには絶対ぜったいに反対はんたいです」などという声こえが聞きかれました。

アップルの業績ぎょうせきへの影響えいきょうも懸念けねん

トランプ政権せいけんによる中国ちゅうごくへの追加ついかの関税かんぜい措置そちによってアメリカを代表だいひょうする大手おおてＩあいＴてぃ-企業きぎょう、アップルの業績ぎょうせきにも影響えいきょうが出でないか懸念けねんが広ひろがっています。

トランプ大統領だいとうりょうはアップルに対にたいして中国ちゅうごくで生産せいさんしている製品せいひんに関税かんぜいをかけられたくなければアメリカに工場こうじょうを移うつすよう強つよく求もとめてきました。

これに対にたいしアップルは、関税かんぜいの引き上ひきあげはアメリカにとっても打撃だげきだとして自社じしゃの製品せいひんを対象たいしょうから外はずすよう求もとめる書簡しょかんを提出ていしゅつするなど、経営けいえいへの打撃だげきを避さけようと働はたらきかけを続つづけてきました。

しかし、今回こんかいの措置そちでは中国ちゅうごくで生産せいさんしている腕うで時計とけい型がたの情報じょうほう端末たんまつ「アップルウォッチ」などが対象たいしょうになりました。

また、主力しゅりょく商品しょうひんであるｉＰｈｏｎｅも中国ちゅうごくで組み立くみたてているすべての機種きしゅがことし12月つきから追加ついか関税かんぜいの対象たいしょうとなります。

こうした状況じょうきょうを受うけ、アメリカ国内こくないのアップルの愛好あいこう家かの間までも追加ついか関税かんぜいの影響えいきょうでアップルの製品せいひんが値上ねあがりするのではないかと懸念けねんする声こえが上あがっています。

このうち、西部せいぶカリフォルニア州しゅうでアップル製品せいひんの販売はんばいを手てがけるビリー・チャンさんはアップルの熱烈ねつれつな愛好あいこう家かやユーザーとともに毎月まいつき、会合かいごうを開ひらいて製品せいひんをアピールしたり情報じょうほう交換こうかんをしたりしています。

先月せんげつの会合かいごうでは追加ついかの関税かんぜい措置そちが話題わだいになり、参加さんか者しゃからは「新しん商品しょうひんが関税かんぜいの影響えいきょうで値上ねあがりすれば買かうのをやめるかもしれない」とか、「政治せいじがビジネスに口くちを挟はさむべきではない」といった意見いけんが出でていました。

チャンさんは「貿易ぼうえき戦争せんそうを続つづけてもどちらの側がわにもいいことはない。世界せかい第だい１いち位いと第だい２に位いの経済けいざい大国たいこくどうしの争あらそいならばなおさらだ」と話はなしていました。

一方いっぽう、アメリカのメディアはアップルが関税かんぜいの引き上ひきあげ分ぶんを価格かかくに反映はんえいさせず、すべて自社じしゃで負担ふたんした場合ばあいには最終さいしゅう的てきな利益りえきが４よん％減少げんしょうするという試算しさんも伝つたえていて、業績ぎょうせきの先行さきゆきも注目ちゅうもくされています。

中国ちゅうごく向むけ輸出ゆしゅつの日本にっぽん企業きぎょうにも影響えいきょう

米べい中ちゅうの対立たいりつが激はげしくなり関税かんぜいの上乗うわのせの応酬おうしゅうが続つづく中なか、中国ちゅうごく市場しじょう向むけに部品ぶひんや工作こうさく機械きかいを販売はんばいする日本にっぽん企業きぎょうの間まには売上うりあげが落ち込おちこむなどの影響えいきょうが広ひろがっています。

中国ちゅうごく南部なんぶ、広東かんとん省しょうの仏山ほとけやまで、ことし７月しちがつに行おこなわれた日系にっけい企業きぎょうと中国ちゅうごく企業きぎょうとの商談しょうだん会かいでは影響えいきょうの拡大かくだいを懸念けねんする声こえが相次あいつぎました。

