この日、学校では校内の畑で収穫したジャガイモを使って調理実習が行われていました。
平成30年までの10年で「有毒植物による食中毒」の中で患者数が最も多いのがジャガイモで合わせて346人に上っています。(厚生労働省)
農林水産省では今の時期、学校で育てたり家庭菜園で栽培したりしたジャガイモが収穫の時期を迎え、食中毒が特に増える傾向があるため、対策をまとめたホームページを作り注意を呼びかけています。
この中ではジャガイモの芽とその根元、光が当たって緑色になった皮の部分それに十分に育っていない小さなイモにはソラニンやチャコニンと呼ばれる天然の毒素が多く含まれているため取り除いたりして食べないよう呼びかけています。
また天然の毒素の濃度が高くなるとイモは苦くなるため苦みやえぐみのあるものは食べないようにしてほしいということです。
また動画ではジャガイモは身を守るために天然の毒素があると説明し、肥料が足りなかったり種イモを植え付ける時に間隔をしっかりとらなかったりすると、大きく育たず毒素が多くなることがあるなどと注意を呼びかけています。
農林水産省食品安全政策課は「ジャガイモの栽培は比較的簡単だが、取り扱いを間違うと食中毒の危険がある。十分に注意してほしい」と話しています。
農家はこう注意する
ジャガイモを栽培する農家では雨が多いことしは、畑の土が流れてイモに日光が直接当たり、皮が緑色のものが増えているとして注意を呼びかけています。
東京 練馬区で江戸時代から続く農家の8代目の吉田智博さんです。
20種類ほどの野菜を作っていてジャガイモは年間およそ500キロ作り農協の直売所などで販売しています。
ジャガイモの食中毒を防ぐために、光があたって皮が緑色にならないよう特に注意していて、保存する際には布をかけて光が当たるのを防いでいます。
また出荷したあともほぼ毎日直売所を周り、蛍光灯などにあたって皮が緑色になっているイモがないか見て回っているということです。
吉田さんは「このところ降り続いた雨の影響で畑の土が流れて、ジャガイモが地表に出てしまい例年より皮が緑色に変わったジャガイモが増えている」と話していて、出荷する際には皮が緑色に変わったものや十分に育たなかったものを一つ一つ取り除いて袋詰めしています。
吉田さんは「農家では何回も選別して食中毒になる可能性があるものを取り除いています。趣味で栽培している人たちも、どのような状態のイモが危険なのか知識を持ち、安全なジャガイモをおいしく食べてほしい」と話していました。