狙ねらわれる在宅ざいたく高齢こうれい者しゃ 「訪問ほうもん盗とう」に警戒けいかいを 感染かんせん拡大かくだいで相次あいつぐ

「訪問ほうもん盗とう」と呼よばれるもので、複数ふくすうの男おとこらが電気でんき工事こうじ業者ぎょうしゃなどを装よそおって家いえを訪おとずれ、住民じゅうみんを点検てんけんに立ち会たちあわせている隙ひまにほかの男おとこが家いえじゅうを物色ぶっしょくし、盗ぬすみを行おこなうのです。

同様どうようの被害ひがいは47件けん確認かくにんされていて、警視庁けいしちょうが注意ちゅういを呼よびかけています。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで外出がいしゅつを控ひかえる人ひとが多おおくなり、警視庁けいしちょうによりますと都内とないでは、今月こんげつ１いち日にちから18日にちまでの110番ばんの通報つうほう件数けんすうが、前まえの年としの同おなじ期間きかんと比くらべて１いち万まん4000件けん、率りつにして15％減少げんしょうしました。

その一方いっぽうで、家いえにいる高齢こうれい者しゃをねらった犯罪はんざいが相次あいついで起おきていることがわかりました。「訪問ほうもん盗とう」と呼よばれるものです。

国内こくないでの感染かんせん者しゃが出で始はじめていた、ことし１月いちがつ、町田まちだ市しの住宅じゅうたくでは、80代だいの女性じょせいが１いち人にんでいる時ときに、電気でんき工事こうじ業者ぎょうしゃを名乗なのる作業さぎょう服ふくを着きた２に人組にんぐみの男おとこが訪問ほうもんしました。男おとこらは「近ちかくで漏電ろうでんがあったのでブレーカーを見みせてほしい」と言いって、点検てんけんを装よそおいながら家いえに上がり込あがりこみました。

１いち人にんが２に階かいへ、もう１いち人にんが１いち階かいを点検てんけんしていきました。そして、女性じょせいが２に階かいの点検てんけんに立ち会たちあっている隙ひまに、もう１いち人にんが１いち階かいにあった財布さいふから現金げんきん15万まん円えんを抜き取ぬきとったとみられています。２に人にんは「ありがとうございました」と言いって姿すがたを消けしました。

こうした「訪問ほうもん盗とう」。同様どうようの被害ひがいは、ことし１月いちがつから先月せんげつ末まつまでに47件けん確認かくにんされていることがわかりました。

被害ひがい者しゃの女性じょせいは感染かんせんをおそれて外出がいしゅつを控ひかえていて、「まさか自分じぶんが被害ひがいに遭あうとは思おもわなかったです。年寄としよりのお金おかねを盗ぬすむのはやめてほしい」と話はなしていました。

防犯ぼうはん対策たいさくの専門せんもん家かは、外出がいしゅつを控ひかえる人ひとをねらった犯罪はんざいがさらに相次あいつぐのではないかと指摘してきしたうえで、「役所やくしょの職員しょくいんを装よそおって『新型しんがたコロナウイルスの検査けんさを無料むりょうでします』と、家いえを訪たずねてくるケースが出でてきてもおかしくない。ふだんは留守るすの家いえをねらうイメージあるが、人ひとがいるから行いくんだというケースがあることを認識にんしきし、ドアを全開ぜんかいにして対応たいおうしないなど、防犯ぼうはん対策たいさくを徹底てっていしてほしい」と注意ちゅういを呼よびかけています。

外出がいしゅつ控ひかえで110番ばんは減少げんしょう

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで多おおくの人ひとが外出がいしゅつを控ひかえる中なか、都内とないでは110番ばんの通報つうほう件数けんすうが減少げんしょうしています。

警視庁けいしちょうによりますと、今月こんげつ１いち日にちから18日にちまでに寄よせられた110番ばんの通報つうほう件数けんすうはおよそ７なな万まん4000件けんと、去年きょねんの同おなじ期間きかんと比くらべておよそ１いち万まん4000件けん、率りつにして15％余あまり減少げんしょうしました。