このうち福井ふくい県けんに本社ほんしゃがある金属きんぞく加工かこうの工作こうさく機械きかいメーカーは上海しゃんはいに販売はんばい拠点きょてんを設もうけ、産業さんぎょう用ようの金きん型がたなどの中国ちゅうごくメーカー向むけに日本にっぽんから製品せいひんを輸出ゆしゅつしています。

しかし、中国ちゅうごく経済けいざいの減速げんそくに加くわえて米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつの影響えいきょうで顧客こきゃくの輸出ゆしゅつ企業きぎょうが工作こうさく機械きかいの購入こうにゅうなど設備せつび投資とうしに慎重しんちょうになっているため受注じゅちゅうが落ち込おちこんでいるということです。

ことし上半期かみはんきの中国ちゅうごく市場しじょうの売り上うりあげは去年きょねんの同おなじ時期じきより６ろく割わり減へっていて、上海しゃんはいの拠点きょてんでは人員じんいんを増ふやす計画けいかくを凍結とうけつしたということです。

松浦まつうら機械きかい製作せいさく所しょの上海しゃんはいの事務所じむしょの隅田すみた悦えつ次じ首席しゅせき代表だいひょうは「米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつはさらに長期ちょうき化かすると考かんがえていて当面とうめんは我慢がまんの時ときと考かんがえている。取引とりひき先さきからは設備せつび投資とうしの計画けいかくを見直みなおさざるをえないという声こえが相次あいついでいて対策たいさくを考かんがえたい」と話はなしていました。

中国ちゅうごくは関税かんぜい以外いがいの対抗たいこう措置そちも

アメリカと中国ちゅうごくが互たがいの輸入ゆにゅう品ひんに追加ついかの関税かんぜいを掛け合かけあう応酬おうしゅうを続つづけた場合ばあい、相手あいてへの輸出ゆしゅつ額がくが多おおい中国ちゅうごくのほうが影響えいきょうが大おおきくなるとみられていて、中国ちゅうごく側がわは関税かんぜいの引き上ひきあげ以外いがいにも対抗たいこう措置そちを検討けんとうしているとみられています。

中国ちゅうごくの政府せいふ系けいシンクタンク「中国ちゅうごく社会しゃかい科学かがく院いん」が去年きょねんまとめた試算しさんでは、米べい中ちゅう両国りょうこくが互たがいのすべての輸入ゆにゅう品ひんに25％の関税かんぜいをかけた場合ばあい、１いち年ねん目めにはアメリカの経済けいざい成長せいちょう率りつが0.13ポイント押し下おしさげられるのに対にたいして、中国ちゅうごくの成長せいちょう率りつは0.59ポイント押し下おしさげられるとしています。

さらに、７なな年ねん後ごには累計るいけいでアメリカの成長せいちょう率りつが0.37ポイントの押し下おしさげにとどまるのに対にたいして、中国ちゅうごくへの影響えいきょうは1.33ポイントの押し下おしさげと、長期ちょうき化かにともなって影響えいきょうの差さはより鮮明せんめいになるとしています。

中国ちゅうごく政府せいふは関税かんぜいの引き上ひきあげの応酬おうしゅうでは中国ちゅうごく側がわの影響えいきょうがより大おおきいことから関税かんぜい以外いがいの手段しゅだんで対抗たいこう措置そちを検討けんとうしているとみられ、ハイテク分野ぶんやで欠かかせない希少きしょうな資源しげん、レアアースの輸出ゆしゅつ規制きせいに踏み切ふみきるのではないかという見方みかたも出でています。

習近平ちから国家こっか主席しゅせきはことし５月ごがつ、レアアースの関連かんれん企業きぎょうを視察しさつし「重要じゅうような戦略せんりゃく資源しげんだ」と述のべ、直後ちょくごには中国ちゅうごく政府せいふの担当たんとう機関きかんは「われわれが輸出ゆしゅつしたレアアースで中国ちゅうごくの発展はってんを妨さまたげようとするなら中国ちゅうごくの人民じんみんは皆みな喜よろこばないだろう」というコメントを出だし、アメリカへの輸出ゆしゅつ規制きせいの可能かのう性せいを示唆しさしています。

