“マスク着用ちゃくようと熱中ねっちゅう症しょう対策たいさくの両立りょうりつ” 各地かくちで開発かいはつや工夫くふう進すすむ

各地かくちでは、新あたらしいマスクを開発かいはつしたり、つけ方かたを工夫くふうしたり、さまざまな模索もさくが始はじまっています。

広島ひろしま 布製ぬのせいマスクを生産せいさん

広島ひろしま県けん福山ふくやま市しの衣料いりょう品ひんメーカーでは、通気つうき性せいのよい素材そざいを使つかった夏なつ向むけの布製ぬのせいマスクの生産せいさんを行おこなっています。

福山ふくやま市しの衣料いりょう品ひんメーカーでは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで女性じょせい向むけの衣料いりょう品ひんの受注じゅちゅうが減少げんしょうしていますが、空あいている生産せいさんラインを活用かつようして夏なつ向むけの布製ぬのせいマスクの生産せいさんに乗り出のりだしています。

気温きおんが高たかい日ひにマスクを着用ちゃくようすると、息苦いきぐるしさを感かんじやすいことが課題かだいとなっていることから、材料ざいりょうに夏物なつものの衣類いるいに使つかわれる通気つうき性せいのよい特殊とくしゅな生地きじを使つかっています。

メーカーによりますとこのマスクは、さらっとしていてひんやりと感かんじやすく、汗あせなどの水みずけがすぐに乾かわき、速はや乾性かんせいにすぐれているということです。

毎週まいしゅうおよそ2万まん枚まいを生産せいさんしていてインターネットを通をつうじて販売はんばいしています。

この会社かいしゃでは、マスクに涼すずしさを感かんじやすい工夫くふうを施ほどこしているものの、気温きおんが高たかい日ひは水分すいぶんを取とるなど熱中ねっちゅう症しょう対策たいさくはしっかり行おこなうよう呼よびかけています。

「アパレルアイ」の福永ふくなが浩士ひろし常務じょうむは、「婦人ふじん服ふくのプリーツなどの技術ぎじゅつを応用おうようし、通気つうき性せいのよさなどを実現じつげんすることができた。今後こんごも生地きじやデザインを改良かいりょうしできるだけ快適かいてきに過すごせるマスクをつくっていきたい」と話はなしています。

アイリスオーヤマ 温度おんど抑おさえたマスク開発かいはつ

大手おおて生活せいかつ用品ようひんメーカーのアイリスオーヤマは、通気つうき性せいを高たかめることで着用ちゃくよう時じの顔かおの温度おんどの上昇じょうしょうを抑おさえることができるマスクの開発かいはつを進すすめています。

仙台せんだい市しに本社ほんしゃがあるアイリスオーヤマは、宮城みやぎ県けん角田つのだ市しでこれまで倉庫そうことして利用りようしていたスペースに新あらたに設備せつびを導入どうにゅうして今月こんげつ中ちゅうにマスクの国内こくない生産せいさんを始はじめ、来月らいげつには1か月かげつあたり1億おく5000万まん枚まいを生産せいさんすることにしています。

そのための商品しょうひん開発かいはつを現在げんざい進すすめていて、飛ひまつなどをカットする機能きのうは維持いじしたまま、通気つうき性せいを高たかめることで着用ちゃくよう時じの顔かおの温度おんどの上昇じょうしょうを抑おさえられるマスクを開発かいはつしようとしています。

この会社かいしゃは中国ちゅうごくの自社じしゃ工場こうじょうでこれまでもマスクを作つくっていますが、従来じゅうらいのマスクに比くらべて、フィルター部分ぶぶんに特殊とくしゅな細ほそい繊維せんいを使つかうことで、通気つうき性せいを高たかめることに成功せいこうしたといいます。

試作しさく品ひんを第三者だいさんしゃの調査ちょうさ機関きかんが分析ぶんせきしたところ、飛ひまつをカットする機能きのうを落おとすことなく、通気つうき性せいを1.4倍ばいに高たかめられたということです。

さらにサーモグラフィーを使つかった自社じしゃの調査ちょうさでは、マスクを着つけたときの

顔かおの温度おんどの上昇じょうしょうを従来じゅうらいのマスクの半分はんぶんに抑おさえることができたということです。

アイリスオーヤマヘルスケア事業じぎょう部ぶの岸きし美加子みかこ部長ぶちょうは、「これまで低てい価格かかくを重視じゅうしした商品しょうひん開発かいはつを続つづけてきたが、今後こんご供給きょうきゅうが安定あんていする中なかで高こう品質ひんしつのものを求もとめる人ひとが増ふえてくるとみている。国産こくさんだからこそできる商品しょうひんづくりを進すすめたい」と話はなしていました。

