Báo tiếng Nhật: COP26 前半終了国際ルール合意できるかが後半の焦点に

イギリスで開ひらかれている気候きこう変動へんどう対策たいさくの国連こくれんの会議かいぎ「COP26」は前半ぜんはんの1週間しゅうかんが終了しゅうりょうし、今後こんご、閣僚かくりょう級きゅうなどによる詰つめの交渉こうしょうが始はじまります。

温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん量りょうを取り引とりひきできる国際こくさいルールについて合意ごういできるかなどが後半こうはんの焦点しょうてんとなります。

イギリス・グラスゴーで先月せんげつ31日にちに開幕かいまくしたCOP26は前半ぜんはんが終了しゅうりょうし、7日にちはすべての交渉こうしょうやイベントが休やすみになっています。

世界せかいの平均へいきん気温きおんの上昇じょうしょうを、産業さんぎょう革命かくめい前まえと比くらべて1.5度どに抑おさえることに各国かっこくが一致いっちできるかが焦点しょうてんとなる中なか、前半ぜんはんには岸田きしだ総理そうり大臣だいじんやアメリカのバイデン大統領だいとうりょうなど100人にんを超こえる首脳しゅのうたちが演説えんぜつを行おこないました。

世界せかいで3番目ばんめに排出はいしゅつ量りょうが多おおいインドのモディ首相しゅしょうが、2070年ねんまでに排出はいしゅつ量りょうを実質じっしつゼロにすると表明ひょうめいするなど、各国かっこくから従来じゅうらいより踏み込ふみこんだ削減さくげん目標もくひょうが示しめされました。

これらの目標もくひょうが達成たっせいできれば、今世紀こんせいき末まつ時点じてんでの世界せかいの平均へいきん気温きおんの上昇じょうしょうは2度ど以下いかまで抑おさえられるという国際こくさい機関きかんなどの試算しさんも出だされ、より詳細しょうさいな分析ぶんせきが会期かいき中ちゅうにも出だされる見通みとおしです。

また、途上とじょう国こくからは、気候きこう変動へんどう対策たいさくのための資金しきんを先進せんしん国こくが拠出きょしゅつすべきだという声こえが相次あいつぎ、日本にっぽんやアメリカ、イギリスなどが追加ついか支援しえんの方針ほうしんを示しめしました。

このほか4日にちには、温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん対策たいさくがとられていない石炭せきたん火力かりょく発電はつでん所しょの新規しんき建設けんせつ中止ちゅうしなどを盛り込もりこんだ議長ぎちょう国こくイギリスの声明せいめいに40か国かこく余あまりが賛同さんどうしました。

この中なかに日本にっぽんやアメリカ、中国ちゅうごくは含ふくまれておらず、「脱だつ石炭せきたん」をめぐる各国かっこくの立場たちばの違ちがいが浮き彫うきぼりになっています。

後半こうはんは、気候きこう変動へんどう対策たいさくの国際こくさい的てきな枠組わくぐみ「パリ協定きょうてい」を着実ちゃくじつに実施じっしするためのルール作づくりなどをめぐり、交渉こうしょうが山場やまばを迎むかえます。

パリ協定きょうてい6条じょうに基もとづく排出はいしゅつ削減さくげん量りょうを取り引とりひきできる国際こくさいルールや、各国かっこくが排出はいしゅつ削減さくげんの達成たっせい状況じょうきょうを国連こくれんに報告ほうこくする共通きょうつうのフォーマットなどが具体ぐたい的てきな論点ろんてんとなる見通みとおしです。

COP26は、9日にちからは各国かっこくの閣僚かくりょう級きゅうの交渉こうしょうが始はじまり、12日にちの会期かいき末まつに向むけて詰つめの協議きょうぎが行おこなわれます。

ルール作づくりはパリ協定きょうてい“最後さいごのピース”

気候きこう変動へんどう対策たいさくの国際こくさい的てきな枠組わくぐみ「パリ協定きょうてい」の6条じょうのもと、国連こくれんの認証にんしょうを受うけて温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつの削減さくげん量りょうを政府せいふ間かんや民間みんかんで取り引とりひきできるルール作づくりは、パリ協定きょうていの「最後さいごのピース」とも呼よばれ、COP26の主要しゅような論点ろんてんの1つです。

2015年ねんに採択さいたくされたパリ協定きょうていの6条じょうでは、資金しきんや技術ぎじゅつの支援しえんを行おこなって海外かいがいの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを減へらした場合ばあい、国連こくれんの認証にんしょうを受うけて自国じこくの削減さくげん分ぶんとしても組み込くみこめる制度せいどなどが定さだめられました。