中国ちゅうごくは世界一せかいいちのレアアース産出さんしゅつ国こくでアメリカにも大量たいりょうに輸出ゆしゅつしていて、輸出ゆしゅつ規制きせいが実施じっしされればアメリカのハイテク産業さんぎょうへの打撃だげきとなります。

さらに、中国ちゅうごく政府せいふは中国ちゅうごく企業きぎょうの利益りえきを損そこねる外国がいこくの企業きぎょうや組織そしきをリストにまとめ制裁せいさいを科かす措置そちを準備じゅんびしていて、アメリカへの対抗たいこう措置そちの１ひとつではないかという指摘してきが出でています。

アメリカは中国ちゅうごくの通信つうしん機器きき大手おおて、ファーウェイやその関連かんれん企業きぎょうを政府せいふの許可きょかなく取り引とりひきすることを禁きんじる企業きぎょうのリストに入いれて締しめつけを強つよめていますが、中国ちゅうごくが検討けんとうしている新あらたな措置そちもこれと似にた制度せいどになる可能かのう性せいもあります。

中国ちゅうごく企業きぎょうに新しん市場しじょう目指めざす動うごきも

アメリカとの貿易ぼうえき摩擦まさつが長期ちょうき化かする中なか、中国ちゅうごくの地方ちほう都市としにも影響えいきょうが現あらわれています。中国ちゅうごく東部とうぶの浙江せっこう省しょう・義よし烏からすにはアクセサリーや文具ぶんぐ、ドライヤーなどの小型こがた家電かでんまで180万まん種類しゅるいの商品しょうひんを扱あつかう卸売おろしうり市場しじょうがあり、７なな万まん軒けん以上いじょうの業者ぎょうしゃが軒のきを連つらねて世界せかい各国かっこくからバイヤーが集あつまります。

ここで10年ねん以上いじょう、ＬＥＤを使つかった看板かんばんを扱あつかっている蒋楊軍ぐんさんはアメリカとの貿易ぼうえき摩擦まさつで商売しょうばいに大おおきな影響えいきょうが出でていると言いいます。

蒋さんの店みせの売り上うりあげのおよそ４よん割わりはアメリカ向むけでしたが、去年きょねん、トランプ政権せいけんがＬＥＤを使つかった製品せいひんに対にたいして25％の関税かんぜいを上乗うわのせして以降いこう、アメリカからの受注じゅちゅうは半分はんぶんに落ち込おちこみました。

蒋さんは受注じゅちゅうを維持いじするために取り引とりひき先さきが支払しはらう上乗うわのせされた関税かんぜいの半分はんぶんを負担ふたんする対策たいさくをとっていますが業績ぎょうせきは回復かいふくせず、「利益りえきは減へるばかりだ。関税かんぜい措置そちはやめてほしいが国くにどうしのことでわれわれはどうしようもない」と諦あきらめ気味ぎみに話はなしていました。こうした中なか、新興しんこう国こくなどの新あらたな市場しじょうを開拓かいたくしようという動うごきもあります。

この卸売おろしうり市場しじょうでは世界せかい各地かくちのクリスマス商戦しょうせんにむけてこの時期じき、数多かずおおくのバイヤーが訪おとずれますがアメリカからの注文ちゅうもんは減少げんしょうしています。代かわって増ふえているのがアジアや中東ちゅうとう、それにラテンアメリカなど新しん興国こうこく向むけの輸出ゆしゅつです。

ここで14年間ねんかん、経営けいえいを続つづけている何なに旭あさひ群ぐんさんが今いま、力ちからを入いれているのがインドです。

経済けいざい発展はってんに伴ともなってインドでもクリスマス商戦しょうせんは拡大かくだいしているといいます。英語えいごができない何なにさんですが、スマートフォンの翻訳ほんやくソフトを使つかってＳＮＳを通をつうじてインドの顧客こきゃくを増ふやしていて、「インドからの注文ちゅうもんはだんだん増ふえてきている。技術ぎじゅつが発達はったつしたから英語えいごも中国ちゅうごく語ごも翻訳ほんやくできるので全まったく問題もんだいない」と話はなしていました。

