国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん法ほうの改正かいせい案あん あす成立せいりつへ 大学だいがく側がわから危惧きぐも

国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん法ほうの改正かいせい案あんは、管理かんり運営うんえいや研究けんきゅう体制たいせいの充実じゅうじつを図はかるためとして、大だい規模きぼな国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんを「特定とくてい国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん」に指定していし、学長がくちょうと3人にん以上いじょうの委員いいんでつくる「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ」の設置せっちを義務ぎむづけたうえで、中期ちゅうき計画けいかくや予算よさん・決算けっさんを決定けっていする権限けんげんを与あたえることなどが盛り込もりこまれています。

立憲りっけん民主みんしゅ党とうは「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎには懸念けねんがある。大学だいがくの自治じちや学問がくもんの自由じゆうに対にたいして理解りかいのない人ひとは、運営うんえい方針ほうしん委員いいんに選えらばれることはないと考かんがえていいか」と質問しつもんしました。

これに対にたいし盛もり山文やまぶん部ぶ科学かがく大臣だいじんは「大学だいがくみずからが運営うんえいの当事者とうじしゃとして、ともに発展はってんに取り組とりくんでいきたいと考かんがえる人ひとを学がく内外ないがいから人選じんせんしてもらい、運営うんえい方針ほうしん会議かいぎとしての責任せきにんと役割やくわりを果はたすことが重要じゅうようだ。民間みんかん企業きぎょうの実務じつむ経験けいけんがある人ひとなどを想定そうていしているが、大学だいがくに関にかんする理解りかいを深ふかめることができる取り組とりくみをしてもらうことが重要じゅうようだ」と述のべました。

そして採決さいけつが行おこなわれ、自民じみん・公明こうめい両りょう党とうや日本にっぽん維新いしんの会かい、国民こくみん民主みんしゅ党とうの賛成さんせい多数たすうで可決かけつされました。

改正かいせい案あんは、13日にちの参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで採決さいけつされ、可決かけつ・成立せいりつする見通みとおしです。

衆議院しゅうぎいんと同様どうように付帯ふたい決議けつぎが可決かけつ

参議院さんぎいん文教ぶんきょう科学かがく委員いいん会かいでは、衆議院しゅうぎいんと同様どうように付帯ふたい決議けつぎが可決かけつされました。

それによりますと

▽運営うんえい方針ほうしん会議かいぎが重要じゅうよう事項じこうを決定けっていする権限けんげんを有ゆうする組織そしきであることを踏ふまえ、委員いいんの選任せんにんでは、ジェンダーバランスをはじめとする多様たよう性せいに留意りゅういし、選定せんてい過程かていの透明とうめい性せい・公正こうせい性せいが担保たんぽされるよう検討けんとうを行おこなうことや

▽文部もんぶ科学かがく大臣だいじんが委員いいんを承認しょうにんするにあたっては過去かこに政府せいふの意いに沿そわない言動げんどうがあった人ひとなどについて、言論げんろん活動かつどうや思想しそう信条しんじょうを理由りゆうに恣意しい的てき（しいてき）に承認しょうにんを拒否きょひすることのないよう、大学だいがくの自主じしゅ性せい・自律じりつ性せいに十分じゅうぶんに留意りゅういすることなど

が盛り込もりこまれました。

これまでの議論ぎろんは

国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん法ほうの改正かいせい案あんでは、国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんのうち、学生がくせいや教職きょうしょく員いんの数かず、収入しゅうにゅう・支出ししゅつの額がくなどが特とくに大おおきい法人ほうじんを「特定とくてい国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん」に指定していし、「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ」の設置せっちを義務ぎむづけるとしています。

「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ」は学長がくちょうのほか、3人にん以上いじょうの委員いいんで構成こうせいされ、中期ちゅうき計画けいかくや予算よさん・決算けっさんを決定けっていし、その内容ないように基もとづいて運営うんえいが行おこなわれていない場合ばあいは学長がくちょうに改善かいぜんを求もとめることができるとしています。

そして委員いいんは、特定とくてい国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんの申し出もうしでに基もとづいて文部もんぶ科学かがく大臣だいじんが承認しょうにんしたうえで、学長がくちょうが任命にんめいすると規定きていされています。

これについて、立憲りっけん民主みんしゅ党とうや共産党きょうさんとうなどは

▽時ときの政権せいけんと主義しゅぎ主張しゅちょうが異ことなる人物じんぶつは大臣だいじんが承認しょうにんしないおそれがある

▽大学だいがく運営うんえいから教職きょうしょく員いんを排除はいじょする仕組しくみとなっていて、学問がくもんの自由じゆうを大おおきく侵害しんがいする可能かのう性せいがある

