“宿題しゅくだいは原則げんそくなし”一体いったいなぜ？取り組とりくみを始はじめた学校がっこうのねらいは

夏休なつやすみについては、低てい学年がくねんの植物しょくぶつの観察かんさつを除のぞいて「なし」とされ、昨年度さくねんどまでは提出ていしゅつさせていた絵日記えにっきや読書どくしょ感想かんそう文ぶんなどもなくしました。

女子じょし児童じどうは「宿題しゅくだいがなくなって、自分じぶんの好すきなことに時間じかんを使つかえるようになったのでいいと思おもいます。私わたしは将来しょうらい海外かいがいで働はたらくことが夢ゆめなので語学ごがく勉強べんきょうなどに励はげみたいです」と話はなしていました。

男子だんし児童じどうは「塾じゅくに通かよっているので宿題しゅくだいがあると午後ごご10時じ以降いこうに取り組とりくまなければならず、睡眠すいみん時間じかんを奪うばわれていました。宿題しゅくだいがなくなって最初さいしょは大丈夫だいじょうぶかなと心配しんぱいでしたがだんだん慣なれてきました」と話はなしていました。

また別べつの男子だんし児童じどうは「宿題しゅくだいがない分ぶんほぼ自由じゆうなので、スマートフォンのゲームやSNSに使つかう時間じかんがこれまでの倍ばいになり、1日にち3時間じかんぐらい費ついやしてしまっています。ゲームの時間じかんが自然しぜんに増ふえてしまうので、気きをつけていきたい」と話はなしていました。

文部もんぶ科学かがく省しょうによりますと、宿題しゅくだいや通知つうち表ひょうは法律ほうりつや学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう上じょう、定さだめがなく実施じっしするかどうかも含ふくめて各かく学校がっこうの判断はんだんに任まかされていて、こうした学校がっこうがどれくらいあるかは把握はあくしていないということです。

西にし新宿しんじゅく小学校しょうがっこうの長井ながい校長こうちょうは「これまで当たり前あたりまえにやってきたことを、見直みなおす必要ひつようがあると思おもう。学校がっこうでは一律いちりつの宿題しゅくだいを出だすことが多おおかったと思おもうがそこに合あわない子こも増ふえてきているので、これからの時代じだいは、より一層いっそう、子こどもたちが自分じぶんで課題かだいを見みつけて取り組とりくむことが必要ひつようになるのではないか」と話はなしていました。

西にし新宿しんじゅく小学校しょうがっこうでは昨年度さくねんど、月つき45時間じかんを超こえて残業ざんぎょうした教員きょういんが6月つきまでにのべ8人にんいましたが、宿題しゅくだいをなくした今年度こんねんどは、2人にんにまで減少げんしょうしています。

特とくに、管理かんり職しょくを除のぞくと4割わりを占しめる20代だいの若手わかて教員きょういんにとっては、長時間ちょうじかん勤務きんむが多おおくなる傾向けいこうにあったため、取り組とりくみの効果こうかは大おおきいと言いいます。

会議かいぎの削減さくげんなど働はたらき方かた改革かいかくの効果こうかもあって、月つき当あたりの残業ざんぎょう時間じかんは昨年度さくねんどと比くらべて1か月かげつ当あたり20時間じかん程度ていど、削減さくげんできたといいます。

皆川みなかわ教諭きょうゆは「これまで以上いじょうに子こどもとのコミュニケーションがとれたり休やすみ時間じかん一緒いっしょに遊あそべたりするのはとてもうれしいです。時間じかん的てきな余裕よゆうが、心こころの余裕よゆうにもつながっていると感かんじています」と話はなしていました。

別べつの保護ほご者しゃは「子こどもたちの自立じりつする力ちからを養やしなう取り組とりくみで賛成さんせいしていますが、全まったく勉強べんきょうしない子こと塾じゅくに通かよっている子こで、学力がくりょくの差さが出でてきていると思おもいます。今いままで学校がっこうに任まかせていた分ぶんも保護ほご者しゃが担になうようになり、親おやとしてのプレッシャーは増ふえてきたと感かんじます」と話はなしていました。

また別べつの保護ほご者しゃは「宿題しゅくだいがなくなってからゲームをしたり自分じぶんが好すきなことをやってしまっている様子ようすがみられるので、やっぱり宿題しゅくだいがあったほうが何なにかしらメリハリがつくのかなとは思おもいます。ただ、学校がっこうの先生せんせい方かたも大変たいへんそうなのでこうした取り組とりくみが、子こどもたちにも先生せんせいにもよい方向ほうこうに進すすめばいいなと感かんじています」と話はなしていました。

前例ぜんれいにとらわれない取り組とりくみを評価ひょうかする一方いっぽうで、注意ちゅういすべき点てんもあると言いいます。

Q.宿題しゅくだいをなくす取り組とりくみについてどう考かんがえるか。

A.さまざまな個性こせいがある子こどもがいる中なかで、これまでの宿題しゅくだいのあり方ありかたを見みつめ直なおし、自主じしゅ的てきに課題かだいを見みつけたり取り組とりくんだりする学まなびに転換てんかんしていくことはよいことだと思おもう。

教育きょういくの現場げんばは前例ぜんれい踏襲とうしゅうになりやすいので、教員きょういんの時間じかんの使い方つかいかたや子こどもたちのよい学まなびのために学校がっこうのあり方ありかたをアップデートしていかないといけない。

そうしないと、教員きょういんを目指めざす若わかい人ひとたちにとって魅力みりょく的てきに映うつらないのではないか。

Q.子こどもへの影響えいきょうなど、注意ちゅういすべき点てんは？

A.宿題しゅくだいをなくすと家庭かていの状況じょうきょうによって子こどもの学まなびや質しつに差さがでる可能かのう性せいがある。

低てい学年がくねんなど発達はったつ段階だんかいによっては宿題しゅくだいをすべてなくすことには慎重しんちょうであるべきだ。

1人にん1台だい端末たんまつの整備せいびなどで学まなびの方法ほうほうが多様たよう化かしたとはいえ、自分じぶんでは動機どうきづけや継続けいぞくができない子こもいる。

教員きょういんが相談そうだんに乗のったり教材きょうざいを紹介しょうかいしたりするなど子こどもの個性こせいや特性とくせいに応おうじた支援しえんの方法ほうほうを考かんがえていくことが必要ひつようだ。