その制度せいどの実施じっしに向むけたルール作づくりは、本来ほんらい2018年ねんのCOP24での合意ごういを目指めざして議論ぎろんが進すすめられていましたが、翌年よくねんのCOP25でも合意ごういには至いたらず、パリ協定きょうていに基もとづくほかのルールが合意ごういされる中なかで、パリ協定きょうていの「最後さいごのピース」とも呼よばれています。

協議きょうぎが難航なんこうしている主おもな理由りゆうは、一部いちぶの途上とじょう国こくが、かつての京都きょうと議定ぎてい書しょのもとで認証にんしょうされていた削減さくげん量りょうを、新あらたな枠組わくぐみであるパリ協定きょうていのもとでも活用かつようできるよう主張しゅちょうしたのに対にたいし、先進せんしん国こくなどが新あらたな削減さくげんにつながらないとして難色なんしょくを示しめし、紛糾ふんきゅうしたことです。

また、削減さくげん量りょうを支援しえんした国くにと支援しえんされた国くにで二に重じゅうに計上けいじょうしないルールなどもさらなる検討けんとうが必要ひつようとされてきました。

このルールが定さだまれば、企業きぎょうなどが海外かいがいでの排出はいしゅつ削減さくげんにつながる事業じぎょうを行おこなうメリットが大おおきくなって「脱だつ炭素たんそビジネス」が活性かっせい化かし、各国かっこくの経済けいざい成長せいちょうと気候きこう変動へんどうの抑制よくせいにつながると期待きたいされています。

環境省かんきょうしょうによりますと、この仕組しくみにより、2030年ねんまでに世界せかい全体ぜんたいの二に酸化さんか炭素たんその排出はいしゅつ量りょうをおよそ3割わり削減さくげんできるという試算しさんもあるということです。

今回こんかいは各国かっこくが合意ごうい点てんを見みいだすことができるのか、パリ協定きょうていの「最後さいごのピース」をめぐる交渉こうしょうは、会期かいき末まつまで続つづく見通みとおしです。

温室おんしつ効果こうかガス削減さくげんの事業じぎょうに取り組とりくむ商社しょうしゃは

海外かいがいで温室おんしつ効果こうかガスを削減さくげんする事業じぎょうに取り組とりくむ商社しょうしゃは、COP26でパリ協定きょうてい6条じょうに基もとづく排出はいしゅつ削減さくげん量りょうの取引とりひきのルールが合意ごういされれば事業じぎょうの追い風おいかぜになるとみて、議論ぎろんの行方ゆくえを注視ちゅうししています。

大手おおて総合そうごう商社しょうしゃの伊藤いとう忠ただし商事しょうじは、発展はってん途上とじょう国こくなどで温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげんにつながる事業じぎょうに積極せっきょく的てきに取り組とりくみ、フィリピンでは、日本にっぽん政府せいふの補助ほじょを受うけてパイナップルの缶詰かんづめ工場こうじょうで技術ぎじゅつ支援しえんを行おこなっています。

以前いぜんは捨すてていた、パイナップルの果肉かにくを切り出きりだしたあとに残のこる皮かわや絞しぼりかすなどからバイオガスを作り出つくりだし、そのガスをエネルギー源げんとすることで電力でんりょくや灯油とうゆなどの購入こうにゅうを減へらしています。

この事業じぎょうによる温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん量りょうは、年間ねんかんおよそ5万まんトンと見込みこまれ、1万まん世帯せたいほどの家庭かていが排出はいしゅつする量りょうに相当そうとうするということです。

しかし、こうした排出はいしゅつ削減さくげん量りょうは、これまで金銭きんせん的てきな価値かちとして計上けいじょうできておらず、国際こくさい的てきなルールが確立かくりつされて取引とりひきが活発かっぱつ化かすれば、排出はいしゅつ削減さくげん量りょうを買い取かいとってもらうことで追加ついかの収入しゅうにゅうにつながなると期待きたいされています。

伊藤いとう忠ただし商事しょうじ都市とし環境かんきょう・電力でんりょくインフラ部ぶの東山ひがしやま英一郎えいいちろう部長ぶちょうは「温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんの事業じぎょうは全ぜん世界せかい的てきに行おこなわなければいけないが、制度せいど的てきな問題もんだいもあり、事業じぎょうとして成り立なりたつか難むずかしいケースがある。COPでの議論ぎろんを経へて国際こくさい的てきなルールが固かたまれば、削減さくげん量りょうに付加ふか価値かちが生うまれ、採算さいさん面めんでも競争きょうそう力りょくを持もつため、ビジネス拡大かくだいの大おおきな後押あとおしになる。カーボンニュートラルの実現じつげんに向むけたスピード感かんは大おおきく変かわってくる」と話はなしています。

