これまでにおよそ200人について本人の意思を確認し、予約の手続きを一緒にしたということです。
一方で、相談してきた高齢者の中には認知症や認知症の疑いがある人もいて、ワクチン接種の意思確認が難しい人もいたということです。
このため9人については、その場で予約の手続きは行わず、本人の意向をくみ取るため身近な人を探すことにしました。
このうち、県営団地に1人で住む認知症の77歳の女性の場合、玉井さんが知っていた長女から連絡してもらい、先月までに2回の接種を終えたということです。
77歳の女性は「娘と玉井さんがいないとワクチンを打てなかった。ありがたかった」と話していました。
一方、本人と意思疎通がしづらく身近な人をたどることができなかったり、身近な人を見つけることができても意向をくみ取ることができなかったりするケースもあり、玉井さんは定期的な訪問活動などを通じて模索を続けています。
県営団地に1人で住む認知症の疑いがある高齢女性の場合、玉井さんは遠方に住む親族に連絡を取りましたが、接種の支援を行うのは難しいと伝えられたということです。
その後もこの女性を尋ねていますが会えておらず、ワクチン接種の状況は分からないままだといいます。
玉井さんは「親族はいても疎遠で依頼するのが難しく、こうした状況になっている。その後も足を運んだが不在が続いていて、どうなったか心配です」と話していました。
また、同じ地区の認知症の疑いがある高齢者の夫婦もワクチンを接種したか聞いたものの「ワクチンって何だっけ」などと答えるなど、意思疎通が難しいということです。
この日は会話を重ねる中で、子どもがいることがようやく分かったということで、今後、連絡先をたどってみるということです。
玉井さんは「地道にコツコツ訪問しながら信頼関係を作ってサポートができるように続けていくしかない。助けてくださいと言わなくても、必要性がある人に上手に手を差し伸べられる取り組みや仕組みが必要だと思う」と話していました。
そのうえで、認知症などで意思の確認が難しい場合について厚生労働省は、自治体に対する通知の中で、「状況に応じて家族やかかりつけの医師、施設の従事者など日頃から身近で寄り添っている方々の協力を得て、本人の接種の意向を丁寧にくみ取ることなどにより本人の意思確認を行うこと」としています。 一方、医師などでつくる「日本臨床倫理学会」は意思の具体的な確認方法に関する手引きをまとめました。 手引きでは、最も大切なのは本人の判断であるため、意思を決定する能力があるかどうかを先入観を持たずに確認することが重要だとしています。 そのうえで、本人の意思が確認できない場合には、本人をよく知る家族などが代理で判断するとしています。 その場合、これまでの考え方や価値観、予防接種の履歴などをもとに本人の意思を推定して最善の利益を考えるとしています。 さらに、家族などの身寄りが無かったり、連絡がつかなかったりする場合には、さまざまな職種でつくる医療ケアチームが、話し合って決めることとされています。
そのうえで「この問題は、医療の問題でありながらも生活支援の問題でもあり、医療ケアと生活支援を切り離さず一連のものとしてうまくつないでいく仕組みが必要なのではないか」と話しています。
接種の意思確認とは
専門家「医療ケアと生活支援をつなぐ仕組み必要」