「オンライン診療しんりょう」かかりつけ医いを基軸きじくに 日本にっぽん医師いし会かい

インターネットを使つかって患者かんじゃの診療しんりょうを行おこなう「オンライン診療しんりょう」は、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくとして、時限じげん的てきに初回しょかいの診療しんりょうから認みとめられていますが、先週せんしゅう、田村たむら厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんと河野こうの規制きせい改革かいかく担当たんとう大臣だいじん、平井ひらいデジタル改革かいかく担当たんとう大臣だいじんは、ウイルスの感染かんせんが収束しゅうそくしたあとも映像えいぞうによる、やり取やりとりができることに限かぎって、原則げんそく、恒久こうきゅう化かすることで合意ごういしました。

これについて日本にっぽん医師いし会かいの中川なかがわ会長かいちょうは、14日にちの記者きしゃ会見かいけんで「安全あんぜん性せいと信頼しんらい性せいは、オンライン診療しんりょうの必須ひっす条件じょうけんとして位置いちづけなければならないが、3大臣だいじんの合意ごういで、これらのことばが入はいったことを評価ひょうかしている」と述のべました。

一方いっぽう、中川なかがわ会長かいちょうは「利便りべん性せいのみを優先ゆうせんしたオンライン診療しんりょうの推進すいしんは、医療いりょうの質しつの低下ていかにつながりかねないため、『かかりつけ医い』などを基軸きじくとすべきだ」と述のべました。

そして「初診しょしんで初はじめて会あった医師いしと患者かんじゃが、いきなりオンライン診療しんりょうを行おこなうことは、非常ひじょうに不安ふあんというのが共通きょうつう認識にんしきではないか。かかりつけ医いなどを基軸きじくにし、安全あんぜん性せいと信頼しんらい性せいを担保たんぽするのは自然しぜんの流ながれだ」と述のべ、「オンライン診療しんりょう」の恒久こうきゅう化かにあたっては、かかりつけの医者いしゃが関かかわるなど、医者いしゃと患者かんじゃが面識めんしきがあることを前提ぜんていにすべきだという考かんがえを示しめしました。

「オンライン診療しんりょう」とは

「オンライン診療しんりょう」は、当初とうしょ、「遠隔えんかく診療しんりょう」と呼よばれ、初診しょしんの場合ばあいは原則げんそく、対面たいめんで診療しんりょうすることなどを条件じょうけんに平成へいせい9年ねんに離島りとうや過疎かそ地ちなどの患者かんじゃに限定げんていして認みとめられました。

平成へいせい27年ねんには利便りべん性せいが認みとめられて全国ぜんこくで解禁かいきんされ、おととしにはガイドラインも策定さくていし、「オンライン診療しんりょう」としてルールを明確めいかく化かしました。

ことし4月つきには新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけて、院内いんない感染かんせんを防ふせぐための時限じげん的てきな特例とくれい措置そちとして、初診しょしんからも利用りようできるようになりました。

利用りようする際さいは、オンライン診療しんりょうに対応たいおうしている医療いりょう機関きかんに予約よやくをしたうえで、診察しんさつの際さいにスマートフォンなどで保険ほけん証しょうを提示ていじして本人ほんにん確認かくにんを行おこないます。

続つづいて医師いしに症状しょうじょうを説明せつめいして診察しんさつを受うけ、薬くすりを処方しょほうされた場合ばあいは処方箋しょほうせんを薬局やっきょくに送おくってもらいます。

その後そのご、薬局やっきょくに連絡れんらくしてオンラインや電話でんわで服薬ふくやく指導しどうを受うけると、薬くすりが自宅じたくに配送はいそうされます。

オンライン診療しんりょうに対応たいおうしている医療いりょう機関きかんは厚生こうせい労働ろうどう省しょうのホームページに掲載けいさいされ、ことし7月末げつまつの時点じてんで全国ぜんこくで合あわせておよそ1万まん6200か所かしょに上のぼっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、患者かんじゃと医師いしが映像えいぞうでやり取やりとりをできる場合ばあいに限かぎって原則げんそく、恒久こうきゅう的てきにオンライン診療しんりょうを認みとめる方針ほうしんで、なりすましや病気びょうきの見逃みのがしを防ふせぐための対策たいさくなどを検討けんとうしています。

医師いし「利点りてんや欠点けってんを認識にんしきし活用かつようを」

実際じっさいにオンライン診療しんりょうで診察しんさつに当あたっている医師いしは、オンライン診療しんりょうには院内いんない感染かんせんを防ふせぐなど多おおくの利点りてんがある一方いっぽうで、画面がめんだけでは診断しんだんが難むずかしい症状しょうじょうもあるため、こうした利点りてんや課題かだいをきちんと認識にんしきしたうえで活用かつようしていく必要ひつようがあると指摘してきしています。

東京とうきょう 渋谷しぶや区くのクリニックで診察しんさつに当にあたる宮田みやた俊男としお医師いしは、4年ねん前まえから一部いちぶの患者かんじゃでオンライン診療しんりょうを導入どうにゅうしてきました。

新型しんがたコロナウイルスの流行りゅうこうに伴ともない4月つきからは初診しょしんでのオンライン診療しんりょうも行おこなっています。

去年きょねんまでは、オンライン診療しんりょうの件数けんすうは1か月かげつに3件けんから4件けんほどでしたが、新型しんがたコロナウイルスにより、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされていたことし4月つき、5月つきには1日にち最大さいだい20件けんほどにのぼったといいます。

オンライン診療しんりょうでは専用せんようのアプリを使つかい、患者かんじゃに事前じぜんにオンラインで問診もんしん票ひょうに記入きにゅうしてもらったうえで、ビデオ通話つうわで診察しんさつを行おこなうということです。

宮田みやた医師いしによりますと、オンライン診療しんりょうは直接ちょくせつ、対面たいめんする必要ひつようがないため、患者かんじゃや医療いりょう関係かんけい者しゃの感染かんせん予防よぼう対策たいさくとしては非常ひじょうに効果こうか的てきで、患者かんじゃにとっても通院つういんする負担ふたんが無ないなどの利点りてんがあるということです。

一方いっぽうで、検査けんさや触診しょくしんができないため、画面がめんを通をとおしてでは見みつけることが難むずかしい症状しょうじょうを見落みおとしたりするなどのリスクもあるということです。

宮田みやた医師いしは「オンライン診療しんりょうは利点りてんも多おおいが、画面がめんを通をとおしての診察しんさつになるため医師いしは、患者かんじゃと注意深ちゅういぶかく話はなしをして診断しんだんにつながる情報じょうほうをどれだけ引き出ひきだせるかなど、オンライン診療しんりょうならではのコツを身みにつける必要ひつようがある。医師いしも患者かんじゃもまだ完全かんぜんに慣なれておらず、制度せいども十分じゅうぶんとはいえない。こうした利点りてんや欠点けってんをきちんと認識にんしきしたうえで、適切てきせつに活用かつようしていく必要ひつようがある」と話はなしています。

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかん「患者かんじゃの安心あんしんが大事だいじ」

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「厚生こうせい労働ろうどう省しょうで、コロナ禍かにおける措置そちの検証けんしょうを行おこないつつ、具体ぐたい的てきなルールの枠組わくぐみの検討けんとうが進すすめられていくものと承知しょうちしている。大事だいじなのは患者かんじゃが安心あんしんして医療いりょうを受うけられるようにすることであり、そうした形かたちでオンライン診療しんりょうを進すすめていくという観点かんてんに立たって検討けんとうを進すすめてもらいたい」と述のべました。