多おおくのゲノム編集へんしゅう食品しょくひん 届け出とどけでだけで販売はんばい可能かのうに 最終さいしゅう報告ほうこく書しょ

18日にち、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会議かいぎが開ひらかれ、ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんを流通りゅうつうさせるためのルールについて議論ぎろんが行おこなわれました。

この中なかで、今いま、開発かいはつが進すすむほとんどの農水のうすい産物さんぶつで行おこなわれている、新あらたな遺伝子いでんしは組み込くみこまずに遺伝子いでんしの変異へんいを起おこさせる方法ほうほうを使つかった食品しょくひんは、毒性どくせいや発はつがん性せいなどを調しらべる安全あんぜん性せいの審査しんさは必要ひつようなく、事前じぜんに届け出とどけでを求もとめて公表こうひょうする、とした最終さいしゅうの報告ほうこく書しょをまとめました。

一方いっぽう、新あらたに組み込くみこんだ遺伝子いでんしが残のこっている場合ばあいには安全あんぜん性せいの審査しんさをするとしています。

今後こんごは消費しょうひ者しゃ庁ちょうで食品しょくひんの表示ひょうじについて検討けんとうが始はじまることになりますが、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは早はやければ夏なつにもこのルールの運用うんようを始はじめ、ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんの販売はんばいができるようになる見通みとおしです。

専門せんもん家か会議かいぎの部会ぶかい長ちょうで新潟にいがた大学だいがくの曽根そね博仁ひろひと教授きょうじゅは「ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんの安全あんぜん性せいは、方法ほうほうによってはこれまでの品種ひんしゅ改良かいりょうの技術ぎじゅつで作つくられたものと変かわらないと考かんがえられる。食べ物たべものについて消費しょうひ者しゃが心配しんぱいするのは当然とうぜんで、国くにや研究けんきゅう者しゃは引き続ひきつづき丁寧ていねいな説明せつめいが必要ひつようだ」と話はなしていました。

安全あんぜん性せいの審査しんさ必要ひつようないとする理由りゆう

国くには法律ほうりつによって、従来じゅうらいの「遺伝子いでんし組み換くみかえ技術ぎじゅつ」が使つかわれた食品しょくひんについては安全あんぜん性せいの審査しんさを行おこなってきました。

そのため、遺伝子いでんし組み換くみかえトウモロコシや遺伝子いでんし組み換くみかえダイズなどを食品しょくひんにする際さいには、事業じぎょう者しゃは組み込くみこまれる遺伝いでん子こによって、毒性どくせいや発はつがん性せい、それにアレルギーを起おこす危険きけん性せいが高たかまっていないかデータを取とり、国くにが審査しんさして安全あんぜんだと判断はんだんされた場合ばあいに販売はんばいできるようになっています。

一方いっぽう、ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんについて国くにの専門せんもん家か会議かいぎは、新あらたな遺伝子いでんしを組み込くみこんだものは遺伝子いでんし組み換くみかえと同おなじように安全あんぜん性せいの審査しんさを行おこなう必要ひつようがあるとし、新あらたな遺伝子いでんしは入はいっておらず遺伝いでん子この変異へんいを起おこさせる方法ほうほうを使つかったものについては、安全あんぜん性せいの審査しんさは必要ひつようとせず事前じぜんに届け出とどけでを求もとめて公表こうひょうする仕組しくみを作つくることが妥当だとうであるとしています。

届け出とどけででは国くには開発かいはつ者しゃなどに対にたいして、どのようなゲノム編集へんしゅうをしたのかや、毒性どくせいが強つよまっていないか確認かくにんした内容ないようなどを求もとめ、概要がいようを公表こうひょうするとしています。

現在げんざい、開発かいはつが進すすむほとんどの農水のうすい産物さんぶつは遺伝子いでんしの変異へんいを起おこさせる方法ほうほうで行おこなわれているので、こうしたものは届け出とどけでだけで販売はんばいできるようになる見通みとおしです。

安全あんぜん性せいの審査しんさを必要ひつようとしない理由りゆうとして、遺伝子いでんしの変異へんいは自然しぜん界かいでも起おきていて、従来じゅうらいの品種ひんしゅ改良かいりょうの技術ぎじゅつで作つくられたものと技術ぎじゅつ的てきに区別くべつすることができないことなどが挙あげられています。

海外かいがいではアメリカ政府せいふが原則げんそくとして特別とくべつな規制きせいをしない方針ほうしんを示しめし、ＥＵい-ゆ-では司法しほう裁判所さいばんしょが遺伝子いでんし組み換くみかえ技術ぎじゅつと同おなじ規制きせいを適用てきようすべきとしていて、具体ぐたい的てきな制度せいどが検討けんとうされています。

イネ、トマト、ジャガイモなどで

ゲノム編集へんしゅうという最新さいしんの遺伝子いでんし操作そうさ技術ぎじゅつの普及ふきゅうとともに、ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんを作つくる研究けんきゅう開発かいはつは世界せかい各国かっこくで行おこなわれています。

ゲノム編集へんしゅう食品しょくひんは国内こくないでは、収穫しゅうかく量りょうが多おおいイネや、特定とくていの成分せいぶんが多おおく含ふくまれるトマト、体からだが大おおきいタイ、食中毒しょくちゅうどくを起おこさないジャガイモなどがあるほか、アメリカでは健康けんこうにいいとされる成分せいぶんを多おおく含ふくむダイズを作つくり、食用しょくよう油ゆとして販売はんばいする計画けいかくも進すすんでいるとされています。

日本にっぽんではいずれも一般いっぱんには流通りゅうつうしていないとされています。

消費しょうひ者しゃ団体だんたい「未知みちのリスク 出でてくるおそれ」

全国ぜんこく消費しょうひ者しゃ団体だんたい連絡れんらく会かいの浦郷うらごう由季ゆき事務じむ局長きょくちょうは「ゲノム編集へんしゅうは新あたらしい技術ぎじゅつが次々つぎつぎと開発かいはつされていて、アレルギーの原因げんいん物質ぶっしつができてしまうなど、分わかっていないリスクがでてくるおそれがある。消費しょうひ者しゃが知しらないうちにゲノム編集へんしゅう食品しょくひんを食たべてしまう事態じたいを防ふせぐため、企業きぎょうなどの良心りょうしんに任まかせる届け出とどけででは不十分ふじゅうぶんで、確実かくじつにゲノム編集へんしゅう食品しょくひんを把握はあくするために義務ぎむ化かを進すすめるべきだ」と話はなしていました。

首相しゅしょう「科学かがく的てき知見ちけんに基もとづき適切てきせつに対応たいおう」

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは参議院さんぎいん予算よさん委員いいん会かいで「国民こくみんの健康けんこうを守まもるために、安全あんぜん性せいが確保かくほされた食品しょくひんでなければ流通りゅうつうは許ゆるされないとすることが食品しょくひん行政ぎょうせい上じょうの大だい原則げんそくだ。ゲノム編集へんしゅう技術ぎじゅつを利用りようした食品しょくひんの取り扱とりあつかいについてはこれまでも各般かくはんの取り組とりくみや検討けんとうを行おこなってきているが、今後こんごとも最新さいしんの科学かがく的てき知見ちけんに基もとづき適切てきせつに対応たいおうすることにより、国民こくみんの食しょくの安全あんぜんに万全ばんぜんを期きしていきたい」と述のべました。