ＴＰＰ 年末ねんまつ発効はっこうへ 「自由じゆうで公正こうせいなルール広ひろげるメッセージに」

ＴＰＰ協定きょうていを担当たんとうする茂木もぎ経済けいざい再生さいせい担当たんとう大臣だいじんは記者きしゃ会見かいけんし、「自由じゆうで公正こうせいな21世紀せいき型がたの新あらたなルールが確立かくりつされ、世界せかいに広ひろがっていくという強つよいメッセージの発信はっしんになる。わが国わがくには今後こんごとも自由じゆう貿易ぼうえきの旗手きしゅとして国際こくさい経済けいざい秩序ちつじょの強化きょうかを主導しゅどうしていく」と意義いぎを強調きょうちょうしました。

日本にっぽん政府せいふは、少子しょうし高齢こうれい化かが進すすむ中なかで、世界せかいの国内こくない総そう生産せいさん＝ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-の13％を占しめるＴＰＰ協定きょうていが発効はっこうすれば日本にっぽんの成長せいちょう力りょくを持続じぞく的てきに高たかめる効果こうかが期待きたいできるとしていて、国内こくない産業さんぎょうの保護ほごを図はかりながら、自動車じどうしゃなど工業こうぎょう製品せいひんに加くわえ、農林のうりん水産物すいさんぶつの輸出ゆしゅつなども推進すいしんしていく方針ほうしんです。

当面とうめんは新規しんき加盟かめいが議論ぎろんの中心ちゅうしんに

ＴＰＰ協定きょうていは、ことし12月つき30日にち午前ごぜん０ぜろ時じに発効はっこうする方向ほうこうで各国かっこくが最終さいしゅう調整ちょうせいを進すすめていて、日本にっぽん政府せいふは発効はっこう後ご、年明としあけにも締約ていやく国こくの閣僚かくりょうで構成こうせいするＴＰＰ委員いいん会かいの初はつ会合かいごうを日本にっぽんで開催かいさいすることにしています。

ＴＰＰ委員いいん会かいはＴＰＰ協定きょうていを運用うんようするためのさまざまなルールを決きめるいわば最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんで、加盟かめい国こくどうしの紛争ふんそう処理しょりの手続てつづきや新規しんき加盟かめい国こくの受け入うけいれの是非ぜひなどに加くわえ、必要ひつように応おうじて協定きょうていの改正かいせいや修正しゅうせいなどを判断はんだんします。

ＴＰＰ協定きょうていにはタイやイギリス、コロンビアなど複数ふくすうの国くにや地域ちいきが加入かにゅうに関心かんしんを示しめしていることから、当面とうめんは新規しんき加盟かめいをめぐる議論ぎろんが委員いいん会かいの中心ちゅうしん的てきな議題ぎだいとなりそうです。

一方いっぽう、国内こくない手続てつづきを終おえていないベトナム、マレーシア、チリ、ペルー、ブルネイの５ごか国かこくは、それぞれの国内こくない手続てつづきを終おえてから60日にち後ごに、ＴＰＰ協定きょうていの締約ていやく国こく、つまり正式せいしきなメンバーに加くわわることになります。

ＴＰＰとは

ＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていは11か国かこくによる発効はっこうで、域内いきないの人口じんこうが合あわせて５ご億おく人にん、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんの合計ごうけいが、10兆ちょう6000億おくドルと世界せかい全体ぜんたいの13％に当にあたる、大だい規模きぼな経済けいざい圏けんが実現じつげんします。

ＴＰＰは、もともとアメリカやオーストラリアなど環太平洋かんたいへいよう地域ちいきの12か国かこくが参加さんかする経済けいざい連携れんけい協定きょうていでした。

日本にっぽんは、５ご年ねん前まえの2013年ねんに交渉こうしょうに参加さんかしましたが、当初とうしょ、原則げんそくとしてすべての品目ひんもくで関税かんぜいの撤廃てっぱいを目指めざすほか、投資とうしや知的ちてき財産ざいさん権けんの保護ほごなど、これまでの協定きょうていにはなかった幅広はばひろい分野ぶんやでの自由じゆう化かを目標もくひょうとしていたことから、国くにを二分にぶんする激はげしい論争ろんそうが巻まき起おこりました。