異い業種ぎょうしゅで夏なつ用ようマスク開発かいはつ広ひろがる

アパレル会社かいしゃなどが独自どくじの素材そざいや縫製ほうせい技術ぎじゅつを生いかして夏なつ用ようのマスクを開発かいはつする動うごきも広ひろがっています。

スポーツ用品ようひんメーカーのヨネックスは、独自どくじの涼感りょうかん素材そざいを使用しようしたマスクを

開発かいはつしました。

この素材そざいには植物しょくぶつ由来ゆらいの成分せいぶんが配合はいごうされ、汗あせに反応はんのうして熱ねつを吸収きゅうしゅうする機能きのうがあり、テニスなどのスポーツウエアにも使つかわれています。

ただ、炎天下えんてんかで長時間ちょうじかんつけたり、激はげしい運動うんどうをしたりした時ときは熱中ねっちゅう症しょうの危険きけんがあるため、マスクの着用ちゃくようは控ひかえてほしいとしています。

ヨネックスウェア開発かいはつ部ぶ岡おか奈々実ななみさんは「今いままでスポーツウエアに使用しようしていた涼感りょうかん素材そざいの技術ぎじゅつをマスクを通をつうじて利用りよう者しゃに体感たいかんしてもらいたい」と話はなしていました。

また、紳士しんし服ふく大手おおてのＡＯＫＩは通気つうき性せいが高たかく蒸むれにくいジャージ生地きじを使つかった夏なつ用ようのマスクを開発かいはつしました。

スーツづくりで培つちかった立体りったい縫製ほうせいの技術ぎじゅつを生いかしてマスクのフィット感かんを高たかめているほか、通年つうねん用ようのマスクよりも生地きじの層そうを1枚まい減へらし、より通気つうき性せいを

高たかめたということです。

日ひざしから肌はだを守まもるＵＶカット加工かこうも施ほどこしているとしています。

夏なつ用ようのマスクをめぐっては、「ユニクロ」を展開てんかいするファーストリテイリングも、通気つうき性せいのよさをうたった「エアリズム」の素材そざいを使つかったマスクを開発かいはつするなど、異い業種ぎょうしゅによる参入さんにゅうが相次あいついでいます。

マスク在庫ざいこ増ぞう 価格かかくも下落げらく傾向けいこう

品薄しなうすが続つづいたマスクは、最近さいきんは在庫ざいこが増ふえていて、価格かかくも値下ねさがり傾向けいこうにあります。

国内こくないのメーカーが24時間じかん体制たいせいで生産せいさんを続つづけているほか、政府せいふの補助ほじょ金きんを活用かつようするなどして生産せいさん能力のうりょくが上積うわづみされたこと、それに中国ちゅうごくなどからの輸入ゆにゅうが増ふえたことが主おもな理由りゆうです。

政府せいふは、先月せんげつのマスクの供給きょうきゅう量りょうが3月つきより2億おく枚まい増ふえて、8億おく枚まいを上回うわまわったとしています。

また、マスクなどの価格かかくを比較ひかくするサイト「在庫ざいこ速報そくほう．ｃｏｍ」の集計しゅうけいによりますと、もっとも高たかかった4月つき13日にちはマスク1枚まいあたりの平均へいきん価格かかくが80円えんでしたが9日にちの時点じてんでは、20円えんに値下ねさがりしています。

1枚まいあたり10円えん前後ぜんごで販売はんばいされることの多おおかった新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい前まえと比くらべると、なお高たかい水準すいじゅんですが、一時いちじに比くらべると値下ねさがりしています。

ただ、政府せいふはいつでもマスクが入手にゅうしゅできる状況じょうきょうには戻もどっていないとして、品薄しなうすが完全かんぜんに解消かいしょうされたわけではないという認識にんしきを示しめしています。

一方いっぽう、異い業種ぎょうしゅの企業きぎょうを中心ちゅうしんに開発かいはつが相次あいついでいる夏なつ用ようのマスクについて業界ぎょうかい団体だんたいの全国ぜんこくマスク工業こうぎょう会かいは、「これまで夏なつはいちばん需要じゅようがなく、女性じょせいの美容びよう目的もくてきなどごく一部いちぶに限かぎられていたが、ことしは夏なつでもマスクが手放てばなせない初はじめての状況じょうきょうとなっている。今後こんごも季節きせつや利用りよう状況じょうきょうに応おうじた機能きのうをうたう商品しょうひんの開発かいはつが活発かっぱつになるのではないか」と話はなしています。

