ソレイマニ司令しれい官かんの大だい規模きぼな葬儀そうぎ 米べいへの非難ひなん強つよめる イラン

ソレイマニ氏しのひつぎはシーア派はの聖地せいち、マシュハドなどを経由けいゆしてイランの首都しゅとテヘランに到着とうちゃくし６ろく日にち、最高さいこう指導しどう者しゃのハメネイ師しやロウハニ大統領だいとうりょうなどが参列さんれつする中なか、大だい規模きぼな葬儀そうぎが行おこなわれました。

イラン政府せいふはソレイマニ氏しを追悼ついとうするため急きゅうきょ、この日ひを休日きゅうじつとし、会場かいじょう周辺しゅうへんは各地かくちから集あつまった市民しみんで埋うめ尽つくされました。

ハメネイ師しがひつぎに向むかって祈いのりのことばを述のべた際さいにむせび泣むせびなくと、それにつられるように多おおくの参列さんれつ者しゃも涙なみだを流ながしました。

そして市民しみんは「アメリカに死しを」とか、「報復ほうふくを！」などと繰り返くりかえし、シュプレヒコールをあげていました。

ソレイマニ氏しのひつぎは大勢たいせいの市民しみんが取り囲とりかこむ中なか、中心ちゅうしん部ぶの大通おおどおりを進すすみ、市民しみんが別わかれを惜おしみました。

ソレイマニ氏しはイランの中東ちゅうとう政策せいさくにおける軍事ぐんじ・外交がいこう上じょうの最さい重要じゅうよう人物じんぶつで、国民こくみんからは英雄えいゆうと呼よばれるほど人気にんきがあり、イランでは国くにをあげて司令しれい官かんの死しを悼いたむとともに、アメリカへの非難ひなんを強つよめています。

葬儀そうぎの参列さんれつ者しゃ「激はげしい報復ほうふくすべき」

葬儀そうぎに参列さんれつした48歳さいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「ソレイマニ司令しれい官かんがイラン全土ぜんどに慕したわれていることをアメリカに示しめしたくて参列さんれつした。司令しれい官かんがあれほど勇敢ゆうかんだったのだから、私わたしたちも激はげしい報復ほうふくをすべきだ」と述のべ、報復ほうふく措置そちに踏み切ふみきるべきだと訴うったえていました。

また30歳さいの男性だんせい教員きょういんは「1000キロ離はなれた町まちからやってきた。ソレイマニ司令しれい官かんはイラン国民こくみんの心こころの中なかにいる。トランプ大統領だいとうりょうはまもなく報復ほうふくが行おこなわれると覚悟かくごしておくべきだ」と話はなしていました。

「全面ぜんめん衝突しょうとつに発展はってんしないやり方やりかたで報復ほうふくか」

イラン情勢じょうせいに詳くわしい日本にっぽんエネルギー経済けいざい研究所けんきゅうじょ中東ちゅうとう研究けんきゅうセンターの坂梨さかなし祥さち副ふくセンター長ちょうは、イランがアメリカへの報復ほうふくを宣言せんげんしていることについて「アメリカ軍ぐんとの力ちからの差さは歴然れきぜんとしており、アメリカに正面しょうめんから向むかっていくことは選択肢せんたくしとして考かんがえづらい。全面ぜんめん衝突しょうとつに発展はってんしないやり方やりかたが考かんがえられるのではないか」と述のべて、イランの政治せいじ体制たいせいの崩壊ほうかいを招まねきかねない、アメリカ軍ぐんとの全面ぜんめん的てきな戦争せんそうは避さけるだろうという見方みかたを示しめしました。

そのうえで、考かんがえられる具体ぐたい的てきな選択せんたく肢しについて「イランとつながりのある武装ぶそう組織そしきがいる中東ちゅうとうのイラクやシリアなどで、アメリカ軍ぐんの部隊ぶたいや施設しせつに対にたいし、ロケット弾だんを使つかった攻撃こうげきを行おこなうことや、米べい軍ぐん施設しせつの近ちかくにミサイルを撃うつなどの方法ほうほうはあり得える。またどのような攻撃こうげきが行おこなわれたか外そとから把握はあくしづらい一方いっぽうで成果せいかを発表はっぴょうできる、サイバー攻撃こうげきもあり得えると思おもう」と指摘してきしています。

またイラン政府せいふが５ご日にち、核かく合意ごういで定さだめられた制限せいげんに従したがわずウラン濃縮のうしゅく活動かつどうを強化きょうかすると発表はっぴょうしたことについて、坂梨さかなし副ふくセンター長ちょうは「司令しれい官かんの殺害さつがいをめぐる緊張きんちょうと核かく合意ごういの緊張きんちょうの双方そうほうが高たかまっているが、イランとしては緊張きんちょうを高たかめて全面ぜんめん戦争せんそうをすることが目的もくてきではない。核かく合意ごういが崩壊ほうかいしてよいのかということを特とくにヨーロッパの国々くにぐにに訴うったえるねらいがある」と述のべて、あくまで核かく合意ごういに参加さんかしているヨーロッパ各国かっこくから必要ひつような支援しえんを引き出ひきだすことが目的もくてきだとしています。

「原油げんゆ価格かかくが高騰こうとうすれば家計かけいや企業きぎょうへの影響えいきょうも」

三菱みつびしＵＦＪリサーチ＆コンサルティング調査ちょうさ部ぶの芥田あくただ知至ともよし主任しゅにん研究けんきゅう員いんは、アメリカ軍ぐんがイランの司令しれい官かんの殺害さつがいに踏み切ふみきったことについて「去年きょねん、サウジアラビアの石油せきゆ関連かんれん施設しせつが攻撃こうげきを受うけイランの関与かんよが指摘してきされたが、具体ぐたい的てきな衝突しょうとつが表面ひょうめん化かすることはなかった。今回こんかい、様相ようそうが違ちがうのはアメリカ軍ぐんが直接ちょくせつ、イランの司令しれい官かんを殺害さつがいした点てんで、反米はんべいの機運きうんがイラン国内こくないにとどまらず、事態じたいが連鎖れんさ的てきに一層いっそう悪化あっかしていくおそれがある」と述のべ、アメリカの中東ちゅうとう地域ちいき政策せいさくの転換てんかん点てんとなる可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

そのうえで日本にっぽんへの影響えいきょうについては「司令しれい官かんの殺害さつがい現場げんばとなったイラクはいま勢いきおいがある産油さんゆ国こくで、イラクの原油げんゆ生産せいさんが滞とどこおるような事態じたいになれば、国際こくさい的てきな原油げんゆ市場しじょうへの影響えいきょうが大おおきくなることが予想よそうされる。実際じっさいに原油げんゆの供給きょうきゅうが途絶とだえる可能かのう性せいは大おおきくはないが、原油げんゆ価格かかくが高騰こうとうすれば、家計かけいや企業きぎょう収益しゅうえきを圧迫あっぱくし、日本にっぽん経済けいざいへの影響えいきょうが心配しんぱいされる」と指摘してきしています。