大津地方裁判所で行われている裁判員裁判は4日、井本さんの妻が証人として出廷しました。
井本さんの妻は、元巡査が井本さんから親の悪口を言われ、我慢できなくなったなどと主張していることに対し、「夫は理由もなく人を怒ったり、愚弄したりするような人ではありません。他人の両親をばかにするようなことは言っていないと信じています」と述べました。
そのうえで、「警察官は一段と高い倫理観を持ち、法律を順守するべきで、被告が未成年であっても許せない気持ちでいっぱいです。今は夫を失った悲しみが強く、謝罪を受け入れきれません。厳しい処罰をお願いします」と、時折、涙声になりながら訴えました。
元巡査は、井本さんの妻が証言している間、うつむき加減で顔を赤らめ、唇を震わせながら涙を流していました。
妻の証言 井本さんの人柄
みずからも現職警察官の妻は井本さんの人柄について「平成13年に警察学校に入校した同期で、明るく楽しく、一緒にいて安らげる人でした。結婚後、長く子どもができなかったので、1人目を授かったときは誕生をとても楽しみにしていました。2人目が生まれてからも、私の体や子どもの成長をとても心配してくれて、家事を手伝ってくれたり、どこかに連れて行ったりしてくれました」と述べました。
被告の発言について
元巡査が犯行の直前に親の悪口を言われたと主張していることについては、「夫は理由もなく人を怒ったり愚弄したりするような人ではありません。他人の両親をばかにするようなことは言っていないと信じています。ふだんから友達とか家族を大事にしている人だったので、知らない人のことを悪いように言う人ではありません」と述べました。
事件後の心境について
事件後の心境については、「私が出産に伴う体調不良で入院したことで、夫は交番で勤務することになったが、それさえなければ、このようなことにはならなかったと自分を責めていました。家の中にいても職場にいても、夫のことを思い出すのでつらいです」と涙で声を震わせながら話していました。
残された子どもについて
井本さんの子どもたちが父親の死にどう向き合っているのか問われると、「4歳の長男は『パパいつ帰ってくる?』と今でも聞いてきてなんと答えたらいいかわかりません。父親を最後に見た葬儀場に行けば会えると思って行きたがりますが、その姿を見るとつらい思いでいっぱいになります。夫は子どもの成長を楽しみにしていたので、その姿を見られないのは無念だろうと思います」と述べました。
被告に対して
そして元巡査に対しては、「警察官は一段と高い倫理観を持ち、法律を順守するべきで、未成年であっても許せないという気持ちでいっぱいです。今は夫を失った悲しみが強く、被告からの謝罪を受け入れきれません。厳しい処罰をお願いします」と訴えました。