また、繁華はんか街がいでは、一部いちぶの犯罪はんざいが大幅おおはばに減少げんしょうしています。

このうち銀座ぎんざを管轄かんかつする築地つきじ警察けいさつ署しょによりますと、今月こんげつに入はいってから16日にちまでに寄よせられたブランド品ひんなどをねらう万引まんびき被害ひがいがわずか４よん件けんと、ふだんの半分はんぶん以下いかとなっています。

築地つきじ警察けいさつ署しょは「人出ひとでが減少げんしょうしたことで、店員てんいんの目めが届とどきやすく隙ひまが生うまれにくくなったためではないか」としています。

巣鴨すがもも高齢こうれい者しゃが激減げきげん

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、高齢こうれい者しゃに人気にんきの東京とうきょう・巣鴨すがもの商店しょうてん街がいでも買い物かいもの客きゃくの姿すがたが少すくなくなっています。

巣鴨すがも地蔵じぞう通どおり商店しょうてん街がい振興しんこう組合くみあいによりますと、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいにともない、先月せんげつ下旬げじゅんから高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに訪おとずれる人ひとが減へり始はじめ、今月こんげつに入はいってからは平均へいきんするとふだんの半分はんぶんほどになっているということです。

訪おとずれた人ひとも日にち用品ようひんなど事前じぜんに買かう物ものを決きめて目的もくてきの店みせだけを訪たずね、立ち話たちばなしなどはせずにすみやかに帰かえっていく姿すがたが目立めだつといいます。

商店しょうてん街がいの入り口いりくちに25年ねん以上いじょう店みせを構かまえるせんべい店てんの店主てんしゅは「高齢こうれい者しゃは常連じょうれんでも最近さいきんは来きておらず、お客おきゃくさんの数かずも売り上うりあげもがた落がたおちです。不要ふよう不急ふきゅうの外出がいしゅつは控ひかえろと言いわれているので、特とくに高齢こうれい者しゃは自宅じたくから出でないようにしているのだと思おもいます」と話はなしていました。

在宅ざいたくの高齢こうれい者しゃねらう「訪問ほうもん盗とう」47件けん

複数ふくすうの男おとこらが電気でんき工事こうじ業者ぎょうしゃなどを装よそおって「点検てんけんが必要ひつようだ」と家いえを訪おとずれ、住民じゅうみんを点検てんけんに立ち会たちあわせている隙ひまにほかの男おとこが家いえじゅうを物色ぶっしょくし、盗ぬすみを行おこなう「訪問ほうもん盗とう」。

同様どうようの被害ひがいは、ことし１月いちがつから先月せんげつ末まつまでに、新宿しんじゅく区くや町田まちだ市し、国分寺こくぶんじ市し、三鷹みたか市しなどで47件けん相次あいついでいることが警視庁けいしちょうへの取材しゅざいでわかりました。

「訪問ほうもん盗とう」の特徴とくちょうは、漏電ろうでんの確認かくにんやブレーカーの点検てんけんなどと言いって２に人にん以上いじょうの複数ふくすうで家いえの中なかに上がり込あがりこんでくることです。

そして、１いち人にんが住民じゅうみんに部屋へやの中なかを案内あんないさせたり点検てんけんに立ち会たちあわせたりしている隙ひまに、残のこりの男おとこらが家いえじゅうを物色ぶっしょくし、盗ぬすみを行おこなうのです。

２に～３さん人にんのグループが多おおいですが、なかには６ろく人にんものグループもあったということです。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんを心配しんぱいして外出がいしゅつを控ひかえる人ひとたちが多おおくなっていることから、警視庁けいしちょうは知しらない人ひとが自宅じたくを訪おとずれてもむやみに家いえに入いれないよう注意ちゅういを呼よびかけています。

「年寄としよりのお金おかねを盗ぬすむのはもうやめて」被害ひがい女性じょせい

「訪問ほうもん盗とう」の被害ひがいに遭あった高齢こうれいの女性じょせいは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんをおそれて外出がいしゅつを控ひかえていた中なかで、安全あんぜんだと思おもっていた自宅じたくで被害ひがいを受うけたことに心こころを痛いためていました。

新型しんがたコロナウイルスの国内こくないでの感染かんせん者しゃが出で始はじめていた、ことし１月いちがつ、東京とうきょう・町田まちだ市しの80代だいの女性じょせいは、自宅じたくに１いち人にんでいたところ、作業さぎょう服ふくを着きた２に人組にんぐみの男おとこが訪問ほうもんしてきたということです。

