試合は土居美咲選手にセットカウント2対1で勝ちました。新型コロナウイルスの影響で無観客で行われることしの全米オープンは、選手や大会関係者にPCR検査を行うなどの感染予防対策が講じられたうえで、31日、ニューヨークで開幕しました。
大会初日の1回戦で世界ランキング9位の大坂選手は世界81位の土居美咲選手と対戦しました。
試合は、第1セットを大坂選手が6-2で取りましたが、第2セットは、土居選手に立ち上がりから3ゲーム連続で奪われるなど主導権を握られて5-7で落としました。
セットカウント1対1で迎えた第3セットは、大坂選手のストロークに安定感が戻り、力強いショットでポイントを重ね、土居選手の反撃を許さず、6-2で取って、セットカウント2対1で勝ちました。
この試合で、大坂選手は入場と退場の際に、ことし3月、警察官に撃たれて死亡した黒人の女性の名前が入ったマスクを着用して、抗議の姿勢を示しました。
大坂選手は8月に開かれた大会で、ウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことへの抗議として試合をボイコットする意向を表明するなどしていました。
会場は閑散とした雰囲気
全米オープンが行われているニューヨークの会場は、無観客での開催のため、例年のようなにぎわいはなく、閑散とした雰囲気となっています。
会場には選手や大会関係者、それに試合を放送する権利を持つ一部のメディアのみ入場が許されていて、入り口では検温を実施している様子が見られました。
また「会場や指定されたホテルの限られたエリアの中にいて、安全を保ってください。ここを出れば大会から去ることになります」と注意を促す看板も設置されていました。
会場の外でも、例年、世界中から訪れる多くのファンでにぎわうグッズ売り場は、シャッターが下ろされ、周辺は閑散とした雰囲気となっています。
会場の近くに住むという男性は「きょうから開幕というので散歩で来たが、人が全然いなくて静かで、いつもと全く異なる雰囲気だ。ことしはテレビで楽しもうと思う」と話していました。
無観客で開催 さまざまな感染防止対策
アメリカで開催されている多くのスポーツイベントと同様に、去年、70万人を超える観客を動員した全米オープンも、ことしは無観客で行われています。
会場の「ビリー・ジーン・キング・ナショナルテニスセンター」はことし4月、新型コロナウイルスの感染者が急増する中、ニューヨーク市が室内のコートに470の病床を設置しておよそ1か月にわたり患者を受け入れたことでも話題になりました。
大会の開催にあたっては、全米テニス協会がさまざまな感染防止対策をとっています。
選手に対しては、「バブル」と呼ばれる限られたエリアでのみ滞在することを求めていて、試合会場と指定されたホテルから許可なく外に出た選手はその時点で失格となります。
また、毎日の体温チェックとアンケート調査に加え、4日おきにPCR検査を行うことや、大会IDを使って陽性者と接触した人を追跡できるシステムを導入するなど、徹底した対策による安全な大会運営が強調されています。
一方で、開幕前には男女とも去年の優勝者が大会欠場を表明するなど、多くのトップ選手が出場していないほか、開幕前日にはフランスの男子選手が検査で陽性反応を示して棄権しました。
今回の全米オープンでとられる『感染者を出さない』『感染を拡大させない』ための対策が効果的に機能するのか、今後も続くコロナ禍における安心で安全なスポーツイベントの在り方を考えるうえでも注目されます。