この店ではバナナをふんだんにつかったケーキやジュースなど30種類の商品を販売しています。
店では1か月で1トンほどのバナナを消費していて、このうち8割ほどがフィリピン産だということです。
今回の動きを受けて、今後商品の値上げも検討せざるをえない状況だといいます。
ただ、値上げをするだけでは客足が離れかねないとして、沖縄県産のバナナを使用した新商品の開発など付加価値をつけることで対応しようと考えているということです。
「バナナファクトリー」の市村健人オーナーは「店を始めてから5年たつが、これまでバナナは値上げがなかったので困惑しています。小麦粉などの値段もあがっていて負担は大きくなってしまうが、おいしいものを提供できるようにしていきたい」と話していました。
果物などの卸売会社の担当者は、海外での新型コロナによる人件費の高騰やロシアによるウクライナ侵攻の影響などを受けた原油高など、さまざまな要因で、生産コストや輸送コストが上昇したこと、それに円安が進んでいることが値上がりの大きな原因だとしています。 担当者によりますと値上がりはバナナだけにとどまらず、海外から輸入しているさまざまな果物が値上がりしているということです。 そのうえで、今後の見通しについては「バナナは手ごろな商品としてスーパーなど小売りの現場で価格が抑えられすぎていた側面があり、今までが安すぎたというのもあると思う。一度上がった値段は下げにくいし世界的な情勢の影響で今の価格になっているため、これがすぐにもとの価格に戻ることはないと思う」と話していました。
フィリピン政府としてこうした要望を行うのは初めてだということです。 要望は今月8日、全国スーパーマーケット協会と日本小売業協会の2つの団体に対して行われ、バナナの小売価格について適正な水準への引き上げを求めています。 都内のフィリピン大使館によりますと、ウクライナ情勢を背景にした燃料や肥料価格の高騰などで生産コストが増加しているほか、新型コロナウイルスの影響で停止していた経済活動の再開に伴って海上輸送など物流コストも上昇しているということです。 こうした生産や流通のコストの増加がある一方、日本国内の小売価格は横ばいが続いていることから、今回の要望に至ったとしています。 財務省の貿易統計によりますと、去年1年間に海外から輸入されたバナナのうちフィリピン産は84万トン余りと全体のおよそ76%を占め、国別で最も多くなっています。 フィリピン大使館の担当者は「国内で進むインフレにウクライナ情勢と新型コロナが拍車をかけ、生産者を取り巻く環境が厳しくなった」と話していて、今後業界団体だけでなく小売業者などにも要望を行いたいとしています。
卸売会社の担当者 “世界的な情勢の影響で今の価格に”
フィリピン政府 価格の引き上げを要望