新型しんがたコロナ 再さい感染かんせんの報告ほうこく 世界せかい各国かっこくの研究けんきゅうグループから相次あいつぐ

専門せんもん家かは再さい感染かんせんは起おこりうるとしたうえで、「感染かんせんを重かさねるにつれ、重おもい症状しょうじょうを引き起ひきおこさなくなっていくのが多おおくのパターンだ。過剰かじょうに怖こわがらずに受け止うけとめてほしい」と話はなしています。

ことし8月つき、香港ほんこん大学だいがくの研究けんきゅうグループは、3月つき下旬げじゅんに新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんして回復かいふくした33歳さいの男性だんせいが、4か月かげつ余あまりたってから再ふたたび感染かんせんしたことが確認かくにんされたと発表はっぴょうしました。

1度目どめと2度目どめではウイルスの遺伝子いでんしの配列はいれつが一部いちぶで異ことなるということで、同どう一いち人物じんぶつで2度どの感染かんせんが確認かくにんされた世界せかいで初はじめてのケースとなりました。

その後そのごも世界せかい各国かっこくの研究けんきゅうグループから再さい感染かんせんが確認かくにんされたとする報告ほうこくが出だされ、多おおくのケースでは2度目どめは軽かるい症状しょうじょうですが、インドの20代だいの医療いりょう従事じゅうじ者しゃは症状しょうじょうが出でなかったものの、検出けんしゅつされたウイルスの量りょうは1回かい目めの感染かんせんより多おおかったと報告ほうこくされています。

一方いっぽう、アメリカ ネバダ州しゅうの25歳さいの男性だんせいは、最初さいしょの感染かんせんよりも症状しょうじょうが重おもくなり肺炎はいえんで入院にゅういんしたと報告ほうこくされています。

こうした報告ほうこくをまとめているオランダの通信つうしん社しゃは、これまでにおよそ20例れい確認かくにんされたと伝つたえているほか、科学かがく雑誌ざっし「ネイチャー」も再さい感染かんせんについての記事きじを掲載けいさいするなど、関心かんしんが高たかくなっています。

どうして再さい感染かんせんするのかは解明かいめいされていませんが、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたあとで、感染かんせんを防ふせぐ抗体こうたいが減へるスピードが早はやいとする研究けんきゅう報告ほうこくがあるほか、かぜを引き起ひきおこす一般いっぱん的てきなコロナウイルスと同様どうよう、何なん度ども感染かんせんするのではないかという見方みかたもあります。

日本にっぽんウイルス学会がっかいの理事りじ長ちょうで、大阪おおさか大学だいがくの松浦まつうら善治よしはる教授きょうじゅは「再さい感染かんせんしないウイルスのほうが珍めずらしく、感染かんせんを重かさねるにつれ、重おもい症状しょうじょうを引き起ひきおこさなくなっていくのがこれまでの多おおくのパターンだ。過剰かじょうに怖こわがらずに受け止うけとめてほしい」と話はなしています。

ウイルスの研究けんきゅう者しゃ「重症じゅうしょう化かするか さらに研究けんきゅうが必要ひつよう」

新型しんがたコロナウイルスの再さい感染かんせんについて、ウイルスの研究けんきゅう者しゃは再さい感染かんせんは起おこりうるとしたうえで、重症じゅうしょう化かにつながるのかさらに研究けんきゅうが必要ひつようだと指摘してきしています。

新型しんがたコロナウイルスは、鼻はなやのどといった上気じょうき道どうの粘膜ねんまくからヒトの体からだに侵入しんにゅうします。

ところが、新型しんがたコロナウイルスの治療ちりょう薬やくやワクチンについて研究けんきゅうしている北里きたざと大学だいがくの片山かたやま和彦かずひこ教授きょうじゅによりますと、感染かんせんしたあと上気じょうき道どうの粘膜ねんまくにでき、ウイルスが入り込はいりこむいわば入り口いりくちで感染かんせんを防ふせぐ「IgA」と呼よばれる抗体こうたいは、比較的ひかくてき短みじかい期間きかんで量りょうが減へってしまうということで、再さい感染かんせんを防ふせぐのは難むずかしいのではないかとしています。

片山かたやま教授きょうじゅは、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした場合ばあい、上気じょうき道どうの粘膜ねんまくでIgA抗体こうたいがどれくらいの量りょうできるのか調しらべる研究けんきゅうを計画けいかくしているほか、鼻はななどの粘膜ねんまくで抗体こうたいを作つくるよう促うながして感染かんせんを防ふせぐ、鼻はなに噴霧ふんむする新あたらしいタイプのワクチンの研究けんきゅうを進すすめています。

片山かたやま教授きょうじゅは「再さい感染かんせんは日常にちじょう的てきに起おきると考かんがえられる。鼻はなの粘膜ねんまくでIgA抗体こうたいが作つくられれば、ウイルスが多おおく増ふえる前まえに感染かんせんが止とめられるので、ワクチンの開発かいはつを進すすめていきたい」と話はなしています。

また、ウイルス学がくが専門せんもんの北里きたざと大学だいがくの中山なかやま哲夫てつお特とく任にん教授きょうじゅは、再さい感染かんせんした場合ばあいに軽症けいしょうか無む症状しょうじょうで済すむウイルスが多おおい一方いっぽう、中なかには再さい感染かんせんで重症じゅうしょう化かするものがあり、新型しんがたコロナウイルスがどちらにあたるか分わからないため、慎重しんちょうに見みていく必要ひつようがあるとしています。

このうち、かぜのような症状しょうじょうを引き起ひきおこすRSウイルスは、感染かんせんすると幼おさない子こどもが肺炎はいえんになり、重症じゅうしょう化かすることがありますが、中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅらが行おこなった研究けんきゅうによりますと、1歳さいごろに感染かんせんした場合ばあいには作つくられる抗体こうたいの量りょうは少すくない一方いっぽう、再さい感染かんせんを繰り返くりかえすことで抗体こうたいの量りょうが増ふえ、それにつれて症状しょうじょうも軽かるくなるということです。

一方いっぽうで、高熱こうねつや激はげしい頭痛ずつうなどを引き起ひきおこすデング熱でんぐねつの場合ばあい、2度目どめの感染かんせん以降いこうのほうが症状しょうじょうが重おもくなるケースも多おおく見みられるとされています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは、新型しんがたコロナウイルスの場合ばあい、再さい感染かんせんしても症状しょうじょうが出でず気付きづいていない人ひとがすでに多おおくいる可能かのう性せいもあるとしていますが、再さい感染かんせんによってどういった症状しょうじょうが引き起ひきおこされるかはまだ分わかっていないため、慎重しんちょうに見みていく必要ひつようがあるとしています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは「ウイルスへの再さい感染かんせんは、一般いっぱん的てきには軽症けいしょうで済すむケースが多おおいが、新型しんがたコロナウイルスの場合ばあいは重症じゅうしょう化かしないのか、今後こんごさらに研究けんきゅうが必要ひつようだ。過剰かじょうに心配しんぱいする必要ひつようはなく、手洗てあらいや消毒しょうどくなど一般いっぱん的てきな感染かんせん対策たいさくを徹底てっていすればよい」と話はなしています。