郵便ゆうびん 屋外おくがいではマスク外はずして配達はいたつ

日本にっぽん郵便ゆうびんは、熱中ねっちゅう症しょうの予防よぼうのため、屋外おくがいではマスクを外はずして配達はいたつする取り組とりくみを始はじめています。

日本にっぽん郵便ゆうびんは、今月こんげつに入はいってマスクの着用ちゃくようは配達はいたつなどで屋内おくないに入はいる時ときや、利用りよう者しゃと対面たいめんで対応たいおうする時ときに限かぎっていて、バイクや車くるまでの移動いどう中ちゅう、さらに屋外おくがいにある郵便受ゆうびんうけに配達はいたつする際さいは人ひととの距離きょりを取とったうえでマスクを外はずすようにしています。

10日にち、東京とうきょう・文京ぶんきょう区くの郵便ゆうびん局きょくでは、配達はいたつ員いんが郵便ゆうびん物ぶつを局内きょくないで仕分しわけたり、バイクに積み込つみこんだりする時ときはマスクを着用ちゃくようしていましたが、出発しゅっぱつする際さいには外はずして配達はいたつに向むかいました。

そして、集合しゅうごう住宅じゅうたくの屋内おくないの郵便受ゆうびんうけでは、再ふたたびマスクを着用ちゃくようしていました。

この取り組とりくみはことし10月つきまでの予定よていで、熱中ねっちゅう症しょう予防よぼうのためにマスクを外はずしているという内容ないようのステッカーをバイクにはって利用りよう者しゃに理解りかいを求もとめています。

本郷ほんごう郵便ゆうびん局きょくの伊藤いとう遼りょう太郎たろうさんは「マスクをしていると熱ねつがこもってくるので、外はずせるのはありがたい。体調たいちょうに気きをつけながら配達はいたつしたいです」と話はなしていました。

配達はいたつ員いんの暑あつさ対策たいさくでは、ヤマト運輸やまとうんゆや佐川さがわ急便きゅうびんも運転うんてん中ちゅうや屋外おくがいで人ひとが近ちかくにいない場合ばあいはマスクを外はずすことにしています。

建設けんせつ現場げんば 手探てさぐりの取り組とりくみ

強つよい日ひざしの中なかでの作業さぎょうとなる建設けんせつ現場げんばでは熱中ねっちゅう症しょう対策たいさくと感染かんせん防止ぼうし対策たいさくを両立りょうりつさせる手探てさぐりの取り組とりくみが始はじまっています。

大手おおてゼネコンの清水しみず建設けんせつが神奈川かながわ県けん山北さんぽく町まちで進すすめる高速こうそく道路どうろの建設けんせつ現場げんばではおよそ300人にんが働はたらいています。

作業さぎょう員いんは体温たいおんを測はかったうえで勤務きんむしていますが、現場げんばでは声こえを掛け合かけあうことが多おおく、気温きおんが上あがってもマスクを着用ちゃくようすることがルールとなっています。

風かぜを送り込おくりこむ電動でんどうの扇風機せんぷうきが付ついた作業さぎょう服ふくを着きていますが、それでも、マスクを着用ちゃくようすると体からだに負担ふたんがかかるといいます。

このため、会社かいしゃは口元くちもとを透明とうめいなプラスチックフィルムで覆おおうマウスシールドを配布はいふし、屋外おくがいに限かぎってマスクの代かわりに使つかうことを許可きょかしました。

マウスシールドは飛ひまつを一定いってい程度ていど防ふせげる上うえ、通常つうじょうのマスクと違ちがって口元くちもとに空間くうかんができるため息苦いきぐるしさを感かんじにくいということで、作業さぎょう員いんの男性だんせいは、「マスクだと口元くちもとが蒸むれて息苦いきぐるしいですが、マウスシールドは涼すずしくて、ありがたい」と話はなしていました。

ただ、マウスシールドは通常つうじょうのマスクほど飛ひまつを防ふせぐ効果こうかは見込みこめません。

このため、会社かいしゃは屋内おくないではマスクの着用ちゃくようを徹底てっていしていて、作業さぎょう員いんは休憩きゅうけい所しょに入はいる際さいにはマウスシールドを外はずして、マスクに付け替つけかえていました。

取材しゅざいした現場げんばでは、作業さぎょう員いんが密集みっしゅうしないよう、休憩きゅうけい所しょをこれまでの2倍ばい近ちかい30か所かしょ余あまりに増ふやしたうえで、利用りよう人数にんずうを制限せいげんするなどの対策たいさくを取とっているということです。清水しみず建設けんせつの檜ひのき一茂かずしげ工事こうじ長ちょうは、「マスクは息いきがしづらいという声こえが寄よせられたので、悩なやんだ末すえ、今回こんかいの対応たいおうを取とることにした。工事こうじを止とめると多おおくの人ひとの仕事しごとがなくなり、工期こうきも遅おくれてしまうので十分じゅうぶんな対策たいさくをしたい」と話はなしていました。