地元じもと政府せいふも新あらたな市場しじょう開拓かいたくを後押あとおししていて「一帯いったい一路いちろ」構想こうそうの一環いっかんとしてアジアやヨーロッパの国々くにぐにとを結むすぶ貨物かもつ列車れっしゃやトラックのターミナルの整備せいびを進すすめるほか、海外かいがいの展示てんじ会かいに参加さんかする企業きぎょうに費用ひようを補助ほじょするなど支援しえん策さくを打ち出うちだしています。

米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつ 投資とうしにも影響えいきょう

米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつは、両国りょうこくの貿易ぼうえき取り引とりひきだけでなく投資とうしの分野ぶんやにも影響えいきょうを広ひろげています。

アメリカの調査ちょうさ会社かいしゃによりますと、去年きょねんの中国ちゅうごくからアメリカへの投資とうし額がくは48億おくドル、日本にっぽん円えんで5000億おく円えん余あまりと前まえの年としと比くらべて80％余あまり減少げんしょうしました。

中国ちゅうごくが海外かいがい投資とうしに一定いっていの規制きせいをかけたことに加くわえ、トランプ政権せいけんがハイテク関連かんれん産業さんぎょうを中心ちゅうしんに中国ちゅうごくからの投資とうしを警戒けいかいし規制きせいを強つよめていることが影響えいきょうしているとみられます。

トランプ政権せいけんは去年きょねん10月つきには技術ぎじゅつの流出りゅうしゅつを防ふせぐという名目めいもくで航空こうくうや半導体はんどうたいなど27の分野ぶんやで監視かんし機能きのうを強化きょうかすると発表はっぴょうし、中国ちゅうごくのアメリカへの投資とうしはことしはさらに落ち込おちこむ可能かのう性せいもあると指摘してきされています。

北京ぺきんに住すむ投資とうし家か、劉りゅう揚よう声ごえさん（69）もアメリカの対たい中ちゅう政策せいさくの変化へんかを見みて投資とうし戦略せんりゃくを見直みなおした一いち人にんです。劉りゅうさんは1970年代ねんだいからおよそ20年ねんにわたってアメリカで金融きんゆう関連かんれんなどの仕事しごとをしたあと1990年ねんに北京ぺきんに移うつり、投資とうし家かとして活動かつどうしてきました。

アメリカのハイテク分野ぶんやや環境かんきょう関連かんれんの企業きぎょうに1000万まんドル、日本にっぽん円えんで10億おく円えん以上いじょうを投とうじて経営けいえいに参画さんかくしてきました。劉りゅうさんはそのねらいについて「アメリカは技術ぎじゅつが非常ひじょうに先進せんしん的てきで、中国ちゅうごくは市場しじょうが大おおきいので進すすんだ技術ぎじゅつを中国ちゅうごくで製品せいひん化かしたいと思おもった」と話はなしています。

しかし、トランプ政権せいけんが関税かんぜいの引き上ひきあげや投資とうしの規制きせい、それにハイテク分野ぶんやでの中国ちゅうごく企業きぎょうへの締しめつけを強化きょうかする中なか、劉りゅうさんは投資とうし家かの仲間なかまとも意見いけんを交かわし、アメリカへの投資とうしを当面とうめん、見合みあわせることを決断けつだんしました。

劉りゅうさんは中国ちゅうごく国内こくないでの投資とうしに資金しきんを集中しゅうちゅうしていく考かんがえで、「アメリカが中国ちゅうごくからの投資とうしを望のぞんでいない以上いじょう、いくら投資とうししても成果せいかは得えられない。アメリカがこの数すう年ねん、みずから失うしなった信頼しんらいは回復かいふくし難がたいものだし、投資とうしやビジネスという観点かんてんからしても全まったく先さきが見通みとおせなくなった」と話はなしていました。