被爆ひばくの「旧きゅう陸軍りくぐん被服ひふく支廠しょう」３さん棟むねのうち２に棟むねの解体かいたい方針ほうしん案あん 広島ひろしま県けん

戦前せんぜん、軍服ぐんぷくなどの製造せいぞうに使つかわれていた広島ひろしま市しの「旧きゅう陸軍りくぐん被服ひふく支廠しょう」は、原爆げんばくの惨状さんじょうを伝つたえる代表だいひょう的てきな被爆ひばく建物たてものの１ひとつで、４よん棟むねあるうち３さん棟むねを広島ひろしま県けんが所有しょゆう、１いち棟むねを国くにが所有しょゆうしています。

広島ひろしま県けんでは、いずれも築ちく100年ねん以上いじょうが経過けいかして地震じしんで倒壊とうかいする危険きけん性せいがあることから、所有しょゆうする３さん棟むねの保存ほぞんの在り方ありかたを検討けんとうしてきました。そして、４よん日にちに開ひらかれた県議会けんぎかいの委員いいん会かいで、維持いじ管理かんりするための財源ざいげん確保かくほが難むずかしいことなどを理由りゆうに、所有しょゆうする３さん棟むねのうち１いち棟むねのみ保存ほぞんし、あとの２に棟むねは解体かいたいする方針ほうしん案あんを明あきらかにしました。

費用ひようについても説明せつめいがあり、３さん棟むねすべてを保存ほぞんするためには84億おく円えんが必要ひつようとなる一方いっぽう、１いち棟むねの外観がいかん保存ほぞん、２に棟むね解体かいたいの場合ばあいは８はち億おく円えんだということです。

議員ぎいんからは、県けんの方針ほうしん案あんに理解りかいを示しめす意見いけんの一方いっぽうで、「被爆ひばくの記憶きおくを消けすべきではない」などと反対はんたいする声こえの賛否さんぴ両論りょうろんが出だされました。

広島ひろしま県けんでは議会ぎかいの了承りょうしょうが得えられれば、来年度らいねんどから事業じぎょうに着手ちゃくしゅしたい考かんがえですが、被爆ひばく者しゃなどからはすべて保存ほぞんするよう求もとめる声こえが出でていて、今後こんご、議論ぎろんとなりそうです。

旧きゅう陸軍りくぐん被服ひふく支廠しょうとは

広島ひろしま市しの爆心ばくしん地ちから2.7キロの場所ばしょにある「旧きゅう陸軍りくぐん被服ひふく支廠しょう」は、戦前せんぜん、軍服ぐんぷくなどの製造せいぞうに使つかわれた施設しせつです。原爆げんばくの爆風ばくふうに耐たえた建物たてもの内ないには、当時とうじ、多おおくの被爆ひばく者しゃが運び込はこびこまれて亡なくなり、平成へいせい５ご年ねんに広島ひろしま県けんは被爆ひばくの惨状さんじょうを伝つたえる被爆ひばく建物たてものに指定していしました。

４よん棟むねあるうち、３さん棟むねを県けんが所有しょゆう、１いち棟むねを国くにが所有しょゆうし、規模きぼとしては最大さいだい級きゅうの代表だいひょう的てきな被爆ひばく建物たてものですが、建築けんちくから100年ねん以上いじょうがたち地震じしんで倒壊とうかいする危険きけん性せいが指摘してきされ、保存ほぞんの在り方ありかたの検討けんとうが続つづけられてきました。

専門せんもん家か「原爆げんばくドーム以上いじょうの価値かち 将来しょうらいに禍根かこん」

広島ひろしま県けんが一部いちぶを解体かいたいする方針ほうしん案あんを示しめした被爆ひばく建物たてもの、「旧きゅう陸軍りくぐん被服ひふく支廠しょう」について、文化財ぶんかざいに詳くわしい専門せんもん家かは「原爆げんばくドーム以上いじょうに価値かちがあり、すべてを残のこさないと日本にっぽんの将来しょうらいに禍根かこんを残のこす」と話はなしています。

文化財ぶんかざいに詳くわしい広島ひろしま大学だいがくの三浦みうら正幸まさゆき名誉めいよ教授きょうじゅは「そもそも『被服ひふく支廠しょう』は、日本にっぽんで最もっとも古ふるいレベルの鉄筋コンクリートてっきんこんくり-との建造けんぞう物ぶつで、きちんと調しらべれば国くにの重要じゅうよう文化財ぶんかざいにも指定していされる価値かちがある」と述のべました。

そのうえで三浦みうら名誉めいよ教授きょうじゅは、原爆げんばくの爆風ばくふうに耐たえた被服ひふく支廠しょうは、多おおくの被爆ひばく者しゃが運び込はこびこまれて亡なくなった場ばであることに触ふれ、「悲惨ひさんな状態じょうたいが続つづいたことが見みただけで分わかる被爆ひばく遺構いこうは、『被服ひふく支廠しょう』しかない。原爆げんばくドーム以上いじょうに価値かちがあり、すべてを残のこさないと日本にっぽんの将来しょうらいに禍根かこんを残のこす」と述のべました。

さらに、県けんが財政ざいせい事情じじょうを理由りゆうの１ひとつに挙あげている点てんについては、建物たてものの価値かちを広ひろく伝つたえて寄付きふを募つのるなどして、財源ざいげんの確保かくほに努つとめるべきだという考かんがえを示しめしました。