広報大使に任命されたのは、タレントの西川きよしさんと東京海洋大学名誉博士のさかなクン、それにモデルのトラウデン直美さんの3人です。
3人は25日、小泉環境大臣とともに、レジ袋の削減とマイバッグの利用を呼びかけるキャンペーンの発足式に出席しました。
このなかで西川さんは「レジ袋など使い捨てのプラスチック製品はとても便利だったんですが、もうお別れにして、小さなことからこつこつと取り組んでいきたい」と話しました。
さかなクンは「魚に会いたくて海に潜ると、レジ袋や細かいプラスチックごみがたくさん浮かんでいるんです。マイバッグを持っていなかったら買い物はやめようと思えるくらい意識されるようになってほしい」と呼びかけました。
また、トラウデンさんは「レジ袋のことをきっかけに、身の回りのどんなものにプラスチックが使われているのか意識してもらい、プラスチックごみ全体の削減につなげたい」と話していました。
石油などの化石資源でできたプラスチック製のレジ袋は来月1日から有料にすることが全国の小売店に義務づけられます。
環境省は3人のアニメーションが登場するCMを26日から放送するなど周知を進めることにしています。
テイクアウトの飲食店は悩みも
新型コロナウイルスの影響で新たにレジ袋を使うようになった店でも対応を迫られています。
東京・新宿区の繁華街にあるカフェでは緊急事態宣言が出された4月から弁当のテイクアウトを行っています。当初は紙袋に入れて提供していましたが、コストが高いためレジ袋に切り替えたと言います。
22日、9日後に迫った有料化にどう対応するのか、スタッフを交えて検討しました。スタッフからは「新型コロナウイルスの影響で収入が減っている方もいるなかで、テイクアウトがデメリットになるような見せ方は避けたい。マイバッグを持ってきた人にサービスするなどメリットを感じてもらえる方法が必要だ」といった意見が出ていました。
検討の結果、この店では来月からレジ袋1枚を2円にすることに決めました。
店のオーナーの原和美さんは「客足が戻ってきているなか、有料化が義務づけられるのは店にとっては厳しいです。お弁当を袋無しで渡す習慣はなかったので理解を得るのも時間がかかると思いますが、環境という大きな問題にみんなで取り組むんだという気持ちで接客し、共感を得ていきたい」と話していました。
一方で、レジ袋の有料化にどう対応するか、まだ決めていないという声も複数、聞かれました。弁当をテイクアウトで販売している居酒屋の店員は「レジ袋の料金を追加でいただくことはまだ考えていません。周辺の店で有料化を決めたという話も聞いていません」と話していました。
また、焼き鳥店の店員は「有料化によってテイクアウトをする客が離れていってしまうと痛手です。商品の値段を1円か2円下げてその分をレジ袋の代金としていただく形にしようかと考えています」と話していました。
飲食店のレジ袋有料化を所管する農林水産省は「これまでは店内飲食が中心だったのでレジ袋の有料化があまり意識されてこなかった面もあると思う。あらゆる機会を通じて周知を図るとともに状況を確認して指導や助言を行っていきたい」としています。
利用者の受け止めは
飲食店でテイクアウトする際のレジ袋も有料化の対象になることについて東京・新宿区で昼食に出かけていた人たちに話を聞きました。
50代の会社員の女性は「新型コロナウイルスの感染対策で、休みの日にどこにも行けない時はテイクアウトをして家族で料理を楽しみます。袋の有料化は環境への影響を配慮すると仕方ないと思います。エコバッグを持って行くようにしますが、持っていないときは袋を買ってしまうと思います」と話していました。
また、40代の会社員の男性は「スーパーでの買い物にはエコバッグを持っていく習慣がありますが、仕事中のランチにエコバッグという意識はありませんでした。環境のことを考えると意識を変えないといけないと思いますが、有料化しても価格は高くないので、エコバッグを持って行こうとかテイクアウトをやめようという気持ちにはすぐにはならないと思います」と話していました。
袋の素材切り替えて無料配布続ける外食チェーンも
外食チェーンでは、レジ袋を有料化するところがある一方、有料化の対象になっていない素材の袋を使って、無料での配布を続けるところもあり、対応が分かれています。
このうち、牛丼チェーンの吉野家は、来月1日以降も、持ち帰り用のレジ袋の無料配布を続けます。
有料化の対象になっていないバイオマス素材の配合率が25%以上の袋に切り替えるためです。新型コロナウイルスの影響で持ち帰りの客が増えていることから、会社ではレジ袋が必要かどうか確認する時間をなくして、店内での滞在時間を短くしてもらうねらいもあるとしています。
吉野家の寺澤裕士課長は「外食企業として、お客様に安心・安全を届け、容器の軽量化にも引き続き取り組みたい」と話しています。
外食チェーンではこのほか、ケンタッキーフライドチキンやロイヤルホストなども、有料化の対象になっていない素材の袋に切り替えるなどして、来月1日以降、レジ袋の無料配布を続けるということです。
一方、ドーナツチェーンの「ミスタードーナツ」はプラスチックごみの削減につなげるため、すでにことし4月からレジ袋を1枚あたり3円で有料化したほか、居酒屋チェーンの「串カツ田中」も来月1日からの有料化を決めていて、会社によって対応が分かれる形になっています。