日本がユネスコの無形文化遺産の登録に向けて提案していた「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について、文化庁はユネスコの評価機関が登録するよう勧告したと、17日発表しました。
「伝統建築工匠の技」は、▼法隆寺をはじめとする文化財建造物の保存に欠かせない「建造物修理」の技術や、▼古くから建造物の種類を問わず広く使用されてきた「かやぶき」、▼独特の色つやをもつ「建造物漆塗」、▼表面を土やしっくいで仕上げる「左官」や、▼「畳製作」など17の伝統技術で構成されています。
これらは、水や草、土などの自然素材で地震や台風に耐える構造と豊かな建築空間を生み出し、古代から受け継がれ発展してきたとして提案されていました。
文化庁によりますと勧告では、▼無形文化遺産全般の重要性の可視化に貢献し、▼無形文化遺産と有形文化遺産である建造物との本質的な関係に光をあてるものだなどとして評価されたということです。
12月14日からパリで開かれる政府間委員会で、ユネスコの無形文化遺産への登録が正式に決まるということで、これにより国内の無形文化遺産は「和食」や「和紙」などに加え22件となります。
加藤官房長官 「技術伝承の重要性 再認識されることを期待」
加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で、「『伝統建築工匠の技』の提案は、ひわだぶき、こけらぶき、建築物の漆塗りなど、古来から工夫を重ねて発展してきたわが国の伝統的な技術を包括したものだ。また、わが国の木造建造物を後世に伝えていく上で、不可欠なものだと認識している。無形文化遺産への登録により、こうした技術を伝承していく重要性が国内外で再認識されることを期待している」と述べました。
萩生田文部科学大臣 「大変喜ばしい」
萩生田文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で、「大変喜ばしく思う。評価機関の勧告どおりに登録されることを期待している。登録により連綿と受け継がれてきたわが国の多様な文化遺産への認識が高まり、地域の活力向上にもつながることが期待される。引き続き登録に向けて最善を尽くしたい」と述べました。