排出はいしゅつ量りょう減へらすことが難むずかしい航空こうくう業界ぎょうかいは

温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ削減さくげん量りょうの取引とりひきをめぐるCOPでの議論ぎろんに注目ちゅうもくしているのが、現状げんじょうでは大幅おおはばに排出はいしゅつ量りょうを減へらすことが難むずかしい航空こうくう業界ぎょうかいです。

航空こうくう業界ぎょうかいではことしから、国際線こくさいせんの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうを2019年ねんの水準すいじゅんよりも増ふやさないことが各社かくしゃに義務ぎむづけられました。

しかし航空こうくう輸送ゆそうの需要じゅようは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが収束しゅうそくすれば、経済けいざい発展はってんが続つづくアジアを中心ちゅうしんに大おおきく伸のびると見込みこまれるため、各社かくしゃは対策たいさくを迫せまられています。

このうち、航空こうくう大手おおての全日空ぜんにっくうは現在げんざい、燃費ねんぴのいい機材きざいへの更新こうしんや、エネルギーを節約せつやくする運航うんこう方法ほうほうへの見直みなおしなど、排出はいしゅつ削減さくげんの取り組とりくみを進すすめています。

今後こんご、さらにジェット燃料ねんりょうを「SAF」と呼よばれる代替だいたい燃料ねんりょうに切り替きりかえることに加くわえ、排出はいしゅつ削減さくげん量りょうをほかの企業きぎょうなどから買い取かいとることも必要ひつようになると考かんがえています。

燃料ねんりょうによる排出はいしゅつ量りょうを80％ほど削減さくげんできるというSAFの導入どうにゅうは、脱だつ炭素たんそに向むけた最大さいだいの対策たいさくと期待きたいされていますが、現在げんざいの供給きょうきゅう量りょうはジェット燃料ねんりょうの0.1％未満みまんで、大量たいりょう生産せいさんが可能かのうになるのが2030年ねん以降いこうになるとみられているためです。

このため全日空ぜんにっくうは、SAFの普及ふきゅうまでの過渡かと期きには、現在げんざいの取り組とりくみで削減さくげんできない分ぶんは排出はいしゅつ削減さくげん量りょうを買い取かいとる方針ほうしんで、COP26での議論ぎろんに注目ちゅうもくしています。

全日空ぜんにっくう企画きかく部ぶ事業じぎょう推進すいしんチームの乾いぬい元もと英すぐるさんは「クレジットの取引とりひき市場しじょうは、まだ、ないに等ひとしい状態じょうたいで、国際こくさい的てきなルール作づくりが早期そうきになされることに期待きたいしている。今後こんご、削減さくげんの中身なかみなどの透明とうめい性せいが保たもたれたクレジットが十分じゅうぶんに供給きょうきゅうされてくるのか、議論ぎろんを見極みきわめていく必要ひつようがある」と話はなしています。

専門せんもん家か「各国かっこくでルール合意ごうい強つよく希望きぼう」

気候きこう変動へんどうの国際こくさい交渉こうしょうに詳くわしい東京とうきょう大学だいがく未来みらいビジョン研究けんきゅうセンターの高村たかむらゆかり教授きょうじゅは「パリ協定きょうてい6条じょうのルールに合意ごういすることで、温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつ削減さくげんの価値かちが見みえることになり、技術ぎじゅつを持もつ企業きぎょうにとってはビジネスの後押あとおしとなる。一方いっぽうで削減さくげんが容易よういではない分野ぶんやには、信頼しんらいできる削減さくげん量りょうが提供ていきょうされることになり、世界せかいの気候きこう変動へんどう対策たいさくを加速かそくさせることができる」と指摘してきしています。

そのうえで「ルールを適切てきせつに作つくらなければ、削減さくげん量りょうが二に重じゅうに計上けいじょうされるなどして、逆ぎゃくに世界せかいの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつ量りょうが増ふえることになりかねず、いまだに合意ごういできていない。交渉こうしょうは大変たいへんだと思おもうが、パリ協定きょうていを本格ほんかく的てきに機能きのうさせ世界せかいの平均へいきん気温きおんの上昇じょうしょうを1.5度どに抑おさえるためにも、各国かっこくでしっかりとしたルールに合意ごういすることを強つよく希望きぼうしている」と話はなしています。