鈴木 “集大成”と位置づけた舞台で全5種目でメダル
生まれた時から両足と右手がなく左手の指にも障害がある鈴木選手は、高校3年生でアテネ大会に初出場してから東京大会まで5大会連続でパラリンピックの舞台で戦い続けてきました。
これまでの4大会で金メダルを含む5つのメダルを獲得し、若手から「タカさん」と慕われる34歳は今大会、日本競泳陣のキャプテンを任されました。
ふだんはクールで、感情を表に出すことが少なく、「大きい声を出して鼓舞するのは得意ではない」という鈴木選手は大会前、自身の役回りについて独特の言い回しで表現していました。
「僕のイメージは“羊飼い”。目指す場所はみんな一緒だと思うけど、途中で道に迷っている選手がいたら、ナビゲートできるようなキャプテンになれたらいい」
迎えたパラリンピック本番、鈴木選手はみずからがチームの目指すべき場所を示し続けました。
競技初日となった先月25日には「1番メダルが難しいと思っていた」という男子50メートル平泳ぎで銅メダルを獲得すると、翌日には男子100メートル自由形で今大会の全競技で日本選手の第1号となる金メダルに輝きました。
その後も150メートル個人メドレーで銅メダル、200メートル自由形で銀メダルと表彰台に上がり続けました。
27人のうち19人が初出場とフレッシュな顔ぶれとなった日本競泳チームはキャプテンの活躍に引っ張られるように1日までに合わせて9個のメダルを獲得し前回大会の7つを上回る躍進を見せています。
そして2日、鈴木選手は男子50メートル自由形でも銀メダルを獲得。1大会では自身最多となる5つのメダルを獲得し、背中でチームを鼓舞し続けたベテランはみずから“集大成”と位置づけた戦いを終えました。