などと指摘してきしています。

これに対にたいし、政府せいふは

▽もともと国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんは文部もんぶ科学かがく大臣だいじんが学長がくちょうを任命にんめいすることになっており、今回こんかいの法案ほうあんでは学長がくちょうの権限けんげんの一部いちぶを「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ」に移譲いじょうする形かたちとなっていることから、大臣だいじんが委員いいんを承認しょうにんする必要ひつようがあると説明せつめいしています。

また、委員いいんについて

▽大学だいがくの申し出もうしでに手続てつづき的てきな不備ふびや違法いほう性せいがある場合ばあい

▽明あきらかに不適切ふてきせつと客観きゃっかん的てきに認みとめられる場合ばあい

を除のぞき、大臣だいじんは承認しょうにんを拒否きょひすることはできないとしています。

衆議院しゅうぎいん文部もんぶ科学かがく委員いいん会かいでは付帯ふたい決議けつぎが採択さいたくされ

▽委員いいんの選定せんてい過程かていの透明とうめい性せい・公正こうせい性せいが担保たんぽされる選任せんにんのあり方ありかたを検討けんとうすることや

▽委員いいんの承認しょうにんに当にあたっては、過去かこに政府せいふの意いに沿そわない言動げんどうがあった人物じんぶつなどについて恣意しい的てきに承認しょうにんを拒否きょひすることのないよう大学だいがくの自主じしゅ性せい・自律じりつ性せいに十分じゅうぶん留意りゅういすることなどが盛もりこまれました。

強つよい危惧きぐや廃案はいあん求もとめる声こえも

国立こくりつ大学だいがく法人ほうじん法ほうの改正かいせい案あんをめぐっては、国立こくりつ大学だいがく協会きょうかいが強つよい危惧きぐを示しめす声明せいめいを出だしたほか、廃案はいあんを求もとめる署名しょめい活動かつどうや集会しゅうかいの動うごきも出でていました。

このうち「国立こくりつ大学だいがく協会きょうかい」は、11月つき24日にちに永田ながた恭介きょうすけ 会長かいちょう名めいで声明せいめいを発表はっぴょうしました。

この中なかでは、改正かいせい案あんで大だい規模きぼな国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんに「運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ」の設置せっちを義務ぎむづけていることについて「国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんが区分くぶんされ、差異さいのある取り扱とりあつかいがなされる可能かのう性せいがあることに強つよい危惧きぐがある」としました。

そのうえで、

▽会議かいぎの設置せっちの有無うむなどで、取り扱とりあつかいに差さを設もうけないことや

▽会議かいぎを設置せっちする国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんの自主じしゅ性せい・自律じりつ性せいを尊重そんちょうすることなどを求もとめています。

また、改正かいせい案あんで会議かいぎの委員いいんは文部もんぶ科学かがく大臣だいじんの承認しょうにんを必要ひつようとしていることなどから、有志ゆうしの大学だいがく教授きょうじゅらが「大学だいがくの自治じちを侵害しんがいしている」として、廃案はいあんを求もとめるおよそ4万まん3000人にん分ぶんの署名しょめいを12月つき1日にち、文部もんぶ科学かがく省しょうに提出ていしゅつしていました。

教授きょうじゅらの団体だんたい「大学だいがくの自治じち、学問がくもんの自由じゆうを葬ほうむり去さるもの」

改正かいせい案あんが参議院さんぎいん文教ぶんきょう科学かがく委員いいん会かいで可決かけつされたことを受うけ、廃案はいあんを求もとめる署名しょめい活動かつどうや集会しゅうかいを行おこなってきた有志ゆうしの大学だいがく教授きょうじゅらでつくる団体だんたいが抗議こうぎの声明せいめいを出だしました。

声明せいめいでは、『運営うんえい方針ほうしん会議かいぎ』に中期ちゅうき計画けいかくや予算よさん・決算けっさんを決定けっていする権限けんげんを与あたえることなどが盛り込もりこまれていることについて、「学長がくちょうの重要じゅうような権限けんげんを移譲いじょうすると定さだめている点てんで、学内がくないの民主みんしゅ的てきな意思いし決定けっていの仕組しくみを根底こんていから覆くつがえし、学外がくがい者しゃによる大学だいがく支配しはいを可能かのうとし、『大学だいがくの自治じち』さらに『学問がくもんの自由じゆう』を葬ほうむり去さろうとするものだ」としています。

そのうえで、「政府せいふ・与党よとうは改正かいせいを必要ひつようとすべき立法りっぽう事実じじつの説明せつめいをまともに行おこなわず、法案ほうあんの策定さくてい過程かていにかかわる公文こうぶん書しょも断片だんぺん的てきにしか提出ていしゅつしなかった」として、法案ほうあんの審議しんぎ過程かていについても批判ひはんしました。