1次リーグ2連勝の日本は、5日、第3戦でここまで1勝1敗のサモアと愛知県豊田市の豊田スタジアムで対戦しました。
試合は序盤、互いにペナルティーゴールを決め合う展開となり、前半20分すぎに田村優選手が、この試合3つ目のペナルティーゴールを決めて9対6とリードしました。
このあとサモアの選手が重大な反則で一時退場となると、直後にウイングの松島幸太朗選手が持ち味のスピードで突破し、最後はセンターのラファエレ ティモシー選手が、この試合最初のトライを決めて突き放し、日本が16対9とリードして折り返しました。
後半も田村選手のペナルティーゴールやナンバー8の姫野和樹選手のトライでリードを広げましたが、30分すぎにサモアにトライを決められ、再び7点差まで詰め寄られました。
それでも直後に、途中出場の福岡堅樹選手が2試合連続のトライを決め、終了間際には松島選手がこの試合チーム4つ目のトライを奪い、38対19で勝ちました。
日本は1次リーグ3連勝で、4つ以上のトライを決めたチームに与えられるボーナスポイントも獲得し、勝ち点を14に伸ばしてグループAの首位に立ち、初めてのベスト8進出にさらに近づきました。
日本は今月13日に1次リーグの最終戦で、スコットランドと横浜国際総合競技場で対戦します。
グループAの状況
グループAはロシアに続いてサモアも1次リーグ敗退が決まり、残り3試合で、日本とアイルランド、スコットランドの3チームが決勝トーナメントに進む2枚の切符を争う構図となりました。
グループAは、日本が、勝ち点14で1位、アイルランドが、勝ち点11の2位で、ともに残りは1試合です。
勝ち点5のスコットランドは、まだ日本戦を含む2試合を残していて決勝トーナメント進出の可能性があります。
サモアは、5日の日本戦で勝ち点をあげられず、勝ち点5のままで1次リーグ敗退が決まりました。
ロシアは、3試合を終えて勝ち点0ですでに敗退が決まっています。
グループAは残り3試合で、今月9日にスコットランドがロシアと、12日にアイルランドがサモアと対戦し、13日の最終戦で日本とスコットランドが対戦します。
スコットランドとアイルランドが、世界ランキングが下で、すでに敗退が決まっているロシア、サモアに順当に勝つと、最終戦の日本対スコットランドが、決勝トーナメント進出をかけた大一番となります。
日本代表 ジョセフHC「チーム全体でフォーカスした結果」
日本のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、試合後の記者会見で「結果を誇りに思うし、ほっとしている。選手たちが一貫性のある練習をし、その中で何をしないといけないか理解しながらやっているので、きょうの結果にしっかり表れた。1人の選手が何をしたかではなくチーム全体でフォーカスした結果だ」と振り返りました。
そのうえで、1次リーグ最後に対戦するスコットランドについて「本当によいチームで、経験値も非常に高く、その試合にかかっていると思っていた。どれだけ難しい試合になるか理解している。プレッシャーを感じながらも待ちきれないし、選手も同じ気持ちで楽しみにしている」と話し、初めての決勝トーナメント進出に意欲を示しました。
日本代表 ラブスカフニ「ハードワークの結果」
日本のゲームキャプテンを務めたピーター・ラブスカフニ選手は、試合後の記者会見で「週のはじめから準備し、23人のメンバーに加え、それ以外の全員が貢献した結果だ」とチーム全員をたたえました。
そのうえで、終了間際に4つ目のトライを奪ってボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得したことについて「最後に松島幸太朗選手がゴールラインを越えてトライをとったときは、これまでのハードワークの結果だったので、本当にみんな喜んでいた」と笑顔で話しました。
日本代表 姫野「最高の形でフィニッシュ」
姫野和樹選手は、終了間際にボーナスポイントにつながる4つ目のトライを奪えたことについて「最高の形でフィニッシュできたと思う。ボーナスポイントで大きな1ポイントを獲得して勝てたのでほっとしている。ここにいるファンの方やテレビで観戦しているファンの方の声援が選手の背中を押してくれた。残りの試合も必ず勝って全勝で決勝トーナメントにいけるように準備したい」と話しました。
日本代表 福岡「ハードワークの結果」
途中出場でトライを決めた福岡堅樹選手は「自分の持ち前のスピードを生かして、チームに何か、いいインパクトを与えたいと試合に入った。ボーナスポイントも取れたし、チーム全員がハードワークした結果だ」と充実した表情で話しました。
日本代表 田村「みんながいい仕事」
この試合で4つのペナルティーゴールを決めた田村優選手は「みんながいい仕事をしていいポジションでキックのチャンスを作ってくれた。いちばんいい結果が得られて、僕たちがどれだけ決勝トーナメントに行きたいか出せたと思う。スコットランド戦は僕たちがどうやって4年間過ごしてきたか、どういうラグビーをしたいかしっかりファンの方に見せたい」と話しました。
日本代表 松島 W杯5トライで日本歴代最多に
ウイングの松島幸太朗選手は、終了間際にチーム4つ目となるトライをとって、ボーナスポイント獲得につなげました。
松島選手は「最後のトライはフォワードがすごく頑張ってくれた。自分としては絶対にトライがとれると思っていたし、チャンスあれば自分に回してくれと言っていたのでそれが実行できてよかった」と振り返りました。
そのうえで、次のスコットランド戦に向けては「スコットランドはキックもランプレーも得意で、相手が何をしてくるかを予測して先に動くのが大事。しっかりと準備したい」と話しました。
松島選手はワールドカップで決めたトライの数が、前回のイングランド大会の1つをあわせて5つとなり、1987年と1991年の2大会に出場した朽木英次さんと並んでいた記録を更新して日本代表では歴代最多となりました。
サモア代表HC「日本のほうがよいプレー」
敗れたサモアのスティーブ・ジャクソンヘッドコーチは「今まで経験したことのない雰囲気で、観客の皆さんがすばらしかった。この試合だけではない。どの試合も、日本のファンたちによってすばらしい大会になっている。このすばらしい雰囲気の中で、私たちのプレーで観客に感激してもらおうと思った。前半は頑張ったと思うが、日本のほうがよいプレーをしたことは事実だ」と日本代表と日本のファンをたたえました。
またキャプテンのジャック・ラム選手は「負けたのは残念だが、日本は本当に強かった。試合全体でバランスがとれていたし、ときには15人より多い相手と戦っているのではないかという気持ちにさえなった。日本が残りの試合でもうまくいくよう幸運を祈っている」と話しました。
サモア代表ピシ「日本ラグビーは進化」
後半から出場したサモア代表の37歳、ベテラン司令塔のトゥシ・ピシ選手は「無得点で完敗したスコットランド戦から立ち直って、前半は自分たちのプレーができたと思う。ただ後半、集中力が欠けてしまった。相手がよりパワフルなプレーをしてきた」と振り返りました。
ピシ選手は、日本のトップリーグや、スーパーラグビーのサンウルブスでもプレーした経験があります。
日本の快進撃についてピシ選手は「僕が日本でプレーしていたときよりも、日本のラグビーはものすごく進化を遂げていると思う。ついに自分たちの実力によって決勝トーナメント進出に王手をかけている。すばらしいコーチ陣によって、フィジカル面も技術面も向上していて、何よりも、互いに支え合ってプレーする精神がすばらしい」と話し、日本のラグビーの進化に感銘を受けていました。