小田おだ急きゅう線切せんぎりつけ事件じけん 36歳さいの容疑ようぎ者しゃ 殺人さつじん未遂みすい容疑ようぎで再さい逮捕たいほへ

高校こうこう時代じだいの同級生どうきゅうせいによりますと、当時とうじは成績せいせきがよく、男女だんじょ問とわず誰だれとでも親したしくなれるタイプだったということです。

大学だいがくに入学にゅうがくした後のち、当時とうじの仲間なかまで集あつまった際さいには「駅前えきまえで女性じょせいをナンパしている。そのうち何なん人にんかとは関係かんけいを持もった」などと話はなしていたということです。

この同級生どうきゅうせいは取材しゅざいに対にたいし「高校こうこう時代じだいは至いたって普通ふつうの生徒せいとだったので、事件じけんのことを知しって驚おどろいている」と話はなしていました。

その後そのご、對馬つしま容疑ようぎ者しゃは大学だいがくに5年間ねんかん通とおったのち2009年ねんに中退ちゅうたいし、派遣はけん社員しゃいんやアルバイトなどの非ひ正規せいき雇用こようで働はたらくようになります。

捜査そうさ関係かんけい者しゃによりますと、経験けいけんした職場しょくばはコンビニエンスストアやスーパー、宿泊しゅくはく施設しせつ、それに食品しょくひん工場こうじょうなどあわせて20余あまりに上のぼるということです。

仕事しごとを転々てんてんとした理由りゆうについては多おおくが「嫌いやになった」など自己じこ都合つごうによるものだということですが、ことし2月つきには契約けいやくを更新こうしんされない「雇やとい止とめ」にあったとみられています。

その後そのごは仕事しごとに就つかず、生活せいかつ保護ほごを受うけながら川崎かわさき市し多摩たま区くのアパートで1人にんで暮くらしていました。

一方いっぽう、警視庁けいしちょうの調しらべに対にたいし「金きんを使つかうのがもったいないので万引まんびきを繰り返くりかえして生活せいかつしていた」と供述きょうじゅつしているということで、事件じけんの当日とうじつも都内とないの書店しょてんや食料しょくりょう品ひん店てんなどで少すくなくとも4件けんの万引まんびきをしていた疑うたがいがあるということです。

このうち、食料しょくりょう品ひん店てんでベーコンなどを万引まんびきしたところを女性じょせい店員てんいんに見みつかり、警察けいさつ署しょで事情じじょうを聴きかれていますが、これまでの調しらべに対にたいし、女性じょせい店員てんいんに注意ちゅういされたことが事件じけんの引き金ひきがねになったという趣旨しゅしの供述きょうじゅつもしているということです。

警視庁けいしちょうはこれまでの生活せいかつ状況じょうきょうなども含ふくめ、事件じけんの詳くわしいいきさつを調しらべています。

この女性じょせいは当時とうじ、新宿しんじゅく行いきの快速かいそく急行きゅうこうの先頭せんとうから4両りょう目めの車両しゃりょうに乗のっていましたが、警視庁けいしちょうによりますと、この車両しゃりょうで4人にんの乗客じょうきゃくが切きりつけられ、このうち20歳さいの女子じょし大学生だいがくせいが背中せなかなど7か所かしょを刺さされる大だいけがをしました。

事件じけんの直前ちょくぜん、女性じょせいは片耳かたみみにイヤホンをして音楽おんがくを聴きいていましたが、突然とつぜん、乗客じょうきゃくの悲鳴ひめいや「逃にげろ」という声こえが聞きこえたほか、服ふくに血ちがついた人ひとの姿すがたが見みえたため、あわてて先頭せんとう車両しゃりょうの方向ほうこうへ逃にげたといいます。

この時ときの状況じょうきょうについて、女性じょせいは「どれくらいのことが起おきているのかは分わかりませんでしたが、仕事しごと帰がえりに死しにたくないという思おもいだけで必死ひっしに逃にげました。車両しゃりょうの連結れんけつ部分ぶぶんに乗客じょうきゃくが詰つまっていましたが、そこに突っ込つっこんでいくしかありませんでした」と話はなしています。

しかし、先頭せんとうから3両りょう目めの車両しゃりょうに移うつった際さいに転倒てんとうした上うえ、2両りょう目めとの連結れんけつ部分ぶぶんにあるドアが閉しまり、動揺どうようして自分じぶんでは開あけられない状態じょうたいになったということです。

女性じょせいは声こえを振り絞ふりしぼってほかの乗客じょうきゃくに助たすけを求もとめ、気きがつくと列車れっしゃから線路せんろに降おりる人ひとたちの姿すがたが見みえたため、みずからもはだしで線路せんろに降ふり、無我夢中むがむちゅうで駅えきまで逃にげたということです。

女性じょせいは転倒てんとうした際さいに頭あたまなどを打うつけがをして病院びょういんに搬送はんそうされました。

女性じょせいは仕事しごとの都合つごうで現在げんざいも小田急おだきゅう線せんを利用りようせざるを得えないということですが、事件じけんからおよそ3週間しゅうかんがたった今たったいまも列車れっしゃ内ないを歩あるいている乗客じょうきゃくがいたり、床ゆかに物ものが落おちたりすると緊張きんちょうが走はしり、当時とうじの恐怖きょうふを思い出おもいだしてしまうといいます。

このため、何なにか起おきた時ときにすぐに助たすけを求もとめられるよう、乗務じょうむ員いんの姿すがたが見みえる先頭せんとうか最さい後尾こうびの車両しゃりょうに乗のるようになったということです。

さらに、報道ほうどうで容疑ようぎ者しゃの供述きょうじゅつや事件じけんの経緯けいいを知しり、いつか自分じぶんが標的ひょうてきになるかもしれないと不安ふあんを抱かかえるようになったといいます。

女性じょせいは「容疑ようぎ者しゃがいつ社会しゃかいに復帰ふっきするのか、私わたしたちには分わかりません。その分わからないことに対にたいしておびえ続つづけることになるし、事件じけんをきっかけに模倣もほう犯はんが出でてくる可能かのう性せいもあります。今後こんご、自分じぶんにも危害きがいが及およぶかもしれないと思おもうと怖こわいし、不安ふあんです」と話はなしていました。