男おとこらは「近ちかくで漏電ろうでんが起おきていますのでブレーカーを見みせてほしい」と言いいました。女性じょせいは家いえの電球でんきゅうやテレビはふだん通どおりついているのでおかしいなと思おもいましたが、男おとこらは「あちこち見みて歩あるいているんです」と答こたえ点検てんけんを装よそおいながら家いえの中なかに上がり込あがりこんできました。

しばらくして１いち人にんが「２に階かいのブレーカーも見みせてほしい」と言いって勝手かってに２に階かいに上あがっていきました。女性じょせいは「だめです」と最初さいしょは言いいましたが、押し入おしいれや天井てんじょうなどを調しらべ始はじめたので、しかたなく２に階かいで立ち会たちあっていました。２に階かいには男おとこ１いち人にんと女性じょせいが、１いち階かいにはもう１いち人にんの男おとこが残のこり、分わかれる形かたちになりました。そして点検てんけんが終おわると、男おとこらは「ありがとうございました」と言いって姿すがたを消けしました。

ところが、その後そのご、女性じょせいが家いえの中なかを確認かくにんすると、いすの上うえに置おいてあったカバンが開ひらいているのを見みつけました。カバンの中なかにあった財布さいふから現金げんきん15万まん円えんが抜き取ぬきとられていたのです。女性じょせいが２に階かいに引ひきつけられている隙ひまに、盗ぬすまれたものとみられています。

女性じょせいは感染かんせんをおそれて外出がいしゅつを控ひかえていて、「まさか自分じぶんがこのような被害ひがいに遭あうとは思おもわなかったです。お金おかねを抜き取ぬきとられたと気付きづいたときは『はあーあ-』という感かんじでぼんやりしてしまいました」と話はなしました。

そして男おとこらについて「『うちは大丈夫だいじょうぶですよ』と言いったのですが、男おとこたちは『そんなことはない』と聞きいてくれませんでした。同様どうようの被害ひがいがあちこちで起おきていると聞きくと腹はらが立たちます。年寄としよりのお金おかねを盗ぬすむのはもうやめてほしい」と話はなしていました。

「さまざまな現象げんしょうに合あわせた犯罪はんざいに注意ちゅういを」専門せんもん家か

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで外出がいしゅつを控ひかえる人ひとたちが増ふえていることについて、防犯ぼうはん対策たいさくに詳くわしい一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん「日本にっぽん防犯ぼうはん学校がっこう」の学長がくちょう、梅本うめもと正行まさゆきさんは、「窃盗せっとう犯はんは留守るすの家いえをねらうイメージがあるが、今いまのように『家いえに人ひとがいるならそちらをねらう』という犯罪はんざい者しゃがいることを認識にんしきする必要ひつようがある」と指摘してきします。

そして、今回こんかいの「訪問ほうもん盗とう」のように、点検てんけんを装よそおった盗ぬすみ以外いがいにも、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで新あらたな犯罪はんざいが起おきかねないとしています。

梅本うめもとさんは「世の中よのなかで起おきているさまざまな現象げんしょうに合あわせた犯罪はんざいというのが出でてくる。役所やくしょの職員しょくいんを装よそおって『新型しんがたコロナウイルスの検査けんさを無料むりょうでします』と、家いえを訪たずねてくるケースも出でてきてもおかしくない。ウイルスの感染かんせんを防ふせぐために自宅じたくで待機たいきしている、こういうときだからこそ、生活せいかつの中なかで防犯ぼうはんを考かんがえていくことが重要じゅうようだ」としています。

そして、具体ぐたい的てきには、１いち人にんで家いえにいる場合ばあいは玄関げんかんのドアをすぐに開あけないこと、やむなく開あける場合ばあいはドアチェーンなどをした状態じょうたいで全開ぜんかいにしないこと、訪問ほうもんしてくる人ひとに対にたいして軽率けいそつに対応たいおうせず、社員しゃいん証しょうなどの確認かくにんをしっかり行おこなうこと、などと注意ちゅういを呼よびかけています。