その後そのご、２に年ねん余あまりの交渉こうしょうを経へて、ＴＰＰは2015年ねん10月つきに大筋おおすじ合意ごういに至いたりました。

ところが去年きょねん１月いちがつになって、アメリカで２に国こく間かんの交渉こうしょうを重視じゅうしするトランプ政権せいけんが誕生たんじょうし、早々そうそうにＴＰＰからの離脱りだつを表明ひょうめいします。

このため12か国かこくで合意ごういしたＴＰＰは、そのままでは発効はっこうが見込みこめなくなり、残のこる11か国かこくが改あらためて交渉こうしょうを行おこなうことになりました。

そして、去年きょねん11月つきに11か国かこくが再ふたたび大筋おおすじ合意ごういし、これに合あわせ、新あらたな協定きょうていについては参加さんか国こくのうち６ろくか国かこくが国内こくない手続てつづきを終おえれば、60日にち後ごに発効はっこうすることも決きまりました。

これまでに、日本にっぽんのほか、メキシコやシンガポールなど５いつつの国くにがすでに国内こくない手続てつづきを終おえていましたが31日にち、オーストラリアが手続てつづきを完了かんりょうしたことで、ことし12月つき30日にち、協定きょうていが発効はっこうされることになりました。

ＴＰＰの意義いぎ

日本にっぽんがＴＰＰを重視じゅうししたのは、世界せかい規模きぼで貿易ぼうえき自由じゆう化かを進すすめるＷＴＯだぶりゅ-てぃ-お-＝世界せかい貿易ぼうえき機関きかんでの交渉こうしょうがこう着こうちゃくする中なか、地域ちいきレベルの協定きょうていに活路かつろを見みいだそうとしたためです。

日本にっぽんはＴＰＰで、アメリカを含ふくむ複数ふくすうの国くにどうしで関税かんぜいを引き下ひきさげることで、自動車じどうしゃなど工業こうぎょう製品せいひんを中心ちゅうしんとした輸出ゆしゅつを伸のばすことに加くわえ、ルールの分野ぶんやでも幅広はばひろい自由じゆう化かを実現じつげんし、日本にっぽん企業きぎょうが海外かいがい市場しじょうに展開てんかいしやすくすることを目指めざしました。

交渉こうしょうでは、参加さんか国こくのうち圧倒的あっとうてきな経済けいざい規模きぼを誇ほこるアメリカから、農産物のうさんぶつなどをめぐって厳きびしい要求ようきゅうが突つきつけられましたが、一定いっていの譲歩じょうほをしつつも最終さいしゅう的てきに大筋おおすじ合意ごういにこぎつけました。

それだけにアメリカの突然とつぜんの離脱りだつは、日本にっぽんに大おおきな衝撃しょうげきを与あたえました。

日本にっぽんは、引き続ひきつづきアメリカに対にたいしてＴＰＰに復帰ふっきするよう求もとめる一方いっぽうで、多国たこく間かんでの自由じゆう貿易ぼうえきの求心力きゅうしんりょくを保たもつためには、たとえアメリカが離脱りだつしてもＴＰＰを発効はっこうさせることが重要じゅうようだとして、11か国かこくによる交渉こうしょうを大筋おおすじ合意ごういに導みちびきました。

さらに日本にっぽんは、ことし７月しちがつ、ＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうとのＥＰＡ＝経済けいざい連携れんけい協定きょうていの署名しょめいを行おこなったほか、現在げんざいも中国ちゅうごくなどアジア太平洋たいへいよう地域ちいきの16か国かこくが参加さんかするＲＣＥＰ＝東アジアひがしあじあ地域ちいき包括ほうかつ的てき経済けいざい連携れんけいの交渉こうしょうも主導しゅどうしています。

保護ほご主義しゅぎを掲かかげるアメリカのトランプ政権せいけんが２に国こく間かんでの交渉こうしょうを重視じゅうしする立場たちばを鮮明せんめいにしているのに対にたいし、日本にっぽんは今回こんかいのＴＰＰの発効はっこうで、あくまで多国たこく間かんによる自由じゆう貿易ぼうえきの推進すいしんが重要じゅうようだというメッセージを改あらためて打ち出うちだしたい考かんがえです。