はじめに、家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さん(81)が「拉致被害者は、体力も衰え、帰国できる日をいつかいつかと待っています。私たちの願いはあくまでも被害者の奪還、全員を帰国させることで、政府には、被害者の帰国に着実に結び付くためにどうしたらいいのか常に考えながら行動してもらいたい」と求めました。
横田めぐみさんの母親の早紀江さん(83)は「こんなに長い間、会えない状態でしたが、一目会って1回でいいから、『頑張ってきたね』と言ってめぐみちゃんを抱き締めてあげたいです。それまで頑張らなければと思っています」と訴えました。また、めぐみさんの弟の拓也さん(51)は、「米朝首脳会談で拉致問題が提起され、キム委員長がこの問題を知らないと言うことは通じない状況になりました。明るい未来を描くために勇気ある判断をしなければならない」と話し、キム委員長に被害者を帰国させる決断を求めました。
拉致問題は、依然としてこう着状態が続いていて、家族の高齢化が深刻さを増す中、一刻も早い被害者の帰国を望む声が強まっています。集会では最後に、北朝鮮に一刻も早い被害者の帰国を決断させるとともに、政府に対しすべての被害者の早期帰国の実現を求める大会決議を採択しました。
有本恵子さん両親「とにかく娘を取り返して」
集会を前に、神戸市出身の拉致被害者、有本恵子さんの両親がNHKの取材に対し、一刻も早い娘の帰国を訴えました。
今月13日、有本恵子さんの両親、明弘さん(91)と嘉代子さん(93)が、神戸市長田区の自宅で取材に応じました。
母親の嘉代子さんは、ことし7月、転んでけがをし、持病もあり、治療のために入院していましたが、体調も安定し、リハビリを始めるためこの日、ちょうど帰宅しました。
父親の明弘さんは、元気づけようと、最近、嘉代子さんが20代のころの写真の、破れたり折れて痛んだりした部分をきれいに修復して、額に入れて見せたということです。
明弘さんは「いままで見たことのない、妻の顔を見ることができた。国と国が安心してつきあえるように持って行くのが政治の仕事だ」と訴えました。
また、母親の嘉代子さんは「この問題だけは今の時代に片付けていただきたい。とにかく恵子を取り返してほしい」と述べ、娘との再会への強い思いを語りました。