東京電力福島第一原子力発電所の
事故で
神奈川県に
避難する
などした175
人が
生活の
基盤を
失い
精神的な
苦痛を
受けたと
訴えた
裁判で、
横浜地方裁判所は20
日、
国と
東京電力に対して
賠償を
命じる判決を
言い渡しました。
福島第一原発の
事故で
福島県の
避難区域から
神奈川県に
避難する
などした60
世帯175
人は、
生活の
基盤を
失い
精神的な
苦痛を
受けたとして、
国と
東京電力に
慰謝料などとして
総額およそ54
億円の
支払いを
求める訴えを
起こしていました。
裁判では、国と東京電力が大規模な津波を事前に予測して被害を防ぐことができたかどうかや東京電力が避難した人たちに支払っている慰謝料の額が妥当かどうかが争われました。
判決で、横浜地方裁判所の中平健裁判長は国と東京電力の責任を認め、賠償を命じる判決を言い渡しました。
福島の原発事故で避難した人などが国と東京電力を訴えた集団訴訟の判決は6件目で、一審ではおととしの千葉地裁の判決を除き、いずれも国の責任が認められています。
原告団長「国は全面救済を」
判決の言い渡しのあと、裁判所の外では弁護士らが「勝訴」などと書いた布を支援者に向けて掲げました。集まった人たちからは喜びの声が上がったり拍手が起きたりしていました。
福島県南相馬市から避難して裁判の原告団長を務めた村田弘さんが判決のあと取材に応じ、「われわれの主張が基本的に認められ、国の責任については明確に認定された」と判決を評価しました。そのうえで「東日本大震災以降の8年間は長くつらい期間でしたが、黙っていれば、なかったことにされてしまうという避難者の気持ちが一つになったと思います。原発事故は国と東京電力の手落ちによる人災だと思うので、国は避難者の全面救済に立ち上がるべきだと改めて要求したい」と涙ながらに訴えました。
東京電力「今後 内容を精査」
東京電力は「当社の原子力発電所事故により福島県民の皆様をはじめ広く社会の皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からおわび申し上げます。横浜地裁で言い渡された判決については、今後、内容を精査し対応を検討して参ります」とコメントしています。
原子力規制庁「主張 理解得られなかった」
原子力規制庁は「原告の損害賠償請求の一部が認められ、国の主張については裁判所の十分な理解が得られなかったと考えている」とコメントしています。